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社会的地位が高い人にはサイコパスが多い

【サイコパス / 中野信子】

◼︎ サイコパスはアメリカでは全人口の4%

◼︎ 精神医学ではサイコパスと言うカテゴリーではなく「反社会性パーソナリティ障害」という診断基準になる

◼︎ 脳内器質のうち、他者に対する共感性や痛みを認識する部分の働きが一般人とサイコパスとされる人々では大きく違うことが明らかになっている

◼︎ 大企業のCEOや弁護士、外科医といった大胆な決断をしなければならない職業種の人々にサイコパスが多い

◼︎ 日本では、およそ100人に1人くらいの割合でサイコパスがいる

◼︎ サイコパスは白か黒というものではなく、人類の中にグレーゾーンのような広がりをもって分布している

◼︎ サイコパスは、個人主義が発達している欧米には多いが、集団主義的な社会である東アジア圏では相対的に少なく、男性より女性の方が少ない

◼︎ サイコパスの特徴
• 外見や語りが過剰に魅力的でナルシスティック
• 恐怖や不安、緊張を感じにくく、大舞台でも堂々として見える
• 多くの人が倫理的な理由でためらいを感じたり、危険に思ってやらなかったりすることも平然と行うため、挑戦的で勇気があるように見える
• お世辞がうまい人ころがしで、有力者を味方につけていたり、崇拝者のような取り巻きがいたりする
• 常習的に嘘をつき話を盛り、自分をよく見せようと主張をコロコロと変える
• ビックマウスだが飽きっぽく物事を継続したり、最後までやり遂げることが苦手
• 傲慢で尊大であり、批判されても折れない、懲りない
• つきあう人間がしばしば変わり、付き合いがなくなった相手のことを悪く言う
• 人当たりは良いが、他者に対する共感性そのものが低い

◼︎ 無責任の生活スタイルを選択するといった傾向がある

◼︎ MENSA : 人口上位2%の知能指数を有する者が入れる団体

◼︎ サイコパスが一定割合で存在するのもある意味では人類の種の保存にとってプラスに働いたからでもあり、人間社会はサイコパスがいたからこそ発展してきたという可能性もある

◼︎ 刑務所に入る受刑者の平均20%がサイコパスであり、重大犯罪の半数以上がサイコパスによるもの

◼︎ アメリカが国家負担するサイコパス関連の年間費用は2011年で4600億ドル(約49兆円)になる

◼︎ 他人がどうなろうと、その相手を思いやるということはない

◼︎ 論理的な思考や計算はできるが、他人への共感性や思いやり、恥の意識、罪の意識が欠落している

◼︎ アトロピン: アルカロイドの一種で、副交感神経の作用抑制、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用があり、モルヒネの真逆の効果

◼︎ 重度の統合失調症などとは異なり、妄想や幻覚といった症状は無い

◼︎ 自己愛性パーソナリティ障害: 自分は優れていて素晴らしく、特別で偉大な存在でなければならないと思い込む人格障害

◼︎ 殺人の際、人を殺すのに必要なレベルをはるかに超えた暴力を対象者に加えるという傾向がある(首を絞めて小さくしさせるだけではなく、身体がボロボロになるような殺し方をするなど)

◼︎ 第一印象がとても良く、礼儀正しくタレント性があり、人によっては無邪気にすら見え、簡単に相手の信頼を得ることができるのが特徴

◼︎ 顔の横幅の比率が大きい男性ほどサイコパスシー傾向が高い、ないしは反社会的性向が高い

◼︎ 男性ホルモン(テストステロン)濃度が高いほど顔は横に広くなる傾向がある

◼︎ テストステロンの分泌が多いと、競争心や攻撃性が高まることが証明されている

◼︎ 心拍数がもともと低く、上がりにくい人の方が反社会的行動を取りやすい

◼︎ 3歳の時に心拍数が低い子どもがのちに暴力や非行をする割合はそうでない子どもの2倍

◼︎ 男性の方が、女性よりも心拍が1分間に約6ほど遅い

◼︎ 冷静さを失わないタイプの虐待者は、アームチェアでくつろいでいる時よりも、人を殴っている時の方がリラックスする

◼︎ 心拍数が低いと、心拍数が低いことによって生理的な不快さを感じやすい為、心拍数を最適なレベルにあげようとして強い刺激を求めてしまう

◼︎ 心拍数の低さとは、性格上の特性と関連するある種の資質である

◼︎ サイコパスIQが高いと言われているが、総じて優れた知能を持つわけではなく、一般人と同じように賢い人もいれば頭が悪い人もいる

◼︎ 共感性が低い (餓死に苦しむ人などの資産の画像を見せても感情と関連する部分の脳は活性化しない)

