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香りと脳

音声配信のリスナーさんから
リクエストのあった話題です。
「最近、アロマとかで
香りが脳に直接作用するって聞いたし
その時々で香りの印象は違う。
香りの脳への作用
影響する場所はいつも一緒なの?」
とメッセージをいただきました。

香りが脳にもたらす影響を知ることで
生活が豊かになるのでは?と思って書いてみます。

香りが脳にどう届くのか


まずは、脳の構造から説明していきます。
脳みそを、私はお饅頭で例えています。

お饅頭の皮の部分、こちらは大脳皮質。
大脳皮質には
神経細胞がたくさん表面に敷き詰められている。

そして脳の奥。あんこの部分
こちらが中脳・脳幹・視床下部と
言われる部分。
海馬や扁桃体など本能を司るところです。
この脳の2層構造は
今後も話題に出てくると思うので
うっすら覚えていてください。

例えば「音や声を聞いた」っていうときに
音の分析や言葉情報を統合し
理解するという過程は
大脳皮質、いわゆるお饅頭の
皮の部分でやっています。
視覚情報っていうのも、視神経を通って
「こういうものが見えた」っていうことを認識し
そこに意味付けをするっていうこと
そういう情報の統合っていうのも
脳の表層部分でやっています。

しかし、香りや匂い
これは
ダイレクトに脳の奥の「嗅神経」に届きます。
大脳の皮の部分は経由しないで直接
お饅頭のあんこの部分にドンと直接届きます。

先ほど申し上げたように、脳の奥(大脳辺縁系)というのは
海馬とか、扁桃体。
好き嫌いや記憶や欲求など
本能的な分野を司る部分なのです。
数年前に流行った
「この香水を嗅ぐと君を思い出す」
といったエピソードは、あるあるですし
他にも例えば
潮の香りや新緑の香りで故郷を思い出したり、
おばあちゃんちの匂い、懐かしいだとか
「匂いと思い出」って
結びついたりしてますよね。
それって匂いを感じ取る嗅神経と
記憶を司る海馬の
存在している場所が近いんですよ。
好き嫌いや感情を
揺さぶったり意欲が増したりっていう
そういう本能的なモチベーションや
好奇心を司る部分も近所にあるので
行動にも結びつきやすいのかもしれません。

匂いと本能

この「香りを感じる脳と神経」
ホモサピエンス以外でも
こういう構造になっていますね。
ちゃんと匂いを嗅いで瞬時に
「これは食べていいもの」
「これは食べちゃいけないもの」
などと判断して行動することは
私達よりも、もっと鼻がいい
犬とかオオカミとか。
ああいう動物っていうのは
「ここはなんか敵の匂いがする」
とかテリトリーとか
「素敵なメス(またはオス)がいそうだ」とか
瞬時に判断するんだと思うんです。

本能と匂いを感じる機能っていうのが
解剖学的にも生理学的にも直結していて
そしてそれは生命を維持していくのに
非常に重要な機能だと考えられます。

香りとリラックス効果


香りの情報というのは脳の視床下部に作用します。
自律神経と関わる「視床下部」の近くに
嗅神経があります。
アロマテラピーなどの、香りの効果は
自律神経やホルモン、免疫機能など
視床下部が持っている働きに影響を与えるので
心と体のバランスを整えるのに
よく用いられる、ということですね。

「その時々によって、その人によって香りの感じ方って違う」
については、脳のストレスや
注意機能が関係しています。
普段私たちはいろんなものを目で見て聞いて
いろんなことを考えて
ほぼ同時にいろんなところに
気を配って生活しています。

特に主婦の方は
子供の様子も見ながら
コンロの火加減も見ながら料理して
その間に洗濯機も回して
などと
複数のことを同時進行しながら
五感をフル活用して生活していますね。
その中でSNSだったり
テレビやラジオなどで
情報を得たりすることも
同時にしてたりするわけです。

注意が散漫になっている時には
「香り」だけに注意をフォーカスするのが難しく
感じ方に変動が生じる可能性があります。

それに加えて、脳みそ全体が疲れているとき
睡眠不足なども含めそういうときは
周りの刺激をしっかり
余すことなく受け止める。
いうことが難しかったり、
情報をキャッチするときの
余白や余裕に変動があれば
刺激に対して鈍感になったり
敏感になることもあります。


人間の集中力や
脳がパフォーマンスするための
エネルギーって無尽蔵ではないわけです。
それが100使えるときもあれば
ちょっと疲れてる、余裕がないときは
80しか使えなかったり
例えば脳損傷の後遺症の影響で
50とか30に減ってしまうこともあります。

日常生活ではそれを
うまくどう配分し、
生活していくかが大切なんです。
自分を大切にしながら
自分の今持っている
脳のエネルギー・集中力を使うか。
それがストレスケアや
リラックスの必要性を感じさせます。

日常生活で普段
脳みそはフル稼働してるんですよ。
だから例えば
「今日はお風呂に入ってゆっくりしよう」
というときには
香り付けをしたバスソルトとかバスボムとか
アロマオイルを使って
浴室の電気を薄暗くしてみたり
目を閉じて香りに集中する。
そういう、頭の働きを鎮めるような
休み方というのもいいのではと思います。


ということで
今日は香りと脳についてお話してみました。
うまく香りを生活に取り入れ
生かしていきたいですね。

また次回お会いしましょう。

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