詩が役に立つ場面がこの世界にはある
なんて読みやすい散文なのだろうというのが第一印象。
福間健二さんが約一〇年のあいだに書いたり、講演で語った内容が収められている。
現代詩・映画・文学の三部構成にはなっているが、それらは縦糸と横糸のようにつねに交錯している。それらの境界は曖昧だと、本人もあとがきで書いていた。
――詩は、役に立たないものの代表のように言われることがある。しかし、詩は役に立つ、と私は言いたい。詩が役に立つ場面がこの世界にはある、と言ってもいい。(P,100)
――書くというのは書きなおしていくことであり、生きるというのは生きなおしていくことである。(P,106)
数多くの詩人、評論家、映画監督、作家について語る、語り尽くす。
己の無知を思い知らされる。
あれもこれも読みたいし、とにかく片っ端から観なくてはならない。
生きている限り、とにかく表現をつづけなければ。
その焦燥は欲望と、いくばくの絶望をわたしの怠惰につきつけた。
書けることを書いてゆきたい。
わたしはあなたにとって、未知の読者であった。
「迷路と青空」詩を生き、映画を生きる
福間健二
★★★★★
この記事が参加している募集
「星屑と人魚」の冊子制作費に活用させていただきます!(毎年、文学フリマ東京にて販売しています)