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《言語文化》古典と創作のアクティブラーニング

 言語文化の教科書について考えたことをちょっと書いてみます。

 《言語文化》という科目では創作的な活動が重視されるようです。学習指導要領では「書くこと」の指導例として

本歌取りや折句などを用いて、感じたことや発見したことを短歌や俳句で表したり、伝統行事や風物詩などの文化に関する題材を選んで、随筆などを書いたりする活動。

(太線は稿者による)

とありますし、「読むこと」の指導例として

ア 我が国の伝統や文化について書かれた解説や評論、随筆などを読み、我が国の言語文化について論述したり発表したりする活動。
イ 作品の内容や形式について、批評したり討論したりする活動。
ウ 異なる時代に成立した随筆や小説、物語などを読み比べ、それらを比較して論じたり批評したりする活動。
エ 和歌や俳句などを読み、書き換えたり外国語に訳したりすることなどを通して互いの解釈の違いについて話し合ったり、テーマを立ててまとめたりする活動。
オ 古典から受け継がれてきた詩歌や芸能の題材、内容、表現の技法などについて調べ、その成果を発表したり文章にまとめたりする活動。

(太線は稿者による)

とあります。
 いろいろ経験させつつもゴールはやはりアウトプット。共有か創作なんですね。


 では具体的にどのような方法があるのでしょうか。
 僕はしばらく前から教科書を見比べつつ、各教科書の示す「書くこと」「読むこと」の活動をとりあえず自分1人でやってみています。題材は教科書を無視して『伊勢物語』限定なのですが。

 今のところ現場での実践を経ていないので多様性に富んでいるとはいえません。まあ仕方ないよねと思いつつやっていると、概ね「古典の登場人物になったつもり系活動」と「古典読解をメタ的に把握して創作につなげる系活動」とがあるんじゃないかな、という気がしてきました。それらを難易度が低い順に並べると次のようになります(難易度は僕の判断です)。なお、活動内容は僕の表現ですのでわかりにくかったら申し訳ありません。

古典の登場人物になったつもり

① 日記にする
② 独り言化する
③ 登場人物化した生徒にインタビューする
④ 物語内和歌と同趣旨の現代短歌を詠む
⑤ 登場人物になったつもりでエッセイを書く

 この路線上で行けば「ライントーク化する」とか「140字以内でつぶやく」などもあり得そうですね。テーマが人間関係のもつれなどでしたら「人生相談化する」などもできそうです。
 「① 日記にする」を一番簡単だろうと判断したのは、これが一番中高生の経験している作文方法であろうからです。


生徒が自分の古典読解をメタ的に把握し、さらに自分の創作につなげる

① 音読する
② 一シーンを絵画化する
③ 四コマ漫画にする
④ 現代翻案する
⑤ 脚本化する
⑥ 舞台化、動画化する
⑦ 同テーマの他作品、類話、翻訳作品と読み比べて批評する。
⑧ パロディや新作を創る(『枕草子』や『伊勢物語』の新話など)。古語で作文できればなおよし。

 ③と④、⑥と⑦の間で難易度が跳ね上がっている気がします。もう少しステップを踏みたいところです。⑧は卒業制作的な役割をイメージしましたが、難易度は低いかもしれません。

 「③ 四コマ漫画にする」は一見難易度が高そうですが、日記と同じく実践前から生徒とイメージを共有しやすい取り組みです。絵の巧拙にこだわらなければそれなりに取り組めると思います。


 作品提出がゴールなら、フィードバックは作品集の配布になるでしょう。電子データで集めることが可能なら「ロマンサー」で電子書籍化して生徒にダウンロードさせたりメールで配信したりする方法がとれそうです。
 Googleクラスルームにぶら下げて、コメント欄に全員がコメントを書く時間を取っても良さそうですね。

 手書き作品を集めるなら印刷して冊子化するのが良いでしょうか。その場合でも相互にコメントを書く機会は設定した方がよさそうな気がします。


 古典は創造性につなげてこそ意味があると思います。読んで満足するだけなら好きな人が読んでいれば良い話ですし、そもそも読んで楽しいと思える人は多くはないのですから。
 そういう意味で新学習指導要領が生徒達に経験させようとしていることにはには概ね共感しています。それができるだけ面白いもの、生徒達が参加する価値のあるものになるよう現場の僕は努力していこうと思う次第です。ですからきっとレイアウトなどのセンスも磨いていった方が良いんだろうなあ…。でもビジュアル面のセンスはまたくないんだよなあ…。悩ましい。

 今回考えたことは以上です。最後まで読んでくださりありがとうございました。

 


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