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栃木SC 補強診断〜チーム別補強診断#24〜
こんにちは。
Jリーグも開幕してから半年以上が経ち、すでにシーズンが終わりに近づき、来季の補強も考え出す頃でしょう。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。
これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。
第24回となる今回は、栃木SC編です。
なお、すべての情報は9月18日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。
補強動向
改めて、今オフの栃木SCの補強動向を振り返っていきましょう。
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なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#25 ~栃木SC編~』に記載されている表になります。
また、この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。
【IN】
吉田朋恭 ←モンテディオ山形(完全移籍)
高萩洋次郎 ←FC東京(期限付き移籍)
根本凌 ←湘南ベルマーレ(期限付き移籍)
【OUT】
面矢行斗 →SC相模原(期限付き移籍)
小野寺健也 →鹿児島ユナイテッドFC(期限付き移籍)
三國ケネディエブス →アビスパ福岡(復帰)
トカチ →契約解除
*小野寺選手、トカチ選手は今年の加入ですが、すでに退団しているため言及しません。
*夏加入の選手は加入後間もないため、言及しません。
試合結果
選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。
J2リーグ
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天皇杯
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個人スタッツ
それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。
①藤田和輝(←アルビレックス新潟)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
新潟でプレーした2年間では、主力になりきることはできませんでしたが、それでも一部の期間ではレギュラーに定着し、合計で23試合に出場しており、年齢の割には、多くの試合経験を積んでいると言えます。
ここ2年間の栃木SCは、シーズン途中から加入していたオビ・パウエル・オビンナ選手がそのまま主力になることが続いておりましたが、今シーズンに関しては、オビ選手が所属元の横浜Fマリノスに復帰してしまったため、主力候補が不在となり、横一線でのポジション争いが展開されます。
その際、J2での試合経験もありある程度、実力も伴っている藤田選手を獲得したということでしょう。
考察
開幕当初は、控えが続いていましたが、第10節でチャンスをもらいました。その後は、チャンスを掴んだかに思えたものの、第14節で終了間際に退場して以降は、出場がありません。
現状は、二番手という立場になっており、ポジションを掴んだもののチャンスを自ら不意にしてしまった感は否めません。
評価
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評価は『C』としました。
一時は、主力になったかに思えたものの、自身の退場でそのチャンスをふいにしてしまっており、決して期待値通りとは言えないでしょう。
②青嶋佑弥(←明治大学)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
大学サッカーの名門、明治大学から加入したGKです。185cmとGKにしては小柄ですが、それでも大学サッカーの名門で試合に出場してただけあり、安心感のあるパフォーマンスが特徴です。
去年もオビ選手という若いGKが主力を務めていたチームであり、若いGKを使うことに抵抗のないチームであると言えます。一年目から徐々に試合に絡むことが求められているでしょう、
考察
第2節からベンチ入りをするなど、クラブの中で第3GKの座を確固たるものにしています。一方で、そこまでであり、ベンチ入りをする試合はあるものの、試合出場はなく、プロの公式戦に出場はできていません。
評価
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評価は『C』としました。
大卒という即戦力としてもおかしくない年齢でありながら、試合出場がゼロというのは非常に淋しいと言えます。
③大谷尚輝(←FC町田ゼルビア)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
サンフレッチェ広島の下部組織出身の選手ですが、トップチームでの出場は1試合のみで、キャリアの大半はJ2で送っています。昨年まで所属していた町田では96試合に出場していますが、パフォーマンスの波がある選手です。
J2での実績が十分にある選手ですので、J2の中でも中位から上位に躍進していくことが目標となっていく栃木SCにとって、これだけJ2での実績がある選手は、ディフェンスリーダーとしての獲得と言えるでしょう。
考察
開幕当初は、全く試合に絡むことができませんでしたが、シーズンも中盤に差し掛かってきた第17節に今シーズン2度目のスタメン出場の機会を掴むと、その後はほとんどの試合でスタメン出場を果たしており、完全に主力になることができたと言えるでしょう。
評価
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評価は『C』としました。
ここ最近は、期待通りのパフォーマンスを見せていますが、前半戦はほとんど試合に出ることができなかったという状態は、トータルで見れば期待値をわずかに下回っていると言えるでしょう。
④カルロス・グティエレス(←アビスパ福岡)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
スペイン2部で100試合以上に出場した実績を引き下げてアビスパ福岡に加入したグティエレス選手は、福岡では主力になり切ることができず19試合の出場に留まりましたが、それでも実力不足というよりは外国人枠での影響が大きく、持っている実力は確かなもので、主力としての活躍が期待されての獲得と言えます。
