【米栗カレンダ 20200822】灯籠祭
(住んでいるマンションの、燈籠まつりに行った。
祭りと言っても、コロナゆえに屋台が出るわけもなく、
居住者が絵や文章を書いた灯籠が、マンションの道沿いに点々と置かれ、それをそぞろ歩きしながら眺めるというもの。
うちの3歳も、1週間前に絵を描いて提出したので、
「あるかな〜、あるかな〜」と自分の灯籠が飾られているのを楽しみにでかけた。
そしてもちろん、あった。
嬉しそうな彼は、走っていったり来たりしながら何度もそれを眺めていた。
他にも、北斎の赤富士や、夏野菜の絵、川柳や人気アニメの登場人物などが描かれていて、なかなかににぎやかな「まつり」だった。
綿あめも金魚すくいもない、ビールも焼きそばもない。でも、静かに灯籠を眺め歩く人の流れには非日常があって、その非日常の時間はまつりだった。
日が暮れてから外出することの少ない彼は興奮し、灯籠の道を全力ダッシュし、夜の公園の花火を眺め、満足して家に戻った。
何よりも、爽やかすぎる夜風が心地よく、両手を広げてくるくる回っている大人もいた。
静かな祭は、ひとの気持ちを闇に開放してくれた。)
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