こうおん教室

2008年より言語聴覚士として活動しております。 大学病院にて、口唇口蓋裂分野を主とし…

こうおん教室

2008年より言語聴覚士として活動しております。 大学病院にて、口唇口蓋裂分野を主とした構音障がい専門の言語治療に従事してきました。 目の前の困っている人だけでなく、まだ見ぬ困っている人の為に活動したいと考え、2023年にこうおん教室を設立しました。

最近の記事

キ・ケ⇒チ・チェに置き換わる…カは言えるのにナゼ?

キとケってどんな音? カキクケコの中でも、キとケだけがキ→チ、ケ→チェに置き換わる方がいます。「ケーキ」が「チェーチ」、「キリン」が「チリン」、「オバケ」が「オバチェ」になります。 何となく、小さい子供が喋っているんだろうな、と想像できますよね。発達途中の小さいお子さんに多く、自然に治りやすいものです。 もちろん、以前記事にした、カキクケコがすべてタ行に置き換わることもありますが、このパターンの方も実は多いのです。なぜこの2つの音なのか、考えていきたいと思います。 カキク

    • 舌小帯短縮症と構音の関係…実際はこうなんです

      舌小帯短縮症とは 歯医者さんで聞いたことがある方もいるかもしれません。 舌小帯とは、口を大きく開けた状態で舌先を力いっぱい上に上げた時に、舌の付け根の中央に見える筋のことです。力いっぱい上げると引っ張られる感覚がありますね。 これが生まれつき短いと舌小帯短縮症となります。短いとどうなるか。舌が十分上がりませんし、舌をベーっと前に出したときに、舌先が引きつってハート形となります。 必要があれば、医師や歯科医師が舌小帯伸展術という手術を施行します。 構音への影響は? 舌の動

      • 一番多い構音障がいは

        それは「側音化構音」です この構音障がいの名称を聞いたことがありますか?「そくおんかこうおん」と読みます。何それ…と感じる方も多いと思いますが、説明を読むと、「あーそんな感じの構音聞いたことがある」「あれ、私もそうかも…」となるかもしれません。 どんな構音か 側音化構音は、構音障がいの中で一番出現頻度が高いと言われています。私の恩師は1クラスに1人は居るとおっしゃっていました(根拠となる文章は探せませんでした)。 口唇口蓋裂の患者さんに出現しやすい構音ですが、口の中に何

        • 子どものかわいい言い方 2歳の息子は、まだまだママのおっぱいが大好き。何故か我が家では、姉も弟も「ぺーぺー」と呼びます。でも最近、何故か息子が「ぷえー、ぷえー」と呼び始めました。「ぺ」をスローモーションで表現しているかのようで、なかなか面白いです。子どもの表現って不思議ですよね。

        キ・ケ⇒チ・チェに置き換わる…カは言えるのにナゼ?

        • 舌小帯短縮症と構音の関係…実際はこうなんです

        • 一番多い構音障がいは

        • 子どものかわいい言い方 2歳の息子は、まだまだママのおっぱいが大好き。何故か我が家では、姉も弟も「ぺーぺー」と呼びます。でも最近、何故か息子が「ぷえー、ぷえー」と呼び始めました。「ぺ」をスローモーションで表現しているかのようで、なかなか面白いです。子どもの表現って不思議ですよね。

          「サシスセソがタ行に置き換わります!」

          サシスセソの構音は難しい! 前回、カ行がタ行に置き換わる話を書きましたが、今回の題も、親御さんからよく受ける相談事のひとつです。 いつも何気なく構音している「サシスセソ」とは、どんな音なのでしょうか。サシスセソの肝となる子音のsは、簡単に言うと風の音です。専門用語で摩擦音と言います。舌先と、上の前歯の裏の付け根の間にわずかな隙間を空けて、そこから空気を出します。「スー」と風を出してみるとわかる通り、ほんのわずかな隙間を空けて、一定時間舌の形を維持しなければなりません。舌先

          「サシスセソがタ行に置き換わります!」

          子どものかわいい言い間違い 2歳の息子が何でも自分でやりたがる時期です。自分でやりたい時、「うぶん!」と言います。おそらく「じぶん」と言いたいのだと思います。 そういえば、姉の時は、「じびー」だったことを思い出しました。 それぞれ表現が違うけど、どちらもかわいいです。

          子どものかわいい言い間違い 2歳の息子が何でも自分でやりたがる時期です。自分でやりたい時、「うぶん!」と言います。おそらく「じぶん」と言いたいのだと思います。 そういえば、姉の時は、「じびー」だったことを思い出しました。 それぞれ表現が違うけど、どちらもかわいいです。

          「カキクケコがタ行に置き換わります!」

          なぜカ行がタ行に? 構音に関して、親御さんからよく聞く訴えのひとつです。 「カ」と言う時、舌のどこを動かしますか?鏡を見て「あーか」と言ってみると、とてもわかりやすいと思います。舌の奥の方が上がり、口の天井の奥に接触しているのが見えると思います。 では、なぜ言えないのか。それは単純です。この舌の奥を上げる動きをまだ習得していないからです。 大抵の場合、カ行がタ行に置き換わります。カ行が言えない子にとって、タ行の方が容易に出せ、尚且つ似ている音なので、そちらに置き換えているの

          「カキクケコがタ行に置き換わります!」

          ことばを発することと構音について

          構音ってなに? そもそも構音とは何なのか、その仕組みについて書いていきたいと思います。 私たちは、普段自然にことばを発していますよね。 例えば、「おはようございます」を分解すると、「お」「は」「よ」「う」「ご」「ざ」「い」「ま」「す」の9つの音になります。この9つの音は、一つ一つ音の出し方が異なりますが、「まず唇はこんな形で、舌のここをこう動かして、次の音では…」なんて考えながら発話をすることは、ほとんどありませんよね。しかし実際は、音によって口唇の形を変え、舌を適切な場所

          ことばを発することと構音について

          こうおん教室はじめました

          こうおん(構音)とは 私たちが話をする時、吐く息と共に、主に舌を使って自然に音を作っています。この発音の仕組みのことを「構音」や「調音」と呼びます。一般的には「発音」と言われることが多いですね。 私は言語聴覚士なので、ここでは構音という言葉を使わせてもらおうと思います。 はじめた経緯 私は言語聴覚士です。 長いこと大学病院で、口唇口蓋裂の患者さんをはじめとした、構音に問題を抱えた方々の言語療法に携わってきました。 私は人の構音を聞いて、あれこれ今の状態や解決方法について

          こうおん教室はじめました