考察
開幕から、しっかりとスタメン出場を果たすと、退場処分により出場停止であった1試合、ベンチから試合を眺めた3試合を除きその他の試合ではスタメン出場を果たしており、完全に主力に定着していると言えます。
Vファーレン長崎では2得点を決めるなど、インパクトも残しており、非常にうまくいった補強と言えるでしょう。
評価
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評価は最高評価の『S』にしました。
元々、主力候補での獲得でしたが、その期待通りにしっかりと主力に定着しており、良いパフォーマンスを残しているため、この評価にしました。
⑤黒崎隼人(←大分トリニータ)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
2020シーズンの後半戦に栃木SCで主力に定着し、昨季はJ1の大分トリニータにステップアップ移籍を果たしましたが、なかなか試合に継続的に絡むことはできず、今季より古巣である栃木SCに出戻りすることになりました。
過去に在籍していた時は、サイドバック起用が多かった選手です。しかし、元々攻撃面に強みを持っている選手ではありますので、一列前での起用もオプションにできるという面でユーティリティー性が高く、貴重な戦力となるでしょう。
考察
開幕当初から、本職のサイドバックではなく、一列前のサイドハーフでの起用が続いています。ここまで、ほとんどの試合でスタメン出場しており、以前在籍していた時と監督が変わっていることが懸念事項でしたが、時崎監督の戦術にうまくフィットしている印象です。
評価
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評価は『A』としました。
以前と監督が変わってはいるものの、それでもしっかりと主力になっている印象で、評価は期待値より高いでしょう。一方、一列前で起用されているにもかかわらず、得点に絡む機会が少ないため、『A』にしました。
⑥福森健太(←大分トリニータ)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季の前半戦は、所属元である大分トリニータでプレーしており9試合に絡んでいましたが、夏の移籍市場でJ2のギラヴァンツ北九州に期限付き移籍をしました。北九州では水を得た魚の如く、瞬く間に主力に定着し、活躍すると、今季はJ2の栃木SCに期限付き移籍する形で、個人残留を果たしました。
J2での実績が非常に豊富な選手ですので、試合に多く絡んでほしいという意味合いも含めた期限付き移籍と言えるでしょう。
考察
開幕戦から、左サイドハーフでスタメン出場でチャンスを掴むと、その後は、ほとんどの試合でスタメン出場をしており、第13節以降は、キャプテンマークを巻く試合も非常に多くなっており、欠かせない戦力になっていると言えるでしょう。
ぜひ、完全移籍で買い取りたい選手だと言えます。
評価
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評価は『S』としました。
期限付き移籍で加入している以上、すぐに結果を出さなくてはなりません。その中で、ほとんどの試合に出場しており、キャプテンマークも多く巻いている現状は、最高評価が妥当でしょう。
⑦鈴木海音(←ジュビロ磐田)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨年は、所属元のジュビロでプレーしましたが、天皇杯では出場機会を掴んだものの、リーグ戦では、ベンチ入り1試合のみと厳しい結果に終わってしまいました。そのため、出場機会を掴むという狙いが見える育成型期限付き移籍と言えます。
年代別日本代表にも選出されている選手で、身長は182cmと小柄でありながらも、潜在能力は非常に期待値が高い選手であると言えます。
考察
開幕から、スタメン出場でチャンスを掴むと、ここまでほとんどの試合でスタメン出場を果たしており、いい意味でサプライズと言えます。
いまや、栃木の守備の要と言っても過言ではない選手であり、期待値は大きく上回っているでしょう。
評価
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評価は最高評価の『S』としました。
育成型期限付き移籍で加入した選手が、守備の要となるというのはあまり例がなく、非常に大きなサプライズであると言えます。
⑧磯村亮太(←Vファーレン長崎)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨年までは、Vファーレン長崎でプレーしていましたが、そのまえも名古屋グランパスやアルビレックス新潟など、栃木と比べるとより上位カテゴリーでのプレー機会が多い選手です。
最近は、Vファーレン長崎で出場機会を失いかけており、昨年限りで契約満了となり、今季よりJ2の栃木SCに活躍の場を移しました。
J2では73試合、J1では76試合とJ1、J2共に同じような出場経験を持っている磯村選手の実績は、栃木の中では稀有な存在で、多くの試合にリーダーとして絡むことが期待されているでしょう。
考察
開幕から、ベンチ外の試合が続くと、その後はごく稀に出場機会を掴むことはあるものの、ここまでにスタメン機会は2試合のみと、決して十分に満足のいく出場機会を掴んでいるとは言えません。
評価
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評価は『C』としました。
実績を見ると、もっともっと試合に絡むべき選手であることは明確です。しかしながら、なかなか試合に絡めない現状は期待はずれと言えるでしょう。
⑨神戸康輔(←立正大学)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
大阪桐蔭高校から立正大学に進学した神戸選手は、ボランチを本職とする選手で、U15の日本代表に選出された経験もある選手です。
最近は、大卒選手が出場機会を求め、J1ではなくJ2などからキャリアを始めることが多くなっており、その一環であるようにも思えますし、浦和レッズでプレーする明本選手のようなステップアップが期待されていると言えるでしょう。
考察
開幕当初は、なかなか試合に絡むことができていませんでしたが、第18節のVファーレン長崎戦でプロ入り後初スタメンを果たすと、その後のリーグ戦ではほとんどの試合でスタメン出場しており、与えられたチャンスをしっかりとモノにしたイメージです。
評価
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評価は『A』としました。
