ことばを発することと構音について
構音ってなに?
そもそも構音とは何なのか、その仕組みについて書いていきたいと思います。
私たちは、普段自然にことばを発していますよね。
例えば、「おはようございます」を分解すると、「お」「は」「よ」「う」「ご」「ざ」「い」「ま」「す」の9つの音になります。この9つの音は、一つ一つ音の出し方が異なりますが、「まず唇はこんな形で、舌のここをこう動かして、次の音では…」なんて考えながら発話をすることは、ほとんどありませんよね。しかし実際は、音によって口唇の形を変え、舌を適切な場所に接触させ、適切な動きをさせているのです。
これが構音の仕組みです。私たちは、この仕組みをテンポよく次々とこなし、ことばを生み出しています。
当たり前にしていることですが、とてもすごいことです。そしておもしろい!
構音と「子音・母音」
構音とは、構音器官(口唇や舌や歯など)の形を変えて、肺から送られた空気の流れ(吐く息)に変化を与えて、色々な種類の音を作り出すことと言われています。
この空気の流れを、構音器官によって一旦止めたり、狭めたり妨害を与えることで発生する音を「子音」、特に妨害されずに出される音は「母音」となります。
説明を読むより、実際にやってみた方がわかりやすいかもしれません。
まずは子音について。例えば、パ、タ、カの音は、空気の流れが口唇や舌によって一旦止まりますね。一旦止まってから一気に放出されるのがわかると思います。次に、サはどうでしょうか。こちらは、空気の流れが、上の前歯と舌先によってとても狭くなるのがわかります。これがここで言う妨害です。
一方、母音はというと、空気の流れが妨害されることがありません。日本語の母音はアイウエオですが、口の開き方、口唇の形や舌の位置は変わるけれども、空気の流れを強く妨害しているわけではありませんね。空気の流れを妨害せず、口の中の空間の形を変えることで出される音が母音です。
日本語はの多くは、「母音だけ」か「子音+母音」で一文字を構成します。ということは、構音器官による妨害が大きな役割を果たすということになります。ことばを発することと、構音は切っても切り離せない関係であることがわかりますね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
参考図書
・池田 悠子:やさしい日本語指導5 音韻/音声,凡人者,2000.
・斎藤純男:日本語音声学入門,三省堂,1997.