見出し画像

#6 はじめの一歩

息子を救ってあげられる方法は見つけたけど、実践するのはかなり大変でした。

「そんなの出来るわけないでしょ!」
って思われる無理難題なミッションがたくさん続きます。

コンプリメントの基本は、
「世界で一番幸せなお母さんの笑顔」
で子どもに愛情と承認の言葉がけをすること。

愛情と承認の言葉がけとは、子どもの「したこと・できたこと」に目を向けて「○○する力があるね」と伝えていくことです。

トレーニングの開始資料が届いた翌日、母が我が家の様子を見に来てくれたので、トレーニングを受けることを報告がてら開始資料をみせました。

母は開始資料をしばらく読んでから、
「世界で一番幸せなお母さんの笑顔でって書いてあるよ。あなたは悲劇のヒロインです!って世界で一番不幸な顔をしてるのにそんな笑顔出来るの?鏡で自分の顔を見てきたら?そんな不幸そうな顔で笑われても○○(息子)が可哀想!」
って私の顔をジッと見て言いました。

トレーニングを今から頑張ろうとしてるのに、そんな言い方する?ってすごくショックでした。

それから、ずっと閉じ込めていた私の感情が爆発したみたいに母への強い嫌悪感を感じました。
母の事は大好きだけど、今は距離を取っておかないと母の事を大嫌いになりそう。
嫌いになりたくないから、息子が元気になって再登校するまで絶対にもう口をきかないし、それまでは二度と会わないでおこうって決めました。

トレーニングを始めてすぐに、過去の自分と向き合う必要がありました。

私の母へ感じた嫌悪感は、
「私に世界で一番幸せなお母さんの笑顔で褒めてくれたことが1度でもあった?私に力があると思ったことが1度でもあったの?」
私の中の小さな子どもがワンワン泣き始めました。

私は、小さな頃からいつも比較されて育ちました。
お兄ちゃんはもっと小さい頃からできたのに…

お友達の○○ちゃんはできるのに
どうして愛梨はできないの?

みんなができるのに恥ずかしいよ。

母の口癖は、
「あなたは何もできない」
「あなたはできないんだからやらなくていい」
「こんな事もできないなんて恥ずかしい」

それから、兄弟との見た目でもいつも比較されてきました。

兄弟と一緒に歩いているだけで、知らない人から
「男の子と女の子が逆の顔で生まれてきたら良かったのに、可哀想ね」

「お兄ちゃんと弟はお母さん似であなたはお父さん似なのね。男の子はみんな顔立ちがハッキリしててキレイな顔してるわね。」

そんな風に言われることは日常茶飯事だったのと、更に中学生の頃には見た目のことでイジメに遭っていたので、世界で一番幸せなお母さんの笑顔で笑いたいのに、見た目のコンプレックスが足枷になりました。

だから、母から言われた世界で一番不幸そうな顔と可哀想な見た目を隠すように、最初のうちは笑顔のお面をずっと付けていた感じでした。

ちゃんと笑顔になっているのかわからずに、ずっと不安でした。

パンドラの箱を開けたみたいに、子どもの頃の嫌な記憶がたくさん出てきて、辛くて辛くて苦しくて、息子に言葉がけをしようとすると、私の中の小さな子どもが精一杯抵抗をしてきました。

それでも頑張って言葉がけをすると、私の今までの子育てや人生すべてを否定されたように感じるんです。

もっと簡単にできると思ってた。
1日3分とか…嘘つき。

だけど、悲劇のヒロインじゃ息子を救ってあげられない。

苦しくても何でも、とりあえず1ミリでも前に進もう。
原因側にしっかり立って行動しよう。

息子にかける言葉は息子へのごはん。
もう何年も美味しいごはんを食べられず飢餓状態。

お腹を空かせている子を見殺しにすることなんてできない。
どんなに下手でもいいから、とりあえず、あり合わせのものでいいから食べさせてあげなくちゃ。

私が息子を救ってあげるんだから。
私しか救ってあげられる人はいないんだから。

息子を救ってあげたい一心で、とにかくコンプリメントを頑張りました。





この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?