【アニメ感想】『NHKにようこそ!』 ~引きこもりの世界~
「はじめに」の記事を最初に見てください。概要と注意点が書いてあります。ネタバレします。
所要時間 6分
結構前に見たので記憶が曖昧です...しかし敢えて言おう!これは二次元の皮を被った三次元であると!
世界観重視 1
内面描写重視 9
メッセージ性 8
考察要素 6 合計 24
1、 佐藤(主人公)について
⒞2006 N・H・Kにようこそ!製作委員会
まぁ、要するに引きこもりなんですが、彼が引きこもった理由を考えた際、とても他人事とは思えなくなってきます。以下私の推論です。
幼い頃は優越者または普通のポジションだったが、高校、大学と大人になるにつれて、求められる水準が上がり、周りの人たちに追いつかれてしまう。ん?この流れ見たことあるような...(exリゼロ2期)
で、追いつかれた際に、幼い頃に形成されたプライドのせいで余計に傷つく。佐藤の場合は幼い頃よく褒められたために、他人に認められない=価値がない人間だと思い込んでいる。
ここで留意して欲しいのは、おそらく佐藤は、大勢から認められる自分を理想像と見なしている。しかし現実で、他人からの承認がもらえない自分に向き合う勇気はなく、またその状況を解決する気力もないため、引きこもる...(これを示す心理学用語とかありますかね?詳しい人に任せます。)
どうです?承認欲求を渇望する人が多い現代人にとっては、無関係な話とは思えません。ちなみに私はこうした経験がありました。(唐突の告白)
だから私的には、佐藤を責めることは出来ないです。幼い子は両親がいないと生きていけないから、子供は親の期待を満たして、自分を守ってもらうんですよ。
佐藤は親から関心を得るために、承認欲求を熱望するようになったんです。じゃ親が悪いかって言えば、そうとも言い切れない。
勉強しろって言うのも、成績が良かったら褒めるのも、子供の将来の便宜の為によかれと思ってやっている訳で...うん!難しい!(思考放棄)
で、佐藤はこうした不都合から逃げるために、自分に不利なことは陰謀のせいにするという訳です。「全てNHKのせいなんだ!」(NHK=日本引きこもり協会)
あ、余談なんですが、佐藤って結構クズムーブしますよねぇ。軸があってぶれないキャラが好きな人にはあまりおススメできないかもです。
2岬について
⒞2006 N・H・Kにようこそ!製作委員会
この子はややこしいですね。どのくらいややこしいかと言えば、世界史の東南アジアぐらいややこしいですね。(伝われ)
岬の主な思考回路は二つあると思ってて、
①家庭の崩壊、家庭内暴力の原因を自分だと思い込み(もしくは身内からそう言われたのか)、自分は周りの人を不幸にするからこの世に必要ない人間なんだ、という考え。
②この世は苦しみだらけ。だからこの世を作った神様が全て悪いんだ、という考え。
で、本人的には②の考えでいたい。(そりゃそうや)そのためには、①の反証ができれば良い。
つまり、自分を必要とする人間が表れれば良い。そう!だから岬は佐藤にあんなに優しくするんです。
しかし、悲しい哉、最後に佐藤は岬から離れようとする。
話逸れますが、この場面の佐藤と岬のやり取り(23話)が個人的にとても響きました。
「私に優しくして!私もあなたに優しくするから。」と無条件の愛情を強制する岬。
おそらく岬は、孤独で人と繋がりたいけど、傷つくのは怖いからこうした行動をとった。 私の心の根底にもこうした心情があるような...
しかし佐藤は岬の要求を拒絶。その後、自分はいらない人間だと認識した岬は自殺を図る。
最終的に佐藤が岬を助ける訳ですが、...すいません。ここらへんはよく分からなかったです。
⒞2006 N・H・Kにようこそ!製作委員会
で、アニメの最後で、二人はもう自殺をしないためにある契約をします。日本人質交換会(NHK)...作者はNHKに恨みでもあるんだろうか?
これは、キツく言うと、片方が死のうとした時に、もう片方も死ぬという契約です。そうすると、自分の命が自分だけのものでなくなるから、勝手に自殺できなくなる。
...なんか余計に制約が増えたような... あんまり解決してないような。これがこのアニメの大きな特徴でもあるのですが、まぁ後で話します。
3説得の根拠について
アニメの中盤あたりで、佐藤は他の仲間の計画した自殺プロジェクトに巻き込まれてしまいます。なんとか一命を取り留めるのですが、その後述べられた自殺をしてはいけない理由が私的には気掛かりです。
それは「他人の迷惑になるから自殺はよそう」という理由です。佐藤たちもこれに納得します。
もちろん他人に迷惑がかかる行為はやめるべきですが、自殺しようとしている人はある種の自暴自棄になっていて、他人の迷惑を考える余裕はないと思います。
佐藤たちは、自殺したい気持ちを抑えて、乗り越えた後だから、納得できたんでしょうけれど、まさにって時にこの言葉を掛けるのはあまり現実的ではないなと思いました(誰目線や?)
4作風について
世の中には引きこもりが主人公の作品が沢山ありますが、彼らは、何かしらずば抜けた能力があったり、コミュ力が結構高かったりします。(スバルとかスバルとか)これはストーリーをドラマチックにするために必要なのでしょう。
しかしこの作品は、劇的な展開はほとんどなく、主人公は全然行動しなくて、ぼんやりと不満な日々が続くだけ。 ...現実と似てますねー
ですので、普通に見るとと緩急のないつまらない作品に見えると思います。むしろこの作風?構成?で1,2話があれだけ面白くできたことが驚きです。
だから敢えて言おう!これは二次元の皮を被った三次元であると!
余談です。このアニメ、BGMが結構良くて、気に入ったBGMを3つほど紹介しますね。
・『Puzzle』 ・・・opです。このopを見ただけではとても、鬱アニメだとは思えません。そのくらい明るい曲調です。まさにop詐欺w
・『Ikasuze ! Positive Thinking』・・・テンション上がります。つらい時に聞いてみてください。
・『午睡に垂らす釣り糸』・・・暗いです。でもアニメを見終わってから聞くと心地よい気分になります。ノスタルジーかな?
5まとめ
初回からこんなイレギュラーな作品を紹介してしまいました。
まとめと言っても大したこと書きません。ただシステムとして見て終わりです。
命名する!ずばり、皮被りシステム!・・・ガワは二次元だが本質はそうではない作品に対して使う。いや、ぶっちゃけ、この作品以外で使う機会ないと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!