見出し画像

#37 親の当たり前は当たり前じゃない!

身体症状が出始めてからの息子は、やりたいことがあっても、実際に行動を起こすまでにかなりの時間が必要でした。

髪を切りたくても、実際に切りに行くのは数か月後だったり、お風呂に入りたくても気力・体力がなくてなかなか入れなかったり…。

しかし、心と身体の状態が徐々に回復してくるようになると、息子は髪が少しでも伸びると「髪を切りたい!」と月1回くらいのペースでカットに行けるようになったし、小まめにシャワーも浴びるようになりました。

朝起きたらシャワーを浴びて、寝る前も必ずお風呂に入り、学校から帰宅したらシャワーに直行しています。

歯磨きも必ずしているし、肌のケアも大切にするようになりました。

不登校の頃は、お風呂も歯磨きも極度に嫌がり、今まで当たり前に出来ていたことが一切出来なくなりました。

私は、そんな息子がどうしても受け入れられず…。

今考えてみても何でそこまで嫌だったのか分からないけれど、とにかくお風呂や歯磨きは毎日かかさずやらなければならないと思い込み、何が何でもやらさなければ気が済みませんでした。

あの頃の私は、いつも何かに追われているような感覚で常に恐怖でいっぱいでした。

多分、今まで出来て当たり前だったことが、一つずつ出来なくなっていく恐怖に囚われていたんだと思います。

そして、息子の残り少ない自信の水まで根こそぎ奪ってしまいました。

息子に共感する前に、「躾」という名目で、「親の欲」や「支配欲」を一方的に押し付け続けていたんだと思います。

息子を見る時は、いつも親の欲フィルターがかかって親の勘が働かず、(親の勘って何?状態…)どんな行動が正解なのかサッパリ分かりませんでした。

お風呂に入らないのが、気持ち悪い・汚い・理解できない、何が何でもお風呂に入って欲しいって思考から抜け出すのに時間がかかり、息子がお風呂に入らないのではなく、入りたくても入れないのだと気付くまでに時間がかかりました。

不安でいっぱいの息子よりも不安になり、よかれと思ってしたことが息子を苦しめる結果に繋がってしまったので、息子には迷惑ばかりかけていたと思います。

上手くいかなければやり方を変えて、たくさん失敗もして、失敗から学んで、諦めないで挑戦して、たまーに上手くいくこともあって…。

これを繰り返すことで、少しずつ自分の成功パターンに気付いていきました。

私の思考のクセは、辛い時や苦しい時、問題にばかりに目を向けてしまい、極端に周辺視野が狭く、自分の考えに固執してしまうことでした。

そのため、一番苦しんでいる息子にキチンと目を向けることができていませんでした。

そんなことも息子や自分を良く観察しなければ気付くことはできませんでした。

息子の体調が悪ければ原因究明しようと病院探しを一生懸命したり、痛みを取り除く方法を徹底的に探したり、良からぬ未来を具体的に想像して不安になったり、周りの子どもと比べて不安になったり落ちこんだり、安定登校させることばかりに気をとられたり…。

一番近くに答えを持っている息子がいるのに、答えを外に探していました。

息子を良く観察していれば分かることなのに、たくさんの情報を息子は発信してくれていたのに、何も受け取ることができていませんでした。

まるで、ラジオの周波数が合ってないみたいに…。
ラジオって周波数を合わせなければ聴くことができないですよね。

息子を日々観察していくことで、なんとか息子の周波数に合わせることができるようになって、やっと息子の発信していることが受け取れるようになりました。

再登校した後も学校から帰宅するだけで疲れ果ててお風呂に入れない状態は長いこと続きました。

お風呂に入ると体調が悪くなってしまうのもお風呂を嫌がる原因の1つでした。

汗っかきでアトピー肌の息子は、お風呂に入れないことで皮膚トラブルをいつも抱えていて、いつも体を痒がって辛そうでした。

心と身体の状態が徐々に回復してくると、寝る前には必ず歯磨きをするし、疲れて寝落ちしても朝方には必ず起きて歯磨きをしています。

小まめに自分の身体をケアしている息子の様子を見ていると、歯磨きやお風呂に入れなかった期間は身体が気持ち悪くてとても辛かっただろうなと思います。

私は、子育てをやり直しながら、ひとつひとつ執着を手放していきました。

「~しなければならない」
「~すべき」

これらの思い込みをひとつひとつ手放していく作業は簡単ではありませんでしたが、手放して空いた手で自分だけの新しい子育て方法を掴んでいったように思います。

どうしたらお風呂に入るのか
どうしたら歯を磨くのか
どうしたら朝起きるのか
どうしたら学校に行くのか
どうしたら…

こんな風に親の私がいちいち悩んでヤキモキする必要も、親の私が先回りをして答えを出す必要もないんですね。

答えは全て息子が持っていました。

私にできることは、息子をよく観察してリソースを探すこと、そして信じて見守ること。

問題をアレコレ悩んで複雑にしていただけで、解決方法はとってもシンプルでした。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?