わかばの読書

大人になってから、~簡単に、お手軽に、効率よく~の実用書ばっかりに偏っていた読書から、時間はかかっても、正解がなくて、非効率な読書へ。受け取り方は自分次第。自分の物語を紡ぐための読書っていいなと思い始めた読書の記録です。

わかばの読書

大人になってから、~簡単に、お手軽に、効率よく~の実用書ばっかりに偏っていた読書から、時間はかかっても、正解がなくて、非効率な読書へ。受け取り方は自分次第。自分の物語を紡ぐための読書っていいなと思い始めた読書の記録です。

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本棚を見れば、私がわかる

と、よく行く本屋さんの店主におしえてもらった。 本棚には 過去読んだた本 今読んでいる本 これから読みたい本 が並んでいる。 たしかに、本棚を眺めてみると 自分の頭の中が透けて見えるようで 本は、言葉の集合体だから 頭の中にある言葉まで可視化されていく。 並ぶ本のタイトルを見れば 自分が何に興味を持ってきたのか 何を大切にしてきたのか 何を課題にしてきたのか よくわかる。 学生の頃から大切にしている本は 不動で、私の本棚の一列をしめているけど 大人になって 社

    • 読書記録 ヨシタケシンスケさんの『あるかしら書店』

      なぜ『あるかしら書店』を手に取ったのかというと、ここ最近、真面目に書く題材を探して思考がかたくなっていたからだ。きっと。 ちょっとゆるめないとこれから書くものが、おもしろくなくなる。そんな危惧があったんだと思う。 固くなりすぎる。これは私がよく起こすクセで、ヨシタケさんのゆるい絵に頭をくすぐってほしくて手に取った。 ページをひらくと、表紙にもある一人のまるっこい顔の本屋さんが登場する。いかにも人のよさそうなおじさん。お客さんが、どんな本をもとめようと「ありますよ!」と奥から

      • 読書記録:ミヒャエル・エンデの「モモ」未来を予見したかのような本

        名作と言われ、いつか読んでみようと思いつつ、ずーっと、いつかのままにしていたミヒャエル・エンデの「モモ」。 箱入り、布張りの愛蔵版が美しくて、いつか読もうの本を購入し、家で本を開いた。 それだけで、何か体の中にゾクゾクしたものが走ったような気がした。子どもの頃、挿絵や装丁が好きで海外の物語に引き込まれていた気持ちを、少し思い出す。 ザラっとしたやわらかい布の手触り。 手に持つだけでやさしさを感じる本が磁力を持っているような感じさえした。 読み始めると、50年も前に書かれた

        • 日本語の余白の魅力

          もののあはれ。 むかしは、古典の何がいいのか、さっぱりわからなかったが、最近は、はっきり言葉にできないこと、目に見えないものを感じようとする日本人の感性がよいな。その感性を磨いてきた先人がすばらしいなと思うようになっている。 NHKの100分de名著では「ウェイリー版・源氏物語」を見た。 そこでテーマになっていたのが「もののあはれ」。番組の中では、 「もののあはれ」とは、「ああ……」と感嘆するしかないような心の動きを描くときに使われる動的な言葉 と解説されていた。 「もの

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        本棚を見れば、私がわかる

          日本のことを知りたい。思い出したい。

          日本のよいところってなんだろう。連綿と刻まれてきた日本人の心ってなんだろう。 わたしは大学生だったころに合気道の部活にいそしんでいた。 ただ、ランニングがない、護身術にもなりそう。そんな理由で入ったクラブだったが、試合のない武道、道という見えないものに触れたことで、日本て素晴らしい国なのではと思うようになった。 高校までは、日本の歴史や文化は、学校の試験で点数をとるためだけに勉強していたので興味もわかなかった。 日本のことを知らないままの学生だった私が、武道に触れて変わっ

