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令和6年読書の記録 『みをつくし戦隊メトレンジャー』

 御堂筋レッド、谷町パープル、中央フォレストグリーン、長堀鶴見緑地イエローグリーン、今里オレンジ。五人によるヒーロー戦隊「みをつくし戦隊メトレンジャー」は大阪の安寧と秩序を守るべく、戦い続けています。それぞれの名前から察せられるとおり、大阪メトロの路線とカラーを使った戦隊ヒーローものの物語です。五人は全員、普段は大阪在住の一般人。※正確には、谷町パープルと今里オレンジはヒロイン

 戦隊を率いるリーダーは大阪の大動脈・御堂筋線、著者の万城目学さんが少年時代を過ごしたという谷町線、漫才コンビの二人が担うのは中央線と長堀鶴見緑地線、そして2006年に開業した比較的「地味」な今里筋線をモチーフにした五人のヒーローに加え、のちに千日前ピンクと堺筋ブラウンも登場します。

 五人のヒーローそれぞれの10ページほどの物語はもともと、大阪メトロの各路線にて無料で配布されていたらしい。
 2022年3月18日、御堂筋レッド編が御堂筋線中津駅で、その後は一週間ごとに谷町線四天王寺前夕陽ヶ丘駅で谷町パープル編、中央線朝潮橋駅で中央フォレストグリーン編、長堀鶴見緑地線蒲生四丁目駅で長堀鶴見緑地イエローグリーン編、今里筋線清水駅で今里オレンジ編が順次配布されました。

 この五つのお話に「千日前ピンク&堺筋ブラウン編」などを加え、一冊の本にまとめたものがこちら『みをつくし戦隊メトレンジャー』。万城目学さんのひとり出版社「万筆舎」から出版されました。初お披露目は「文学フリマ大阪」だったらしい。

 「とりとめもなく、そぞろに文章を連ねる」という意味をもつ「漫筆」という言葉の「漫」を万城目さんの「万」に変えて「万筆舎」。「漫筆」について万城目さんは「何とも肩の力の抜けた、気持ちのよい執筆のスタンスではないか」と書いておられます。

 『みをつくし戦隊メトレンジャー』も確かに不思議な脱力感のある、それなのに妙に心温まる、どこか人情味のある物語でありました。今よりもちょっと昔の「あの頃の大阪」って感じ。いや、別にいまの大阪があかんわけではないんですけど。

 私自身、今年二月から「暇書房」なる出版社を立ち上げ、『1人目の客』を発売し、今度はじめて文学フリマに出品することにしたのですが、そんなタイミングで直木賞作家の万城目さんが自身でひとり出版社を立ち上げ、作品を販売しはじめるという、同じようなことをされているということに親しみを覚えるとともに、そんなん先にやられたらこっちがマネしたみたいになりますやん、というそこはかとないくやしさがあります。

 同じ「万筆舎」から今度は万城目学さん、森見登美彦さん、上田誠さんの共著『V3』も最近刊行されました。こちらを読むのも楽しみです。

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万城目さん、かっこええです!


私わくいまことはといえば。
著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」をウェブショップ「暇書房」にて販売しております。万城目さんに負けず私もがんばっていきます。

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