倭建命様身罷る 其の四八 神話は今も生きている ことの葉綴り五七六
収穫を感謝する秋の「社日」+寅の日
おはようございます。涼しくなりましたが、今週は台風に注意ですね。
そして、九月二十七日(月)は、秋社こと「社日」。秋分もいちばん近い「戊」の日で、社は、土地を守ってくださる神さま、産土神さまのことで、土地の神さまをお祀りする日。
春の「社日」は、春社と呼ばれます。この日に天から降りてこられた産土神さまに、豊作を祈願し、秋の「社日」には、収穫物をお供えして感謝のお祀りを執りおこないます。そして神さまは天に還られるのです。
二十七日は、金運招来の「寅の日」でもあります。お時間ある方は、地元の氏神さまへお参りいかがしょう。
六曜は、「仏滅」で勝負なし。十二直は、執り行い、万物を裁決する日の「執」で、祭祀、お参り。婚姻などのお祝い、建築、種まき、五穀の取り入れに吉。
二十八宿も、神仏の祭祀やお参り、旅行にいい「心」です。
皆さん、今週もお元気でありますように!
<ことの葉綴り>全体のご案内
神話の物語編は、魅力的な神さま別に「マガジン」分けしています。
お好きな神さまの名前や、ご興味あるものをご覧くださいね。
瞼に浮かぶ故郷への国思い歌
東国を平定されて大和への帰路を目指す倭建命さま。尾張の美夜受比賣さまと結婚されて「草薙剣」をお預けなったまま、伊吹山へ向かわれますが、山の神の祟りに遭われ、毒気にあたられて、お身体が衰弱されていきます。
御杖をついて腫れた足を引きずり、能煩野(三重県)に至られますが、もう一歩も動けなくなられます。そして故郷の大和を偲ばれて、御歌を詠まれていきます。
倭は国のまほろば
たたなづく 青垣
山隠れる 倭うるはし
命の 全けむ人は
疊薦 平群の山の
熊白檮が葉を
髺華に挿せ その子
倭は、国の中でいちばん素晴らしく優れたところだ。
畳重ねたよう重なり合い、青い垣を巡らしたような山々に囲まれた、大和よ~それは美しい。
無事で元気に倭へ帰ったなら
平群の山(奈良県生駒郡)の、聖なる樫の葉をとり、簪にして髪にさして飾り、生命を謳歌して、神々に感謝しなさい。倭へ向かうものよ……。
この二首は、生まれ育った大和を懐かしみ詠まれた「国思い歌」と呼ばれています。
十五歳で、熊曾討伐を命じられてから、人生のほとんどを討伐の困難な旅を“生きて”こられた倭建命さま。病に臥せられながら、どれほど故郷へ帰りたかったでしょう。
倭建命さま、最期の御歌
愛 吾家の方よ
雲居起ち來も
ああ~なんと懐かしく愛しい
故郷の我が家のほうから、
あの雲は湧き起こって来ているよ……。
臥せながら空を見上げてご覧になり、故郷の大和の、しかも我が家の方から湧き立ってくる雲を発見されて、無理にでも起き上がろうとされたのかもしれません。
あの、雲に乗って帰りたい……。
と、この御歌を詠まれて、倭建命さまは、危篤に陥られてしまうのです……。
そして……。
嬢子の 床の邊に
我が置きし つるぎの大刀
その大刀はや
美夜受比賣と契りを交わした寝床のそばに
置いてきた草薙剣よ
ああ~草薙剣が、この手にあったならば……。
叔母の倭姫命さまより賜りし、皇統の御印のご神剣(草薙剣)を我が手に……。
この御歌を詠みおえられると、倭建命さまは、息を引き取られたのでした……。
―次回へ
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