【米栗カレンダ 20200903】元には戻らないのだ。
きのうは、ちょっと、ないちゃったのよ。
(彼が大事にしている、おもちゃの郵便飛行機がある。
そのプロペラ部分が、いつのまにか折れて失くなっていた。
プロペラが壊れてる!そのことに気づいた彼は、おんおん泣いた。
オヤは急いで、失われたプロペラ部分に竹串を切って、ボンドで貼り付けた。
「これで、色を付ければプロペラになるよ。」
と言ってなだめたけれど、彼はしばらく泣いていた。
次の朝が来て、ボンドが乾いているプロペラをチェックした彼は、つぶやくように言った。
「昨日は、ちょっと、泣いちゃったのよ。」
壊れちゃったら哀しいもんね。でもプロペラくっついて良かったね…とオヤが言うと、彼は小さく頷いていた。
元通りじゃないけれど、修理されたそれを受け入れる……って、ふつうの事だし、誰しもそうして前に進んでいくものだけど、これってとても素敵な進化だと思う。
元通りにはならないもの、修理したそれとともに生きるのだ。)
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