マキューアンを読みたい
こんにちは!
此島このもです。
今日は私の読みたいイアン・マキューアンの本について紹介します。
マキューアンはイギリスの作家です。
私がマキューアンの本と出会ったのは図書館でした。
↑こちらの本、『ソーラー』がはじめての出会いです。
新潮クレストブックスの洒脱なデザインに惹かれて手に取り、表紙のなんだか楽しそうなおじさんの様子から楽しい本に違いないと読むことを決めました(単純)。
うん、楽しかった。
楽しかったけど怖くもありました。
主人公であるこのおじさんね、人間として酷すぎるんです。
過去の成功でのらくら生きて、どうしたら女にモテるかとかお金とか自分の地位とかそういうことしか考えてないんです。それに美味しそうなものはなんでも食べちゃう。自分の欲望にとっても忠実な人間。
たとえば冷蔵庫にプリンを見つけたら迷わず食べる。我が子が楽しみにしていたプリンだとか名前が書いてあるとかそんなことはお構いなし。自分が空腹かどうかも関係ない。あったから食べる。そんな感じ。あとで子供に怒られても泣かれても、名前なんか書いてなかった食べちゃったものはしょうがないと言ってケロッとしてるタイプ。いえ、ケロッどころか、そんなことで泣く子供の方がおかしいとイライラしはじめるタイプです。(本にはこんな場面はありません。きっとそういうタイプだろうなと私が思うだけです)
でもそんなふうに過ごしていると当然、いっぱい問題が起こりますよね。
それでも主人公は問題と向き合いません。苦痛だからです。
彼は自分が引き起こしたたくさんの問題から逃げて心地良い空間だけを渡り歩きます。
一応、ノーベル賞受賞科学者なので受け入れてくれる場所もたくさんあるんですよね。
ただそんなことをやっていても問題は消えません。それどころかどんどん膨れ上がって大きくなって襲いかかってくるのです。
最後、主人公が逃げ続けていたあらゆる問題が一気に彼に襲いかかるところは緊迫した場面のはずなのにコミカルで、クラシック音楽のフィナーレに全部の楽器が勢揃いしてどんちゃんやってるみたいなのを連想しちゃいました。
そんなわけで、本自体はギャグ満載で面白く笑いながら読めるんですよ。こいつマジでダメだなーなんて言いながら。
でもね、これってたぶん現実の人類を表しているんですよね。自分の欲望に忠実で問題から目を背け続ける主人公の姿勢が。
本の中で、環境問題がひとつのテーマとして出てきます。主人公は環境問題を解決するための新しいエネルギー開発の世界に身を置いているのです。
地球に住む人間の一人として環境問題を考えたとき、私はとてもこの本の主人公を笑えません。
現実の人間はフィクションであるこの本の主人公と同じように、欲望に忠実で環境問題から目を逸らし続けているからです。
本の最後で主人公に襲いかかるたくさんの問題たちは、いずれ人類もこのように環境問題から逃げられなくなることを表しているようで恐ろしくなります。
恐ろしくなる……けれどもコミカルな笑える話にそんな重いテーマを込められるこの作家の力量がものすごい! と心を動かされまして、マキューアンの他の本も読んでみたいな〜と思っているのです。
最も読みたいのはこちらの本↓
『未成年』です。
タイトル通り未成年の少年が出てくるのですが、この未成年くん、信仰の関係で輸血を拒んでいるのです。
うーん重い。だって輸血を拒むってことはつまり信仰のために命を危険に晒す、ってことですもんね……。
それについて外野である私にはどうこう言えはしないですし、する気もありません。
でもそれがどんな世界なのか知りたかったのでこの本にはすごく興味があります。
続いて読みたいのは『黒い犬』。
強い絆で結びついていた夫婦が突然破局してしまい、その原因として「黒い犬」の存在があったが、夫婦で「黒い犬」についての認識が違う……らしいんですよね。
この人とは感覚が共有できているし通じ合っているな、と思える人でも実はその人は私とは全然違うものを見ていた、という経験が私にもあるので気になるんですよね。妻と夫で見えている景色が全然違ったという話もよく聞きますし……気になる。
それからこちらも面白そうだけど怖そう。『愛の続き』。
主人公はストーカーに付きまとわれる。ストーカーは何故か主人公がストーカーを愛していると妄想している。この段階でかなり気持ちが悪いのですが、なんと主人公の恋人は訴えを全然聞いてくれなくて、ストーカーの存在を信じてくれないそうです。
怖いよ〜〜。こういうの読むのって勇気いりません?
でも気になる…読んでみたい。この、「あの人は私を愛してる」って思い込んでしまう症状はド・クレランボー症候群と呼ばれていて、実際に存在する精神病みたいですね……それも怖い。
他にも映画化している『贖罪』とか夫婦のすれ違いが描かれている(のではないかと勝手に思ってる)『初夜』とか、胎児の視点で書かれているのが変わってて気になる『憂鬱な10か月』とかいろいろあります。
魅力的な本がたくさんで困ってしまうよ、イアン・マキューアン!
もし読んだことあるよ〜って方がいらっしゃいましたら是非ともコメントで教えてくださいませ☺️🙏