          日本のことを知りたい。思い出したい。

          もうひとりの「わたし」は、どこにいる? 読書記録『「書く」ってどんなこと?』高橋源一郎 著

          ……えっ? その一行からはなれられなくなった。 高橋源一郎さんの本『「書く」ってどんなこと?』の中に書かれていた一文だ。 今まで信じ込んできたことと、あまりにもかけ離れていた。考えなかったら、どうやって書けばいいんだろう?    高橋さんによると、夏目漱石が『坊っちゃん』を書いた時 作家である高橋さんご自身も「考えずに書く」とあるときから転換したそうである。 そんなことがあるものか?  これは、作家だけに限らないともいう。気になって、書くことが好きだという知人に聞いてみた

          もうひとりの「わたし」は、どこにいる? 読書記録『「書く」ってどんなこと?』高橋源一郎 著

          自然は蘇る。その希望を抱かせてくれる読書記録『アファンの森の物語』C・Wニコル著

          長野県黒姫に住み、荒れ果てた森を自ら買取り、自然再生に尽くされたC・Wニコルさんの『アファンの森の物語』 世界各地で自然保護に携わっていたニコルさんが感動するほど美しい森が、50年以上前の日本には存在していたこと。 巨大なブナの木、澄みきった川の水、そこに生息する生き物の様子。 日本の森がいかに貴重で素晴らしいものであったのかを知ることができてうれしかった。 しかし、その森の木々は翌年すべて伐採されていたという。 樹齢300年から500年の古木含めて。森は消え動物や鳥もいな

          自然は蘇る。その希望を抱かせてくれる読書記録『アファンの森の物語』C・Wニコル著

          読書記録『せんせいあのね 一年一組かしま教室 ①ひみつやで』新版も、こどもから学ぶことがいっぱい

          いつも行く本屋さんから、予約していた新版『せんせいあのね 一年一組かしま教室 ①ひみつやで』(鹿島和夫著 監修むかいさとこ 西日本出版社)が届いたと連絡をうけ早速、受け取りに。 前記事で書いた 1994年に出された『一年一組せんせいあのね: 詩とカメラの学級ドキュメント』があまりにもよくて、新しく編集されたものを読んでみたいと思いました。 本屋さんで、まだ支払いもすませてないのに、中を開いたとたん、一編の詩にくぎづけ。 男の子が書いた5行の詩。 ただ、トイレに行って気づい

          読書記録『せんせいあのね 一年一組かしま教室 ①ひみつやで』新版も、こどもから学ぶことがいっぱい

          『一年一組せんせいあのね:詩とカメラの学級ドキュメント 』こどもは、大人が思っているより、ずっと世界をよく見ている

          昨日、図書館で予約していた『一年一組せんせいあのね』(編者・鹿島和夫、灰谷健次郎 フォア文庫)が届いたとメールがきたので取りに行ってきました。 友人が、すごくいいと紹介してくれていた本。 1994年が初版だったんですね。小学生のこどもたちが、毎日担任の鹿島先生にあてて書いた詩を集めたもの。 まだ数編しか読んでいません。なのに、こどもがこんなに大人をよく観察して、飾らない言葉で、見たもの、感じたことを書けることに驚きました。 おとうさんやおかあさんとの暮らしには、毎日どんな

          『一年一組せんせいあのね:詩とカメラの学級ドキュメント 』こどもは、大人が思っているより、ずっと世界をよく見ている

          悲喜こもごも、感情を揺さぶられる読書記録。増山実さんの『甘夏とオリオン』

          女性の落語家、甘夏が主人公の物語 ~『甘夏とオリオン』増山実著(角川文庫)~ 頭で考えただけでは、人の心は動かせない。 まわりからはアホなことに見えても、懸命に生きる姿が、哀しかったり、おもしろかったりする。 女性が落語をするのは難しいことなんやなあ。 落語の世界に足を踏み入れ 一つ一つの演目に向き合いながら成長していく主人公、甘夏の姿に、 ほんまに大事なのは、一生懸命生きること。 頭で考えた小細工は通用しないんやなと教えられるような。 兄弟子たちの生きざまもいい。

