(3) 書名はシンプルがいい
『印度窟院精華』。インド、くついん、せいか。好奇心をくすぐる書名である。
石崎光瑤のカシミールの旅をたどる前に、大正8年2月15日発行のこの本について「全体像」をみておく、と前回書いた。
全体像とはおおげさな、と思われるかもしれないが、この本、調べていくと意外と奥が深い。2000年に復刻された『印度窟院精華・印度行記』は、実は原著の一部分でしかないのだ。
原著の目次を極力正確に並べてみよう。
中身として重要なのは、「緒言」「印度後記」、それとエレファンター以降の石窟寺