◼︎ 他人の悲しみを目の当たりにした時、自律神経(循環器、消化器、呼吸器などの活動を調節するために、24時間働き続けている神経)の反応はサイコパスは一般人よりも弱い

◼︎ 表情や音声から他者の感情を読み取る実験を行うと、怒り、喜び、驚きといった感情については一般人と同程度に読み取れるものの、恐怖、悲しみ、を察する能力には欠けている

◼︎ サイコパスは相手の目つきや表情からその人が置かれている状況を読み取る才能が際立っている

◼︎ サイコパスは自分自身が共感することは無いけれど、他人が悲しんでいる苦しんでいるなどの心理状況に置かれているということを読み取る事は得意

◼︎ まばたきの頻度は、その人物が不安をどれぐらい抑制できているかに関して信頼できる指標 (まばたきの回数が多い人=不安コントロールできていない)

◼︎ サイコパスは、一般人よりもまばたきの回数が少ないという特徴をもっている

◼︎ 好意の返報性 : 借りがある人には何かお返しをしなければならないという心理現象

◼︎ 好意の返報性を悪用し、上下関係を完成させていく

◼︎ 知覚能力: 外界からの刺激を感じ取り、意味づけする能力

◼︎ 道徳によって判断する事はなく、合理的なのだからそれが正しいと考える

◼︎ 脳の扁桃体と呼ばれる部分の活動が一般人と比べて低い

◼︎ 扁桃体: 大脳辺緑系(快感や喜び、不安、恐怖といった情動を司る領域)の一部、耳より上の奥側、海馬の先のあたりにある領域で左右両側にひとつずつある

◼︎ 扁桃体を手術で、取り除いてしまうと、怒鳴り声や悲鳴、怒りの声のような否定的なサインが理解できなくなる

◼︎ クリューバー•ビューシー症候群: 食べれないものでも手当たり次第口に運んだり、あらゆるものに対して発情し交尾をしかけたり、以前恐れていた動物などに平気で近づくようになる

◼︎ 報酬系: 人や動物の脳において何かが欲しいとかしたいといった欲求が満たされたとき(あるいは満たされることがわかった時)に活性化し、快の感覚を与える神経系

◼︎ 人間は美しいものに触れる、好奇心を満たす、他者に必要とされる愛される、次世代を育てるなど高次で社会的長期的な行動において報酬系が活性化する

◼︎ コカインのような多幸感をもたらす薬物は扁桃体をはじめとする大脳辺緑系に作用する

◼︎ サイコパスの脳では、恐怖や不安といった情動よりも、理性•知性が働きやすい

◼︎ ハイリスクハイリターンを好む

◼︎ 成人のサイコパスには、後帯状回(悲しかった嬉しかったなどの情動的な経験を蓄積する場所で、そうした情動記憶を思い出す役割、あるいは出来事を振り返って反省するという自省能力に関係している領域)の機能不全も認められる

◼︎ 社会的地位が高い人にはサイコパスが多い

◼︎ 逮捕されたことのある反社会的な人物は、善悪の判断に関わる前頭前皮膚の灰白質(神経細胞であるニューロンの細胞体が集まった部位)が正常の4分の3しかない

◼︎ 古代ギリシャ人は筋肉の痙攣や顔の赤面といった手がかりが嘘を明らかにすると考え、人相学という学問を作った

◼︎ 古代中国では、犯罪者が嘘をついているかついていないかを見分ける方法として、容疑者に米粉を含ませて吐き出させ、その湿り具合によって乾いていれば黒と判断した

◼︎ ポリグラフは正確に言うなら、緊張検知器であってウソ発見器ではない

◼︎ 1891年にドイツの精神科医が、良心の欠落、反社会的人格を “Psychopathiche Minderwertigkeiten (サイコパス的障害)”と名付けた、これが歴史上初めてのサイコパス発見

◼︎ 空想虚言癖: 自分の空想現実より優先、あるいは自分の空想を現実にするために、事件を起こしてしまう

◼︎ サイコパスは、治療しても効果が得られない、それは効果的な治療に必要な人間同士の感情的な結びつきを作ることが出来ないからである

◼︎ サイコパスの診断基準
表面的な魅力、不安の欠如、罪悪感の欠如、信頼できない、不誠実、自己中心的、親しい関係を継続して作れない、罪から学ばない、情動の乏しさ、自分の行動が他人に及ぼす影響を鑑みることができない、将来の計画を立てられない 等

