ChatGPTと書く小説/哀しい男と女の物語/2.キャラクター設定/(1)職業人としてのアイデンティティの揺らぎ
前回の終わりに、Chat君にストーリーの先を書いてもらおうか、出だしのシーンを書いてもらおうかと悩んでいた私は、肝心なことを忘れていました。主人公二人のキャラクタ―設定、です。
ストーリーがあっても、その中を生きるキャラクターがいなかったら、文字通り「話になりません」。Chat君に主人公二人のキャラクタ―を設定してもらうことにしました。
私は《人間は生きるために働くのであって、働くために生きるのではない》そして《人間は職業人である前に個人である》と信じています。
しかし、一方で、現役の職業人である間は、個人としての在り方が職業を媒介項にして現れやすいとも思っています。
また、物語つくりの技術面からみると、職業人としての側面はキャラクターの活動と関心の範囲を限定しやすいので、ここから始める方がやりやすそうです。
そこで、まず、職業人としての設定から手を付けたのが、今回です。
前回はこちら:
1.キャラクター設定の方針
ここは、Chat君へのお願い文で、かなり誘導しました。男女ともに
職業的なアイデンティティが揺らぎ始めているが、本人は、まだそのことを明確に自覚できていない
という設定にして、この状況が二人を「道ならぬ恋」に追いやる最初の契機になるという展開にしたいと考えたからです。
私は、《職業的アイデンティティの揺らぎ》は、次の5つの段階を踏んで、本人に自覚されるようになると考えています。
[段階1]
心の深いところで⦅揺らぎ⦆が生じるが、それは深いところでの現象なので、本人は自覚がない。
[段階2]
《揺らぎ⦆が心の深い層から、より浅い層へと徐々に伝播し、波紋を起こしていく。
[段階3]
《揺らぎ》からくる波紋が本人の意識に上り始め、本人に、‶自分が今までの自分ではなくなってきている” という⦅自己違和感⦆を感じさせるようになる。
[段階4]
《自己違和感⦆に相当に苦しむようなって、初めて、本人が自分の心の中を見つめるようになる。
[段階5]
本人が、自分の心の深いところで生じている《揺らぎ》を自覚する。
この小説の主人公二人が、[段階2]と[段階3]の中間にある、つまり、違和感の兆しが現れ始めた状態から、この物語を始めたいと思います。
2.男性の事情
男性については、職業人としてのアイデンティティの揺らぎが、《本人は無自覚だが、会社に対してある種の反感を抱いている》という形で現れ始めていることにしました。
2-1.私からのお願い文
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A middle-aged manager of an engineering and construction company is dispatched to a consortium of which his employer is one of the most influential members. He is an intelligent and diligent manager but he bears a slight grudge, which he is unaware of, against his employer. Please tell me, in Japanese possible causes of his grudge against his employer.
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英語ではdispatch(派遣)としましたが、物語の舞台は日本にするので、これは「出向」です。
《知的で仕事熱心なマネジャーだが無意識のうちに会社に対してある種の反感を覚え始めている》ことにして、その反感の原因として考えられるものを、Chast君に列挙してもらいました。
3回生成してもらいましたが、各回で上がってきた理由のほとんどは、名称は異なれ内容的には重複していました。そこで、代表的な理由とそれが挙がっている生成回を一覧表に整理しました。
煩雑さを避けるため、ここでは、その表だけをお見せします。生成された文章そのものは、「【付録】Chat君の設定(オリジナル)」をご覧ください。
2-2.Chat君の設定/3回の生成の対比表
表中の数字は、代表的な理由R1~R12に該当する項目の件数です。一つの生成文の中に、内容的にR1~R12のいずれかに括ることができる項目が2つ列挙されていた場合は、それを2と数えています。同一理由として括れる項目を3つ以上含んだ生成回はありませんでした。
ChatGPTの仕組み上、従来から私たちが見聞きすることの多かった内容が挙がっています。処遇に関するR1~R3、社内の風通しに関するR4、そして社内での影響力に関するR7~R9です。
全体で1件しか上がっていないが私が注目したいのが、R12です。R1~R3およびR7~R9の背後に社員と会社の文との間のミスマッチが隠れていることが多いと思うからです。このあと物語を作っていく際には、R12的な側面にも目配りしたいと思っています。
3.女性の事情
女性については、職業人としてのアイデンティティの揺らぎが、《自分が仕事の中で ”消耗させられている” 感覚を抱く》という形で現れ始めていることにしました。
3-1.私からのお願い文
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A middle-aged female human-resource manager of a large electronics company is dispatched to a consortium of which her employer is one of the most influential members. She is an intelligent, diligent and highly integrated human-resource manager but she feels her jobs in human-resource management may have been exhausting her. Please tell me, in Japanese, possible causes of her feeling that she may have been exhausted .
