冥罪より~手記~(詩)

門 閂 閃光
嘲りと獣の猖獗
暴風 晴れたはずの無音
今凍結の時よ 雨は枯れてゆく

嗄声の残響 欠けた空より
声は閉ざされた 閉ざされて
逆に解かれた鉄は見えぬ
ただ声が寄って消える。

朝は来ず
永遠さえ来ず
知らぬままの……

後跋

冥罪。
たとえば、あなたが一顧だにしないくずかごで執拗く黙っている水たまりは、いつか原初をひらく爆弾となるかもしれない。これこそ冥罪と言える。とどのつまり、冥府なる異界へも恐れることなく赴き、何かを得ようとした者は、あらゆる方式により圧殺される。そして「冥罪」と表題がつけられるのだ。
かつて連関の強固さが現像された社会と、映写された海外学説は、元来自由と思考のアクロポリスであった、芸術美の世界を蝕んでいるようだ。
しかし「度し難し」などとは思わぬ。わたしの作品に関するあらゆる理解は無意識に発生した現実虚像への大逆罪が標になろう。
そう、わたしに見せられている、取るに足らない虚実空間。
そしてそこから抜け出すための技法をくれる人々――わたしがつねづね「意味」と呼ぶ――よ。
意味よ。ああ、桃源郷にわたしを連れて行って欲しい。

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