漢方仙人による漢方逸話『春はストレスの季節!柴胡加竜骨牡蛎湯の出番なのじゃ』の巻
今回はちょっと長い名前なんじゃが、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方処方について説明しよう。
春は変化の季節じゃ。新しい学校、会社、職場、環境などでストレスを受けることが多くなるのう。その流れが五月病になって現れるのじゃが、その症状のうち、不眠は高い頻度で発生するのう。
その不眠に使われる代表処方が今回の漢方処方の柴胡加竜骨牡蛎湯じゃ。
この処方は、特に寝つきの悪い不眠(入眠困難)に使用されておる。ストレスを受けると様々な不定愁訴(うつ、イライラ、不眠、頭痛、食欲不振など)が引き起こされるのじゃが、このような状態には柴胡(さいこ)という生薬がよく使われておる。この柴胡は精神安定作用があるとされており、今回の柴胡加竜骨牡蛎湯にも中心生薬として配合されておるのじゃ。この柴胡は以前に説明した加味逍遙散(更年期障害に使用)にも含まれておる生薬じゃ。
さらに竜骨(りゅうこつ、古代哺乳動物の化石)、牡蛎(ぼれい、カキの殻)が含まれておって、寝つきの悪い不眠に対応しておる。読者の中には化石やカキの殻といった、こんなものが生薬として使われているのかと驚いた方もいることじゃろう。これらは天然のカルシウム剤で鎮静作用があるのじゃ。
この柴胡加竜骨牡蛎湯は西洋医学の睡眠薬のような速効性は持ちあわせてはおらぬが、心と体を安定した状態にして自然な睡眠につなげる作用があるとされておる。
併せて行うと良い生活養生としては、パソコン、スマホは早めに切り上げる、ぬるめのお風呂にゆっくりつかるとよいので試してみるのじゃな。
今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思うのう。