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帯に短し襷に短歌

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素朴に歌を詠むということへの憧れがある。素朴に詠めるようになりたいと思うのである。とにかく詠んでみないことにははじまらない。「こんなものは短歌とはいいません」なんて言われたってい…
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2021年9月の記事一覧

月例落選 2021年10月号

月例落選 2021年10月号

負け惜しみかも知れないが、今日届いた10月号の歌壇はいかがなものかと思う。そろそろ感染症ネタは卒業しませんかと言いたくなるし、それを選ぶ側もどうかと思う。歌人って、そんなんでいいんですかと思う。

いつも「月例落選」は自分の投稿した歌から始めるが、今回は選ばれた歌の中から好きなものを取り上げる。

4人の選者のうち3人が選んだ歌である。光を飲む子、というのはいいなぁと思う。子供のイメージというもの

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労働讃歌

労働讃歌

塀の外戻るあてなきあの頃に見上げた空はただただ青く
(へいのそと もどるあてなき あのころに みあげたそらは ただただあおく)

労働は自由をもたらす - Arbeit macht Frei - ダッハウにある強制収容所跡の門扉にはそう書かれていた。実際に体験したわけではなく、伝聞と推定の域を出ないのだが、そういうものがあったと言われている場所を訪れたからには、そこで感じたことや考えたことを記録に

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襤褸雑巾

襤褸雑巾

糞掃衣纏う人から容赦なく税金集め何に使うか
(ふんぞうえ まとうひとから ようしゃなく ぜいきんあつめ なににつかうか)

2021年8月5日木曜日
東京国税局業務センター武蔵府中分室から郵便が届く。

開いてみると、「保管されている書類の提出のお願い」という文書と折りたたまれた返信用封筒が入っている。

e-Taxで確定申告をする場合、殆どの添付書類は提出を省略できるが、求めがあれば提出しなけれ

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生命讃歌

生命讃歌

血滴る厚きステーキ食い終えて命長らえまた前を向く
(ちしたたる あつきすてえき くいおえて いのちながらえ またまえをむく)

志の輔の新作落語で『ハナコ』という噺がある。理屈っぽい噺で、落語としての完成度は今ひとつという感じだが、世の中の矛盾を言い当てている点は面白い。

食材の鮮度を価値のように考えることがある。新鮮な動物の肉を生で食べることを贅沢のように言うこともある。日本の食事の場合は海鮮

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就職総括

就職総括

間近には鬼神大波身がすくみ遠目にはただ静かな水面
(まぢかには きしんおおなみ みがすくみ とおめにはただ しずかなみなも)

ぼちぼち定年なので、野暮を承知で就職を振り返っておくことにした。新卒時の就職に関しては、1985年4月入社の新卒採用は表向きは1984年10月1日解禁とされていたが、実質的には夏休み中にほぼ決着していた。10月1日は入社意志を形式的に確認すべく宴会のようなものを催したとこ

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