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米栗カレンダ

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米栗久三郎による、1日1絵の、日めくりエッセイ。 3歳の「彼」の今日を綴ります。 こどものありようって、哲学だなあ…と思うのです。
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#育児日記

🍙宇宙の暗さを見せてあげる🍙米栗カレンダ■09/07

今回は、いきなり移住を考え始めたよ、という話です… ■9月某日 「宇宙がどれくらい暗いか、みせてあげる!」 と4歳が言うので、ついていくと、そこは…押し入れの中でした。太陽がないと暗いね〜 ■9月某日 新学期。小学校のお受験シーズンいよいよ…(しかしうちはまだ4歳)ということで、うちの子が小学校に上がることを考えてみた。 この子に合う学校って、どんな学校だろう。自分が小学生時代に感じたような不満、例えば(この授業ってやつは、時間の無駄にしか思えない)という教室に閉

王子がいるらしい【weekly 米栗カレンダ 20201201】

■守ってあげる「○○ちゃんは1歳だから、かおが守ってあげるんだ。」 幼稚園から帰ってきた3歳の彼は、年下の保育園児と手をつないで遊んであげるのだと、誇らしげに語ってくれる。そして何を思ったのか、 「ママとばあば、来て!」 と二人を引き連れてベッドルームへいくと、自分がベッドの真ん中、ママとばあばを両隣に寝かせると、 「ママたちがベッドから落ちないように守ってあげるからね。」 と二人の女子の手を、ぎゅ、ぎゅとつないでくれた……もう爆笑である。 君、真ん中で守られてる

空き巣?!【weekly 米栗カレンダ 20201124】

■強盗もどき突然、我が家の玄関のドアがガチャガチャと鳴った。 誰かが開けようとしている、しかも乱暴に。 (空き巣狙い?いや、ご、強盗?!) こういう時、一瞬頭の中が真っ白になるくらいびっくりするものなんだな…なんて思いつつも、3歳の男子が怖がるので「大丈夫だよ」と声をかけてから、玄関ののぞき窓から外を見ることに… と同時にインターホンが鳴ったので出てみると、「○○だけど。○○だけどね。」としきりに名乗るばかりで、要件を言わない。夕刻の寒い時間なのにTシャツ一枚のご老人

骨と夜道【weekly 米栗カレンダ 20201117】

■先週は風邪でダウンして書けませんでしたが、回復してまいりました。 ■ぼく英語、話せるよ!うちの3歳男子に最近、友だちができた。 幼稚園バス仲間の5歳男子Aくんとは、主にトミカのトラックシリーズで一緒に遊んでいるトラック野郎仲間なのだ。 先日、うちの彼と一緒にバスを待っていたAくんが、ふいに余裕の笑顔でこちらを振り向いた。 「ねえKくんのおかあさん。僕、英語はなせるんだよ。聞いてて。」 おお、何をしゃべってくれるのかな?…とおもったら、ふいに天を仰いで、 「おーの

骨にひび、熱と鼻水【weekly 米栗カレンダ 20201103】

■あれよあれよ幼稚園で「緊急時ひきわたし訓練」が行われた。 大地震が起きた時、確実に「保護者と証明できるひと」に子供を引き渡す訓練だ。 まず「大地震が発生したので迎えに来てください」の連絡がオヤに来る。それから幼稚園に迎えに行く。 幼稚園に到着した保護者は、先生たちに保護者証明を提示して、子供を引き取る……で行ったら、うちの3歳の彼は半泣きで待っていた。何やら機嫌が悪い。駐車場の車までも歩きたくないと駄々をこねる。 夜ふかしのせいで眠いのか?……と思っていたら、あれよ

【米栗カレンダ 20200903】元には戻らないのだ。

きのうは、ちょっと、ないちゃったのよ。 (彼が大事にしている、おもちゃの郵便飛行機がある。 そのプロペラ部分が、いつのまにか折れて失くなっていた。 プロペラが壊れてる!そのことに気づいた彼は、おんおん泣いた。 オヤは急いで、失われたプロペラ部分に竹串を切って、ボンドで貼り付けた。 「これで、色を付ければプロペラになるよ。」 と言ってなだめたけれど、彼はしばらく泣いていた。 次の朝が来て、ボンドが乾いているプロペラをチェックした彼は、つぶやくように言った。 「昨

