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【書評】『留萌線の記憶』番匠 克久 著


0.はじめに

番匠 克久『留萌線の記憶』を読みました。写真集なので「眺めました」でもあります。『日高線の記憶』と同じ著者です。
2026年廃止予定である留萌本線(深川~留萌 ※2023年に留萌~石狩沼田が廃止)の全駅の写真を収録。秋の紅葉の鮮やかさや過酷な冬の寂寥感が漂う写真が掲載されています。沿線住民の思いを書いたエッセイも付いています。増毛駅まで通っていた時代の写真もあります。


1.感想

「こんな良い景色があったのか」という素晴らしい景色、それを捉えた見事なアングル。過酷な冬の1日を写し取った大雪の写真。歴史と風情ある木造駅舎など、見所満載の1冊でした。
とりわけ良かったのは峠下駅。交換設備もある駅なのですが、周辺に何もなく、秘境度が高い駅です。私は留萌線に乗っていましたが、この辺りの景色はあまり注目していませんでした。
しかし、山にある駅ということもあり、豊かな植物に恵まれていることを本写真集で知りました。美しい紅葉が駅周辺に広がっていましたね。今では廃線となりもう見ることはできませんが、これは写真集がなければ気付きませんでした。俯瞰的視点ならではの景色でした。まさしく、

「見過ごしてた景色は億千万」

の意味を突き付けられる写真でした。

NHKドラマで使われた「恵比島駅」や秩父別町の中心駅「秩父別駅」など木造駅舎が沿線に多いのも留萌本線の特徴。


2.おわりに

JR北海道の経営は厳しいようで、毎年のように路線や駅が廃止されています。来年は宗谷本線や石北線、石勝線で一部の駅が廃止予定です。新駅も最近開業した「ロイズタウン駅」と北広島の球場アクセス駅、新規開業の新幹線駅くらい。それ以外はあまり聞きません。将来的には札幌圏と特急、新幹線以外は残らないとも言われたりします。
そんな北海道ですが、魅力的な駅や路線はたくさんあります。人口密度が低い北海道ならではの旅情もあるのではないかと思います。
ただ、利用者の少ない駅や路線はどんどん廃止されていきます。気付いたらなくなっていた、ということも普通にあり得ます。
だからこそ、

「いつまでも あると思うな 駅と路線」

を胸に刻み、いま乗りたい路線に乗っておきましょう。

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