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男性の場合は単にマネジャーと指示しただけでしたが、女性については人事部門のマネジャーと、担当部門を決め打っています。
私には人事の仕事がいちばん想像しやすいので、二人のうち一人は人事出身にしたいと思っていました。ですが、男性を人事出身者にすると私が彼から距離を置くのが難しくなりそうに感じ、女性を人事出身者にしました。
《知的で仕事熱心、誠実で思いやりのあるマネジャーだが仕事の中で消耗されつつある感覚を持ち始めている》ことにして、その消耗感の原因として考えられるものを、Chat君に列挙してもらいました。
男性の場合と同じく、代表的な原因とそれが挙がっている生成回を一覧表に整理したものをお見せします。
3-2.Chat君の設定/3回の生成の対比表
男性の場合に多く登場した処遇と評価に関する項目が、こちらでは上がってきませんでした。《”消耗感” の原因》と指示した結果だと思います。処遇と評価は男女を問わず職業生活に大きな影響を与える要因なので、やや困った結果になってしまいましたが、それについては、この先、物語の中で補っていくようにします。
4.次回以降の進め方(未確定ながら)
次回は、家庭人の側面で二人のキャラクター設定をしたいと思います。家庭人となると、活動と関心の範囲が、職業人の場合より格段に広くなります。
あまり広げ過ぎると収拾がつかなくなりそうだし、かといって狭めすぎると感情移入して読んでいただける方が限られてきそうな気もします。
このあたりの兼ね合いがとても難しそうなので、よく頭を整理した上で、Chat君にお願いする必要があると思っています。
うまく頭の整理がつかないようだったら、取りあえず二人の職場風景を描いてもらってみるかもしれません。このあたりは未確定です。
今回は、ここまでにしておきます。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回はこちら:
最後に、Chat君が生成してくれたままの設定を引用しておきます。
【付録】Chat君の設定(オリジナル)
【付録1】男性の事情
第1回生成ーーーーーーーーーー
In Japanese, possible causes of the middle-aged manager's grudge against his employer might include:
昇進の機会の不均等 (Shoushin no kikai no fu-kintou): Inequality in opportunities for promotion.
給与の不公平 (Kyuyo no fukouhei): Unequal compensation.
意見や提案の無視 (Iken ya teian no mushi): Ignoring his opinions and suggestions.
過度な仕事の負担 (Kado na shigoto no futan): Excessive workload.
不適切な評価 (Futekisetsu na hyouka): Unfair performance evaluations.
優れたアイデアや業績への適切な認識の不足 (Sugureta aidea ya gyouseki e no tekisetsu na ninshiki no fusoku): Lack of proper recognition for his innovative ideas and achievements.
コミュニケーションの不足 (Komyunikeshon no fusoku): Poor CC
感謝の欠如 (Kansha no ketsu): Lack of appreciation for his hard work and dedication.
These factors may have contributed to the manager's grudge against his employer, even if he is not fully aware of them.
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第2回生成ーーーーーーーーーー
In Japanese, here are some possible causes of the middle-aged manager's grudge against his employer:
昇進の不公平感 (Shōshin no fukōhei-kan): The manager may feel that he deserved a promotion but was passed over for it, leading to a sense of unfairness.
給与の不満 (Kyūyo no fuman): He may be dissatisfied with his salary, believing that he is not being adequately compensated for his work and contributions.
仕事の過重負担 (Shigoto no kayō futan): He might think that he is being given an excessive workload or too many responsibilities, causing stress and resentment.
コミュニケーションの不足 (Komyunikēshon no fusoku): A lack of effective communication between the manager and the employer can lead to misunderstandings and feelings of neglect.
意見の尊重不足 (Iken no sonchō fusoku): If the manager's ideas and suggestions are consistently ignored or not taken seriously, he may develop a grudge.
キャリアの発展の制約 (Kyaria no hatten no seiyaku): He may perceive that his career development within the company is being restricted or that he is not given opportunities to advance.
契約条件の変更 (Keiyaku jōken no henkō): Changes in his employment terms or conditions, without his consent or input, can create resentment.
不適切な振る舞い (Futekisetsu na furumai): Experiencing inappropriate behavior or mistreatment by colleagues or superiors within the company can lead to a grudge.
プロジェクトへの不公平な扱い (Purojekuto e no fukōhei-na atsukai): Perceived favoritism or unfair treatment in project assignments might contribute to the grudge.
組織文化への適応の難しさ (Soshiki bunka e no tekiō no muzukashisa): The manager may struggle to adapt to the company's organizational culture, leading to feelings of frustration.
Remember that these are hypothetical causes, and the manager's grudge could be due to a combination of factors or entirely different reasons.