【米栗カレンダ 20200825】オヤは関係ない

「こういうすべりかた、してみただけ!」 (ソファに駆け上がろうとして、床に置いてあった(自分で投げ捨てた)タオルに足を取られ、盛大に滑って転んだ彼。 泣くか…と思いきや泣かず、キリッとオヤを振り返るなり、 「こういう滑り方をしてみただけ!」 と、言い放った3歳児。 滑ってもわざと滑ったのだと主張する意地っ張り。(転んじゃった、テヘっ)と可愛い笑いに転がさない、ストレートな表現を選ばないところに遺伝子を感じる。 『親譲りの無鉄砲で…』というのは、夏目漱石の【坊っちゃ

【米栗カレンダ 20200824】共感されない

なに、とってるの? (シャベルですくい上げた砂を、ワゴンにザザっと入れる。 砂場で、彼はそれを何度も繰り返した。 他に誰もいないからいいものの、かなりの砂埃がたちこめる。 汗をかいているから肌に砂が張りつくし、 ゴホゴホと咳き込むことにもなる。 が、いいこともあった。 微細な砂ホコリのおかげで、虹がたったのだ。 急いで写真に撮っていたら、彼が「何、撮ってるの?」とお尋ねになる。 「虹だよ。」と写真を見せたら、 「ふうん。」と興味なさげに、また土木作業に戻っ

【米栗カレンダ 20200822】灯籠祭

(住んでいるマンションの、燈籠まつりに行った。 祭りと言っても、コロナゆえに屋台が出るわけもなく、 居住者が絵や文章を書いた灯籠が、マンションの道沿いに点々と置かれ、それをそぞろ歩きしながら眺めるというもの。 うちの3歳も、1週間前に絵を描いて提出したので、 「あるかな〜、あるかな〜」と自分の灯籠が飾られているのを楽しみにでかけた。 そしてもちろん、あった。 嬉しそうな彼は、走っていったり来たりしながら何度もそれを眺めていた。 他にも、北斎の赤富士や、夏野菜の絵

【米栗カレンダ 20200820】正しさは自分で選べる

めいろがすきなのよ。 (何しろ酷暑なんである。 自ずと室内での遊びのバリエーションを増やさないといけない。 レゴブロック、お絵かき、ゴムボールでのサッカー、野球、かくれんぼ、動画鑑賞(トレーラーが延々と走っていくだけの)、ゼリー作り、歌……しかし飽きるので、書き物系を手に入れた。 『2歳からの迷路』『2歳からのひらがな』……3歳の彼は、いわゆる夏休みの計算ドリルに立ち向かう小学生のように、果敢に椅子に座り、ペンを握った。 しかしドリルっぽいものや、知育教材なんてうち

【米栗カレンダ 20200819】幸せだなあ。

なんでわらってるの? (酷暑の今日、夕方になるのを待ちわびて、彼と日陰の砂場に行った。 彼以外、誰もない。 ダンプトラックに砂を積み込み、砂場の周りを走らせ、砂をおろし、また積み込み…をコツコツ繰りかえし、疲れたらシャボン玉を飛ばし、そしてまたトラックを走らせる。 楽しそうだ。 スコップで砂をすくってニコニコしている彼を、ニヤニヤ眺めていたら、 「なんで笑ってるの?」と訊かれた。 なんでだろう。幸せな気持ちになってるからなかな。楽しいを纏っているひとを見ていると

【米栗カレンダ 20200818】最悪状態のやりすごしかた

たいやがういてるのよ。なおして。 (手枕をして、うっとり眺めている。 レゴでつくったトラックである。 「レゴで作るのよ。タイヤ、後ろに3個、じゃなくて7個つけるのよ! トレーラーじゃなくてダンプトラックのかたちでね。」 と彼からリクエストがあり、オヤが散々苦労して作ったトラック。 それをゴロンと横になり、手で動かしてはタイヤの動きをチェックして、 「ここのタイヤが浮いてるのよ。直して。」 との直し注文を入れ、そして出来上がったトラックの動きをうっとりと眺めてい