星の王子、終末期を語る
星の王子さまという絵本がある。
有名な絵本で、出だしから
「うわばみ」という生き物に
いつも私は気をとられがちだが、
今回は、絵本の星の王子さまの話をしたい訳ではない。
そしてエディ・マーフィーの話をしたい訳でもない。
私のそばにいる
身近な存在の
星の王子さまの話をする。
noteのお友達のれおさん。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、実は彼の今のnoteのアイコンは私が以前描かせてもらった絵である。
これは私の中で
かなりの自慢になっており
このアイコンがnoteで見えるたびに
私は心の中で
ガッツポーズを決めている。
実は候補は他にもあり、これだけではなくいろいろと楽しんで描かせてもらっていた。
でも、彼は数ある絵の中から、今のアイコンを選んでくれた。
私もそれが気に入っていたから、本人にそのイラストを選んでもらった時は嬉しかった。私の中では彼は「星の王子さま」で、それをポップにあらわしたかった。イメージとしてはキキララちゃんの雰囲気を目指したつもりだ。
れおさんはたぶん….私がこのnoteで仲良くさせてもらっている人の中でも、かなり付き合いが長い。
なぜなら、私はこのnoteを始めた時に、まず最初に
「理学療法士」
「作業療法士」
という職業に携わっている人を探したからだ。
探している中で何人かの方が見つかったのだが、れおさんはその中でもかなり異質な存在だった。
このさわやかで
顔もよく
探究心も旺盛で
勉強熱心で
丁寧な口調を保ち
誠実な人柄を兼ね備えた
学びの多い記事は
どれ一つとっても隙がないだろ!って思っていた。
しかし、付き合いが長くなれば長くなるほど、彼の不器用さや若さみたいなものも見えてきて、噛めば噛むほど味の出てくるするめのように新しい発見や驚きもある。
以前の記事に書いたが、私は器用な人の不器用さが案外好きなのである。
そして、日頃から、スマイルスイッチ班の中で編み物作品の管理者として、スプラトゥーンでは自身でゲーム好きと話すとおり、かなりの腕前をもつプレイヤーとして関わらせてもらっていて、彼のことは絶大に信頼しているのだ。
何を頼んでも「いいっすよ〜」の一言で終わる。
まず、頼み事を断られたことがない。
この「軽やかさ」にどれだけ救われているのか、数えたらキリがない。
だが、しかし
私が好きなところはそれだけではない。
今日はそんなことを書いてみたいと思っている。
私は彼を一人の職業人として尊敬している。
彼はもう一つのアカウントを持っている。
本名で書かれているこの記事たちは
「れお」名義の
バラエティ豊かな記事とは違って
かなり本気のやつである。
彼は地域医療に根ざした
理学療法士の1人であり
訪問看護ステーションの経営者でもある。
私が彼を尊敬しているのは
やはり同じ地域医療に携わる職業人として
学ぶべきことが多いからだと言える。
そして彼のフォロワーの中で、一番その事を肌身でひしひしと感じているのはたぶん私なんじゃないかなという自負がある。
(それについては、私はかなりの贅沢ものであるなと勝手に思っている)
今回取り上げたい内容は、ある一つの本から始まっていた。
この本はタイトルにもあるとおり「看取り」について特集されている雑誌である。
彼はこの雑誌に自身の体験をふまえて文章を寄稿している。
詳しくはできたら購入して読んで頂きたいくらいなのだが、ある一つの事例を通じて、看取り、終末期におけるリハビリテーションのあり方について、彼らしく丁寧に描かれた内容となっている。
尿路感染症や食事摂取量の低下などにより、思うように運動療法が展開できずに、衰えていく生活の中で「娘様とお孫様と花見を楽しむ」という目標をかかげて、リハビリテーションに励まれたある男性について書かれている。
これを読んで私自身、かなり励まされた。
今から約15年以上前の学生の頃、私の臨床実習は県のがんセンターであった。私には毎日通っていた緩和ケア病棟での思い出がいまだに根強く残っている。
指導者は私にこう言った。
「とにかく最期まで病室に顔を出しなさい」
「必ずリハ職ができることは最期まで残されている」
「ずっと関わっていた同じ顔ぶれが、また続けて顔を出すことに大きな意義がある」
「ADLが低下してもQOLが向上する事は必ずしも夢物語ではなくて、実現不可能ではない。」
「苦痛の緩和とQOLの向上を重視した関わり」を関連機関と相談しながらシフトチェンジしていったれおさんの体験は、まさにそれを証明するものである。
無事娘様と桜を見て大好きなアルコール(この時はノンアルコールビールだった)を飲んで、喜ばれていた彼はその後ゆるやかに低下して命を終える。
ご家族かられおさんは大変感謝されて幕を閉じる。
どのようにご本人のことばを受け取るか。
なるべく「受け取ったまま」のことばを共有することを彼は提案している。
セラピストがことばの一部を解釈して伝えてしまうことを危惧しており、そして、どのようにしてチームに共有していくのか(ここではICTの活用について記されている)が肝心であることも明記されている。
なお、この雑誌は、れおさんが普段から関わりのあるクリニックの医師や、作業療法士とともに執筆した内容となっており、昨年の12月にはそのメンバーで座談会と称した、振り返り会がzoomでなされていた。
私もれおさんにお誘いを受け、座談会の様子を見せて頂いた。非常に和やかで気さくな雰囲気で始まった座談会は(お互いお酒を飲みながら話されていた)普段からの信頼関係が垣間見えるような、深い話ややり取りをされていた。
私が気になったのは、終末期においてリハでできること。
もっともっと他職種やサービスを受ける人にどうやったら伝えていけるのか.....。
「運動療法をする人」というイメージをもたれやすいが、能力が緩やかに落ちていく中でも、最期まで関われることがあること。
今回のれおさんのような事例を一つ一つ積み重ねていくこと。普段から他職種と看取りについての会話や勉強会などを通じて、チームとしての一体感を高めること。日々の臨床を共有していくこと。
まわりに少しずつ浸透していくような草の根の活動が重要であると思われる。
れおさんの影響を受けて、私はこんなものを購入した。
雑誌でも書かれていたこのカードは、誰でも簡単に人生の最期の価値観についてゲーム感覚で話しあえるものだ。
いくつかやり方があるのだが、ひとまず購入した日に夫と「ペアーズ」という方法でやってみた。
お互いに36枚のカードの中から
私にとって、とても重要
私にとって、ある程度重要
私にとって、重要でない
に分ける。
「とても重要」に選んだ中から、さらに10枚を選び、お互いになぜ重要なのかを話すというものだ。
本来はAさんが自分に選んだものと、BさんがAさんが選びそうなものを、お互いに選出するのだが、今回はお互いのものだけ選んで眺めて話してみた。
これだけでも2人は違っていた。
そして同じところもあった。
話しているとお互いの価値観が違うことが明らかになっておもしろかった。
こんなに近い存在なのに、まだまだよくわかっていないことが多いのだなと感じた。
今後もお友達や我が子、両親、もちろん臨床の場面でも使っていきたいと思っている。おすすめしてくれて、感謝の気持ちしかないのである。
今回の記事はれおさんについて書かせてもらった。
星の王子はいつでも瞬いている。
そして、周りの人へこまやかに光を届けてくれている。
私も迷った時は光を頼りにして、進んでいきたい。
同じ職業人として恥じることがないように
互いに励んでいきたいと願っている。
またこれからもよろしくね、れおさん。
サポートは読んでくれただけで充分です。あなたの資源はぜひ他のことにお使い下さい。それでもいただけるのであれば、私も他の方に渡していきたいです。