          悲喜こもごも、感情を揺さぶられる読書記録。増山実さんの『甘夏とオリオン』

          読書記録。松浦弥太郎さんの『エッセイストのように生きる』を読んで

          松浦弥太郎さんの『エッセイストのように生きる』(光文社) 友人が紹介してくれた本。 読みだしたら、どのページも、もれなく 「そうよね。書くとこんなにうれしいことがあるのよね」 と、共感の嵐……。 松浦さんは、こう書かれている。 なんで、この本に、こんなに背中を押されたように感じたのか。 書こうとすることで私には 見えてくるものがたくさんあったし、 書かなかった頃より 丁寧に物事と向き合えるようになったし、 だれかに教えてもらうより 自分が見つけたものに確信をもてるよう

          読書記録。松浦弥太郎さんの『エッセイストのように生きる』を読んで

          さくらももこさんの作品に触れに神戸へ

          神戸ゆかりの美術館で開かれている『さくらももこ展』に足を運びました。 ちびまる子ちゃんのアニメも、もちろん楽しいのですが、エッセイは『もものかんづめ』『さるのこしかけ』『たいのおかしら』など、おもしろいタイトルが並び、とにかく笑いをさそうものが多くて、観察眼があれば日常はこんなにおもしろく書けてしまうのかと驚いたものです。 館内には、さくらさんのエッセイの手書き原稿やカラフルなイラスト、漫画の原画が展示されていて、その多彩な活動にあらためて驚きます。 エッセイの原稿は、手

          さくらももこさんの作品に触れに神戸へ

          読書記録 山口百恵さんの『蒼い時』にふたたび出会って

          山口百恵さんの『蒼い時』 (集英社文庫)。今は文庫本として出版されているが、今日、実家に置いてあった単行本の方を手に取った。 帯の文章を見ただけで、震える。 当時、百恵さんは、国民的大スター。 『蒼い時』が出版されると知った時は衝撃だった。 引退される直前に書かれたこの自叙伝。今見ても、書く決意をされた強さに驚いてしまう。 今みたいに、ネットで注文などない時代。学校近くの本屋さんに出版前の本をはじめて予約した。 内容も公表されていないから、いったい何が書かれているのか想像

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          読書記録 喜多川泰さんの『書斎の鍵(父が遺した「人生の奇跡」) 』を読んで

          喜多川泰さんの『書斎の鍵(父が遺した「人生の奇跡」)』現代書林 ある出来事が原因で望んでいた仕事に就けず、その後、ずっと本気で生きられなかった主人公が 幸せを願ってくれていた存在を知り 大きく生き方を変えていく物語。 帯には と書かれている。 自分が幸せでいる目的は、だれかを幸せにするため。 今は、自分一人の願望実現 夢を叶えよう とうたわれるものが多いけど それは、なんのために? を問われる。 自分の一人のことだけを考えていると、 踏み出せなかったり あきら

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          楽しい読書の記憶を思い出す

          宮本輝さんの『にぎやかな天地』。あまりによくて、友人たちに感想をシェアしたら 「私、宮本輝さんの『錦繍』を読んだ!」という人が多くて驚いた。 みんな本読んでたんだ! 今まで読書の話などしたことがない面々だったから、そうか、話さなかっただけで、みんな本を読んでたんだ。 小説を楽しんでいたころの自分を思い出して懐かしそうだった。 私は記憶をたどると、子どもの頃は物語 高校、大学の頃はエッセイや小説も少し。 学生の頃は、「楽しいから読む」だった。 それが、社会人になって

          楽しい読書の記憶を思い出す

          ゆっくり、本を受け取る器を育て中

          つごう、二年かけても読了できていない本がある。 現代小説だ。 まだ、小説をほとんど読む習慣がなかったのに、その場の流れで買った三冊のうちの一冊。 なんどもトライし続けていたが、いっこうに読み進めることができなくて、長くねかしていた。 それでも、今年は小説強化年として、自分でも驚くほど小説を読めるかも!と色めき立ったので、この二年ねかした小説も、読みたいし読めるかもと期待をしつつ、今日久しぶりにその本を開いた。 ちょうど、恋がはじまるかもって雰囲気が漂い始めて、がぜん読め

          ゆっくり、本を受け取る器を育て中