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第3回生成ーーーーーーーーーー
彼の雇用主に対する軽微な不平を引き起こす可能性のある原因は、以下のようなものが考えられます:
昇進の機会不足: 彼が中年のマネージャーであるにもかかわらず、昇進の機会が限られている場合、不満が蓄積しやすくなります。
給与不満: 他のメンバーと比べて、彼の給与が適切に認識されていないと感じるかもしれません。
重要な意思決定への参加機会の不足: 彼がコンソーシアムの中でより重要な役割を果たす機会が限られている場合、彼は不平を抱く可能性があります。
コミュニケーションの不足: 彼が情報を適切に共有されていないと感じ、組織内でのコミュニケーションの不足に不満を感じるかもしれません。
プロジェクトへの関与度の低さ: 彼がプロジェクトにおいて他のメンバーよりも十分に関与していないと感じる場合、不平が生まれる可能性があります。
これらの要因は、彼の雇用主に対する不満を引き起こす可能性がありますが、彼自身がその不平を自覚していない場合もあるでしょう。このような感情や課題は、オープンかつ建設的なコミュニケーションを通じて解決できる可能性があります。
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【付録2】女性の事情
第1回生成ーーーーーーーーーー
彼女が人事管理の仕事に疲れていると感じる可能性のある原因は、以下のようなものが考えられます:
長時間労働: 電子機器会社の人事マネージャーとして、長時間の労働や残業が必要である可能性があり、これが疲労感を引き起こすことがあります。
人的リソースの高い需要: 電子機器業界は競争が激しく、従業員の採用やトレーニング、問題の解決などが多忙であるかもしれません。
ストレスとプレッシャー: 重要な意思決定や人事上の課題に関わる仕事は、ストレスとプレッシャーを生むことがあり、これが疲労感をもたらす可能性があります。
仕事とプライベートのバランスの喪失: 高い責任と要求の仕事が、プライベートの時間とバランスを取りにくくしてしまうことが、疲労の原因となることがあります。
組織の変化や不満: 組織内での変更や不満が、彼女の仕事の疲労感を増加させる可能性があります。
キャリアの焦り: 彼女が自身のキャリアの発展に焦りを感じ、そのプレッシャーから疲れを感じることがあります。
これらの要因は、彼女の人事管理の仕事に疲れを感じる原因となる可能性があります。彼女の健康と幸福を考える上で、これらの要因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
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第2回生成ーーーーーーーーーー
彼女が仕事が疲れている可能性のある原因は、以下のようなものが考えられます:
高い責任とプレッシャー: 人事マネージャーとして、従業員の雇用、トレーニング、評価、および労働法に関する多くの責任がかかることから、プレッシャーやストレスが高まり、疲労を感じる可能性があります。
人材不足: 人材マネージャーとして、彼女は従業員の採用と維持に関する責任があるかもしれません。十分な人材リソースがない場合、仕事の負担が増え、疲れを感じることがあります。
組織内のコミュニケーション問題: 組織内でのコミュニケーションの問題や対立が、人事マネージャーにストレスをもたらし、疲れを引き起こす可能性があります。
長時間労働: 人事マネージャーは、忙しい期間や緊急の問題に対処するために長時間労働することが多いため、労力を使い果たすことがあります。
個人の需要とのバランスの欠如: 仕事と家庭生活、個人の需要とのバランスを取りにくい場合、疲労感が生じることがあります。
これらの要因は、人事マネージャーとしての彼女の仕事が疲れを引き起こす可能性のあるものです。彼女が感じる疲労を軽減するために、組織との協力やストレス管理の戦略が重要かもしれません。
第3回生成ーーーーーーーーーー
彼女が人事管理の仕事に疲れを感じる可能性のある原因は、以下のようなものが考えられます:
高い負荷とプレッシャー: 彼女が大手電子企業の人事マネージャーとして、大規模な組織を担当している場合、業務負荷とプレッシャーが非常に高い可能性があります。
長時間労働: 人事管理の仕事は、時折長時間労働が必要であり、仕事とプライベートのバランスが難しいことが疲労感の原因となる可能性があります。
非効率的な業務プロセス: 業務プロセスが効率的でない場合、同じ作業を繰り返し行う必要があるため、疲労感が生まれる可能性があります。
高い期待と責任: 彼女が組織内で高い地位にある場合、彼女に対する期待と責任も高いため、それが疲労を引き起こす可能性があります。
コミュニケーションの負担: 人事マネージャーは、従業員とのコミュニケーションや問題解決に多くの時間とエネルギーを費やすことがあり、これが疲労感の要因となるかもしれません。
彼女が疲れを感じている場合、これらの要因を評価し、業務負担を軽減するための効果的な対策を検討することが重要です。また、上司や同僚とのコミュニケーションを通じて、感情やストレスを共有し、支援を受けることも役立つでしょう。
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