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読書記録 ヨシタケシンスケさんの『あるかしら書店』

なぜ『あるかしら書店』を手に取ったのかというと、ここ最近、真面目に書く題材を探して思考がかたくなっていたからだ。きっと。
ちょっとゆるめないとこれから書くものが、おもしろくなくなる。そんな危惧があったんだと思う。
固くなりすぎる。これは私がよく起こすクセで、ヨシタケさんのゆるい絵に頭をくすぐってほしくて手に取った。

ページをひらくと、表紙にもある一人のまるっこい顔の本屋さんが登場する。いかにも人のよさそうなおじさん。お客さんが、どんな本をもとめようと「ありますよ!」と奥からだしてくれる。これって、すごい魔法のようじゃない? と思った。
この本屋さんに行けば、「ある」「みつけてくれる」安心感。
ここへ行けば必ず話ができる安心な場所って今、なかなかない気がするのだが、私にとって、それがどこなのかと考えると思いつくのは、やっぱりいつもいく本屋さんだった。

本そのもののもつ力も大きいが、古今東西、昔の人、今の人、若い人、年取った人の叡智があつまる書店という場所の主で、来る人に「こんな本がありますよ!」って、何か生きるヒントをくれる本屋さんてやっぱりすごいなと思う。
電子書籍でおすすめの本ばかり読んでる場合じゃない。おすすめに上がってくるのは自分の嗜好に合わせた本ばかりで、自分の好みのものしか見えない世界をすすむって怖いことなのではと思うようになった。

「本屋さんってどういうところ?」のページに

本屋さんって
いい本を届けるために
いい本が未来に残るために
いい本が生まれ続けるために
日々、プロが右往左往するところ

検索ではたどり着けない
新しい世界をいつも用意して
くれているところ

『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ著(ポプラ社)

と書いてある。
まったく、いつも通う書店の店主さんがそうなので、あらためて本屋さんという存在はありがたく貴重だと思ったのだった。

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