【詩】金木犀のかおりとひろいいみのあい
ことしも少しおそい金木犀の季節がやってきた
はじめたばかりのしごとは小さくちいさく咲くように
小さくちいさく無数の花をつけるオレンジいろの花
咲けわたしの息吹よ 小さくちいさくとも
ひとつふたつみっつよっつ……
ひらけその強い香りのように とおく遠くへ
風に乗ってこのまちを通り抜け ひろい広がりの中へ
なにもなかったあの空間へ
ほのかな香りをとどけて・・・・・・
無数の小さな星々のような花よ咲け
花開け
わたしの思い
いままでの思い
苦しみ
かなしみ
ことばにできぬおもい
土のしたを流れる水
すべてがこのみちにのればいい
花の姿には 名前がなく
その甘く強い香りにも なまえがない
名前につかまえられないそれが
決まらない空間をゆらゆらと飛行し
そしておおくのひとにこの香りがとどけばいい