◼︎ ドーパミンは、生体にとって利益となる行動をプラス評価して、脳に記憶、学習させるという機能を担っている

◼︎ 脳内のドーパミンの量が多くなると、何かに集中しやすくなる、恋愛が始まる頃の高揚感や仕事で大成功を収めたときの気持ちよさもドーパミンによってもたらされ、ドーパミンが出ている限りは興奮した状態がずっと続く

◼︎ 人間の脳にとってドーパミンは基本的に報酬として働く

◼︎ 環境ストレスがかかった人間は、海馬が萎縮、情動回路の反応性が増大し、感情的に攻撃するようになる

◼︎ 母親が妊娠中にアルコールを大量摂取すると、子どもの右の海馬が左の海馬より大きくなる傾向にある

◼︎ 戦場でためらいなく敵兵を撃てるのは100人に1人か2人しかいない

◼︎ 生存と繁殖のために集団をつくり生存確率を上げてきたのが人間

◼︎ ネットで炎上という現象が発生するのも、人類の歴史上、抜け駆けする存在や裏切り者がいれば、共同体全体が危機に晒されてきた為、ルールの逸脱者に対してサンクションを発動するメカニズムが瞬時に起こり、生起した衝動に従って行動することが大きな快感を人間にもたらすからである、その行為は脳にとって正義である

◼︎ 人間社会が多様であり、かつまた変化してくるものである以上、社会性の基準は常に変化する

◼︎ 男性は伴侶を持って子どもができると、愛情形成をつかさどるオキシトシンというホルモンの濃度が上がり、攻撃性を司るテストステロンの濃度が下がる(攻撃的な男性も家族を持つと丸くなるなど)

◼︎ 女性が理性的な答えを踏みにじり、ダメ男のほうに引き寄せ慣れてしまう時期は月2回ある
(①排卵期の前後3日ほど②生理前の1週間)
これは女性ホルモン(エストロゲン)が下がるのと同時にセロトニンの濃度も下がる、すると不安傾向と衝動性が高くなり、冷静な判断がしにくくなってしまう可能性が高くなるため

◼︎ 進化心理学は、人間が心や感情を持った方が環境に対してより適応的だったから人類の心や感情は生まれたと説明している

◼︎ サイコパスは高いプレゼンテーション能力を持つ (相手が喜ぶことを言って巧みに心理を操る、あるいは逆に相手の弱みを見つけて揺さぶることが得意であるため)

◼︎ 出世した人間にはサイコパスが多い

◼︎ 日本は国土面積を全世界の0.25%しかないが、自然災害による被害総額は世界上位に位置している

◼︎ 生物として見た場合、もともと人類は個体としてはそれほど強い種ではない

◼︎ 状況がどれだけ混乱していても、周囲が拒否反応を起こしていても冷静でいることが可能で、みんなが自信を喪失している状況の中でも自信満々に振る舞う

◼︎ 困っている人に手を差し伸べることを好む献身的な人間はサイコパスにとってはつけ込みやすくに利用しやすい

◼︎ 自己犠牲を人としている人をサイコパスに目をつけられやすい

◼︎ 人々は煽って怒った様子を楽しみ、悪目立ちしたり、賛否を問わず大きく話題になると刺激になり快感を得る

◼︎ サイコパス女性は、男性よりも家庭、家族、あるいは、恋人などプライベートの領域で周囲に危害を与えることが多く、それゆえに見つかりにくい(告発、通報されにくい)

◼︎ 人間の脳は信じる方が気持ちいい

◼︎ 人間のドーパミンの分泌量は中高年になると減っていく、それによって落ち着きが出てくるというプラスの面もあるが、前頭葉を使うことで生じる快感や自分で意思決定することの喜びが得にくくなるマイナス面もある

◼︎ 他人を疑う事は、脳にかかる負荷が高い行為である

◼︎ サイコパス男性は短期的なパートナーは誰でもよく長期的なパートナーとしては、サイコパス女性を好む、それは刺激的な相手でないとサイコパスは満足できないからではないかといわれている

◼︎ 認知負荷: 人間の脳は自分の判断を行うことが負担で、それを苦痛に感じる

◼︎ 認知的不協和: 自身の中で矛盾する認知を同時に抱えて不快感(葛藤)おぼえると、その矛盾を解消しようと都合の良い理屈を作り出す、いったんこれは正しいと思い込んだことが後から間違っていると証拠を突きつけられた場合、人間の脳は言い訳の理屈を考え出し、何とか間違いを認めずに済むようにしようとする

◼︎ 脳は何かを信じたらそのまま信じたことに従い、自分の意思決定しないほうがのに負担がかからず楽である

◼︎ サイコパスは、最近になって急に現れてきた存在ではなく、サイコパスという名称がなかっただけで、昔からそれにあたる人たちはいた


【2024年5月  1/3冊目】

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