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中編

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少し長めの怪談です。
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2022年5月の記事一覧

揺れ【オカルト】

揺れ【オカルト】

私の実家は九州のとある山岳地帯に位置し、庭からは近隣の(と言ってもそこそこに離れてはいる)点々と存在する民家を一望出来る。かなりの田舎故にコンビニは勿論、インフラも整っていない。以前は二時間に一本あったバスも不況の影響を受けて更に減便、車頼りの生活が加速していた。然しながら年寄りが多い為、公共交通機関が無くなる事は本当に死活問題だった。

そんな私の実家で起きた不思議な体験だ。

実家はかれこれ築

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瓜二つ【オカルト】

瓜二つ【オカルト】

 集団下校中の児童3人が夜になっても帰って来ず、そのまま行方不明になってしまったという事件が起きた。犯人の目星も付かず証拠品も何も見つからない。
 話に上がるのは、消えた児童と似た格好をした人物がいたらしいという事だけ。結局、一年が経過しても犯人が見つかる事はなかった。
 ある日集団下校のお知らせが届いて、仕事でいない夫の代わりに私が他の子達と共に帰る予定になっていた。子供が勢い良く昇降口から飛び

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地下鉄

 高校二年の夏、友達に連れられ茹だる暑さの街中を歩き回り、無駄に冷房の効いたビルを行き来したせいもあって気分が最高に悪くなっていた。
 元はと言えば私が買い物に行きたいと言い出したのだが、途中で話題のジュースを手に入れる為、炎天下の歩道で待っていたのも良くなかった。案の定日射病にかかり、買い物は中断。涼しい店内で休んだおかげである程度回復したものの、友達と帰る方向が逆だったので一人で帰る他なかった

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海浜公園【怪談】

海浜公園【怪談】

これは私が中学校にあがり、新しく出来た友人達と近くの海浜公園まで遊びに出掛けた時の話です。
家から公園までは2駅と程近く、海開きに合わせて出来たレジャー施設の事もあってそこに行くと決まりました。何処まででも続きそうな海岸線と小さい子供も遊べる遠浅が目玉で、毎年と言っていいくらいテレビで報道されていました。
私達は海に着くなり必要無さそうな浮き輪とカラフルな水鉄砲を取り出して、宿題も学校のあれこれも

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