
令和7年1月に読んだ本の記録
今年に入ってから自宅であまりお酒を呑まなくなったのでその分、読書の時間が増えたように思います。相変わらず買うだけ買って読めていない雑誌なんかも多いんですが、「買う」ということそのものが大事である気もするのです。
さて。
そんなわけで令和7年も変わらず読書を楽しんでいくことにいたしました。
本を読むことは自分の書く文章に影響を及ぼします。もっと言うなら間違いなく自分の人生に影響を及ぼしています。いい面も悪い面もあるのでしょうが、俯瞰してみると仮に悪い面があったとしても少しずつ右肩上がりになっているような、それが読書というものではないかと思います。
映画鑑賞やスポーツ観戦、観劇、ライブ鑑賞なども全てそうでしょう。
大事なのは変に「その道に一家言ある専門家」を気取らないことです。少し前に日経新聞夕刊のコラムで能楽師の安田登さんが書いていましたが、(記憶が曖昧なので以下、かなり事実と違うことを書くかもしれないのでその旨ご了承ください)作家の夢野久作(僕と同じ誕生日🎵)は能をやる人だったんですが、能を「んかってる風」の輩が何か言ってくるのが大嫌いだったそうです。
どの道でもそうですが、その道をちょっとかじると専門家にでもなった気分でああだこうだと批評したがる人がいます。映画なんかは特にそうですよね。そうではなくて、安田さんが言うには純粋に素人として如何にあらゆるものを楽しめるか、「純素人」でい続けることが大事なのだ、と、そんなことが書いてありました。
私の今の気分もまさにそうで、いや、今というか、ずっとそうでありたいので、純素人として今年も読書を楽しんでいきたい。
そんなわけで今月読んだ本です。
●池波正太郎『剣客商売〜暗殺者〜』

剣客商売シリーズ第14弾。
シリーズ初となる一巻まるごとの長編でした。
昔は「よくできた大人」で尊敬できたのに地位と名誉を手にしたことで薄汚れてしまった人のことが描かれていて、ああ、そういうのって、江戸も令和も変わらないのねって思いました。「変わったね」と「変わってしまったね」はちがうのだ。「変わってしまったね」になるのはイヤですが、「変わらない」のもダメだと思う。不変的な「芯」を持ちつつ、可塑性も併せ持つ、そうやって生きていきたいと気持ちを新たにしました。夢野久作と同じ誕生日の日に読み終えられたのがなんかよかった。
●東野圭吾『私が彼を殺した』

こちらは加賀恭一郎シリーズ。
前作(タイトル忘れた)に続き、最後まで犯人がわからない腹の立つ小説です。読者を試してきとるんです。私はミステリー小説を読む際に「犯人を当てる」というつもりで読まないので、そんな試され方をしても困るというか、それを求めてないんですっていう。男女の仲なんかでもこういうすれ違いがありますよね。読み終わった瞬間にネットで犯人を検索しました。
●筒井康隆『敵』

これは映画の公開を前にどうしても原作を読んでおきたかったので読みましたが、めちゃくちゃ面白かったですね。元フランス文学専攻の大学教授、渡辺儀助。おじいちゃん。愛妻に先立たれてからも几帳面すぎる暮らしを送っています。スマートでジェントルマンなんですけど、若い女の子の前でええかっこしたがったり、元教え子の女性に対して「あわよくば」っていうところを見せたりする。そんな儀助のもとへ「敵」があらわれるんですが・・・
結局のところ、これも最後の最後まで「敵」が何やったのか、というのはよくわからない。というか、読者にどーんと丸投げしている。そうやって作者が読者を信頼してくれているところを読者は粋に感じてしまう。
しかし果たして私自身、老いぼれたあとの孤独に耐えられるだろうか、なるべくなら妻に先立たれたくはない、と思いました。
儀助の暮らしぶりが実に整っているため、私もその暮らしを見習い、自分なりに整った暮らしをするようになりました。
●パク・ヒア著、たなともこ訳

『K-POPアイドル8人のインタビュー集』
昨年から長らくの間時間をかけて読んだ本。
K-POPに関心が深くない私ですが、とある方から頂戴しましたので、せっかくやし読んでみようかとゆっくり読みすすめておりました。
8人全員知らなかったのですが、インタビューに登場する楽曲の動画をチェックしてみたりするのは意外に面白いもので、また、8人それぞれの「プロフェッショナル」が伝わってくるのもよかった。たぶん、8人のアイドルのファン(ペン)が読むんだと思いますが、私みたいな人間が入門書として読むのもいいと思います。
●松本清張『地方紙を買う女』


献血センターの待ち時間に久しぶりに読んだらやっぱり面白かった。この話が掲載されている『張込み』っていう文庫本はベストアルバム的に短編の名作が収録されているので、献血に行くたびに読むつもり。
●平芳裕子『東大ファッション論集中講義』

神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授の平芳裕子さんが東大で行ったファッションに関する四日間の集中講義を書籍化したやつ。
話題になった本ってやっぱり面白いです。
自分の着用する服についてそんなに気にしませんけど好きな服を着たいし好きな服を着ることで自己表現はしていると思う。
いっぽうで、例えば男の僕はスカートを履いて町を歩くということがしにくいし、実は社会によってある程度我々は服を「着させられて」もいる気がする。
ファッションって何なんでしょうね。ファッションを研究するっていうと、どこか軽く浅くみられがちで、実際日本のファッション研究の第一人者として知られる鷲田清一さんも周囲の先生方にかなり白い目で見られたらしいけど、いやはや、なかなか濃密な集中講義でございます。これ、受講できた人たちうらやましい。
●北方謙三『水滸伝〜輪舞の章〜』

『敵』を読んでから整えた私の暮らし。整えたことにより、あまりにも保存状態の悪かった北方謙三水滸伝全巻を処分してしまったのですが、そうなったらなったでまた読みたくなり、いい状態のものを再び購入いたしました。3巻しかなかったので3巻を購入。本来1巻からちゃんと読みたいタイプなのですが、これまでに2回読了しているのでよしとする。腐敗した政治に叛旗を翻し、世直しのため立ち上がる義賊の物語を私はいま、齢45となり、昔より思い入れを強くして読めるようになりました。
気持ちはいつでも反逆者でいたい。既得権益べったりで人の心を失ってしまう権力者の気持ちなんぞわかってたまるか、くそくらえ。
そんなわけで、すっかり長くなってしまいましたが、読書っていいものですね。今年も本を読む時間を大切にしていたい。
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