プロとはなにか
新人や若手の方向けの研修などをしていると、よく「プロとは何か」という質問に出くわします。様々な答えがあると思いますが、僕はいつも「お金をもらったらその時点でプロ。そしてプロは泣き言を言ってはいけない」と答えるようにしています。偉そうに話していますが、実はこの答えには出典があります。
世界で最初にゴルフで100万ドルを稼ぎメジャーで11勝をあげた名ゴルファー、ウォルター・ヘーゲン(1892~1969年)の子供の頃のエピソードです。5人兄弟で、ひどく貧乏な家に育ったヘーゲンは7歳からゴルフ場のキャディーをして家計を助けていましたが、ある時お客のクラブを地面に引きずり言い訳をしてしまいました。その時お客の白髪の紳士がこう言って彼をひどく叱ったそうです。「その仕事で1セントでももらったら君はプロのキャディーだ。言い訳や泣き言を言うのなら報酬を辞退しろ。お金をもらわないのならそれは趣味と遊びの世界、いくら愚痴を言っても構わんぞ」
ヘーゲンはこの言葉を人生の金科玉条とし、やがて世界有数の名プレーヤーとなりました。彼は白いロールスロイスでゴルフ場に乗り込み、お洒落なファッションを意識するなど周辺の話題にも事欠かない人だったようですが、他のプレーヤーが文句たらたらのひどい悪天候や、ろくに整地もされていないひどいゴルフ場でも「グリーンに穴があるんだろ?ならオレは行くよ」といった具合。「天候やゴルフ場に文句がある奴はプロをやめろ!」と言ったそうです。また大事な試合の直前に愛用のパターを盗まれ、売店で買った安物で試合に臨み一打差で敗れた際も一言も言い訳をしませんでした。どんなに条件が悪くとも生涯すべてのエキシビジョンマッチを69以下でホールアウトしたという、これぞ本物のプロだと思いませんか?
ちなみに有名な小金井カントリークラブはヘーゲンが設計したそうです。僕はゴルフをやらないしプロとしてもヘーゲンの足元にも及びませんが、心意気だけでも彼に倣いたいものです。
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