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『噂』ラスト1行の衝撃。直木賞作家・荻原浩が放つサイコサスペンス小説

帰宅した時に家の鍵が空いてて、「あれ?玄関の鍵閉めたはずだけどな?」ってなったときの怖さ。それが味わえる。

今回は海の見える理髪店』で直木賞を受賞した荻原浩さんのサイコサスペンス『噂』をご紹介。500ページ弱と、ちょいと長めですが、サスペンス好きにはたまらんと思う。そうじゃないわたしでも、気づいたら2、3日で一気に読んでた。

読んでいると、誰かがヒタヒタと後ろから追ってくるような不気味な感覚に襲われる。お化けとかそういう類ではなくて、人間の恐ろしさを描いています。やっぱり本当に怖いのは人間よね。

この作品好き!って人、Twitterでもときどき見かけます。2006年の小説なんだけどね。それでけ根強いファンが多い作品です。


噂が現実に?宣伝で流した口コミが、恐ろしい事件につながっていく


物語のはじまりは、とある会社が仕掛けた香水の宣伝だったの。インフルエンサーの女子高生を集めて、こんな噂を流すのです。

「少し前にね、ニューヨークの公園にレイプ間が出没したことがあったそうなの。(中略)逃げられないように、まず女の子の足首を切り落としちゃうそうよ。でもなぜかミリエルの香水をつけている女の子は狙わない。だからニューヨークの若い女の子は、みんなミリエルのローズをつけるんだって……」

この噂が狙い通り広まって、香水は大ヒット。でも、その裏でとある事件が起きるのです。なんと、本当に足首のない女の子の死体が見つかってしまう。

はたして、この事件は今回の噂と関係があるのか?と、それだけでも読んでいると心拍数が上がってくるのですが、別の事件も発生して……と、次から次へと読者をハラハラさせる展開が待っています。

そして、ラスト衝撃の1行へつながる、という構成の小説。

ふだんあんまりサスペンスは読まないんですが、荻原浩さんの『海の見える理髪店』が好みで、こちらも気になったので読んでみたらハマった。

読後感は「ほほーっ」っと一瞬停止してから、じわじわと鳥肌が立ってくる感じ。不気味すぎて笑っちゃうあの感じです。伝わる?

長編小説よゆー!って方はぜひ。


■この本が気に入った方には、こちらもオススメ

小栗旬と星野源で映画化されて話題になった『罪の声』
読んでいるときのハラハラドキドキ感が似てました。こっちは「怖い」というのはないけれど、真実に近づいていくにつれて、やめられなくてどんどん読んじゃう感じが、『噂』に似てます。

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