大卒一年目としては、主力に定着するなど十分に結果を残している印象で、期待値は上回っているでしょう。
⑩大森渚生(←日本大学)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
日本大学に進学する前は、東京ヴェルディの下部組織でキャリアを積んできた選手で、ヴェルディ仕込みのテクニックに非常に特徴のあるレフティです。
MF登録であるものの、ポリバレントなプレーヤーであり、神戸選手と同様に、栃木で活躍してのステップアップというのが想定される選手でしょう。
考察
開幕から、まさかのセンターバックでスタメンを掴むと、その後はほとんどの試合でスタメン出場を果たしており、守備能力だけでなくビルドアップにも役立っている印象です。
ごく稀に、左サイドハーフで出場する機会もあり、そのような際には持ち前のテクニックを活かしており、持ち前のポリバレントさを最大限生かしているイメージです。
評価
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評価は『A』としました。
大卒一年目としては、主力に定着するなど十分に結果を残している印象で、期待値は上回っているでしょう。
⑪瀬沼優司(←ツエーゲン金沢)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
J1では33試合4得点ながら、J2では今季開幕前に219試合40得点という成績を残しているFWで、空中戦に強さを発揮する選手という点では、昨年所属していた豊田選手と似ているイメージです。
J2での実績が豊富な選手で、矢野選手とはタイプも異なることから、前線のターゲットマンとしてエース級の活躍が期待されているでしょう。
考察
開幕は、スタメン出場を続けていましたが、8試合で1得点と結果を残せずにいると、その後はベンチ外となる試合が増えており、加えて得点やアシストも記録できておらず、期待を大きく下回ってしまっていると言えます。
評価
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評価は『D』としました。
これまでの実績面を考慮しても到底納得のできる成績ではなく、非常に淋しい評価とせざるを得ません。
⑫根本凌(←湘南ベルマーレ)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
湘南ベルマーレで出場したため、出場不可。
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
今季の開幕は、J1の湘南ベルマーレで迎えましたが、開幕から全試合ベンチ外と厳しい状況に陥っていると、期限付き移籍でJ2の栃木SCに活躍の場を移しました。
シーズン中での補強ですので、栃木から見ると、非常に緊急性の高い補強であると言えます。なかなか、開幕から得点をとりきれなかったチームということもあって、攻撃陣のカンフル剤となることが期待されているでしょう。
考察
加入直後より、試合に出場すると、栃木デビュー戦で、早速得点を上げるなど結果を残しました。
その後は、スタメン出場の機会を多く掴んでおり、ここまでに3得点を挙げており、結果を残していると言えるでしょう。
評価
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評価は『A』としました。
シーズン中の加入という非常に難しいシチュエーションではあったものの、それでも瞬く間にチームにフィットし、結果を残している現状は十分に期待値以上と言えるでしょう。
⑬宮崎鴻(←駒澤大学)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
駒澤大学より今季加入したFWです。
最前線で体を張れる選手で、ポストプレーはもちろん、泥臭いプレーも厭わない選手です。タイプ的には、瀬沼選手に似ており、瀬沼選手の後釜というのが自然ではないでしょうか。
考察
開幕当初は、ベンチ外やベンチ入りを交互に繰り返すようなイメージでしたが、それでも、途中出場で徐々に結果を残すと先発のチャンスももらい始めており、大卒選手として期待値通りの活躍と言えるでしょう。
評価
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評価は『B』としました。
ここまでの、成績は大卒選手としては想定通りと言えるような活躍で、今後は徐々に出場機会を増やしていくと思われます。
⑭五十嵐理人(←鹿屋体育大学)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
近年、非常に力をつけてきた鹿屋体育大学出身の右サイドハーフで、昨年もJリーグ特別指定選手になっていました。昨年は、出場機会はなく、今季より正式にプロ入りをしました。
サイドアタッカーは結果も求められるポジションですので、途中出場から徐々に出場機会を掴み、結果を残すことで序列を上げていきたいところでしょう。
考察
開幕はベンチ外でしたが、前半戦は途中出場で11試合のリーグ戦に出場しており、貴重な交代カードになっていました。
しかしながら、結果を残すことができず、最近は全く試合に絡むことができておらず、構想外と言っても仕方がない状態です。
評価
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評価は『C』としました。
前半戦は、非常によいペースで出場機会を掴んでいたものの、ここのところは全く試合に絡めておらず、厳しい結果になっております。
全体評価
それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。
藤田和輝 C
青嶋佑弥 C
大谷尚輝 C
カルロス・グティエレス S
黒崎隼人 A
福森健太 S
鈴木海音 S
磯村亮太 C
神戸康輔 A
大森渚生 A
瀬沼優司 D
根本凌 A
宮崎鴻 B
五十嵐理人 C
以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。
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全体評価は「B」としました。
今季の加入に関しては、守備陣や大卒選手の多くが当たっていると言えるでしょう。一方で、攻撃陣などは外れてしまっているとも言えるため、評価は真ん中のBにしました。
最後に
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