うつを治すための趣味は必要ない

うつを治すために、自分が楽しめる趣味をみつけよう、些細なことでもいいから何か探してみよう。でもそれがみつからなくて困る、というあなたへ。

今日のポイントは、趣味はみつからなくてもうつは治るから気にするな、です。

うつの本などをみていると、ときどきみかけるのが、趣味をみつけましょうという言葉。しかも、収入のことを考えてお金のかからない趣味をみつけましょう、という条件がついていたりします。それをみて、「何かお金のかからない趣味をみつけなければ！」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、趣味なんてみつからないよなあ、などと思う方も多いのではないでしょうか。

私の場合は、休職してすぐに給与支給はなくなったため、傷病手当金になりました。単純に言えば、給与の７割弱の収入になったわけです。とても、困りました。でも本を読めば「趣味をみつけたほうがいい」と書いてあります。だから「何とか趣味を探さないと！そうすれば病気がよくなるかもしれない！」と藁にもすがる思いで、お金のかからない趣味はないかと探していました。
#なんの修行かわからない

でも、休む前は仕事一筋で、しかも休職前に体調を大きく崩し、回復途上にある私に、楽しめるものを探すという発想はなかなか難しかった。写真撮影、盆栽、料理など、お金がそんなにかからず、またそれぞれに「こんないいことがあるよ」と本には書かれているものの、どれも自分が興味をもてなかったり、楽しめなかったりしました。
休む前から持っていたデジカメでしばらく写真撮影してみましたが、やっぱりしっくりきませんでした。その当時のいろいろな写真が残っているので、がんばって趣味にしようとしていたことだけはよくわかります。

他に、神社やお寺を廻ったりもしましたが、頭がまだぼんやりしていたので、あまりありがたみがわかりませんでした。
#罰当たり
ひとつだけ、趣味っぽくできたことは、「うつ病がよくなる」というご利益的なものがあるお寺を探し、そこで数珠を手に入れるというものでした。今から考えればすぐに見つかって手に入れられそうな気もしますが、これもあまり頭がうまく回っていなかったせいか、手に入れられるまでに少し時間がかかったことで、逆にそれが趣味のようなものになった時期もありました。
また自分の気に入った時計を必死に探すということもしていました。これもやはりあまり頭が回っていない時期にやったこともあり、今ではそのときに手に入れたものはほとんど残っていません。
#ちなみにお金がなかったので安物を探していました
結局、数珠にしても、時計にしても、手に入れてしまえば終わるものですので、趣味として継続することは難しいものでした。

結局「何かないか、何かないか」と思えば思うほど、ないものです。そして、結局何もみつかりませんでした。
やがて・・・趣味はないままに、うつは治りました。
そうです！趣味はみつからなくても、うつは治るんです！

そして、うつがよくなり復職してからしばらく経って、たまたま手に入れた無料のサッカー観戦チケットがきっかけで、サッカーを見に行く機会を得ました。そのときは、別に趣味にしようとも思わず、「無料でもらったし、すごく昔に一回だけみたことがあるくらいだから行ってみよう」という軽い気持ちで見に行きました。その後すっかりサッカー観戦にはまってしまい、もう１０年ほど続いています。

探さないといけないと思っているときほど、力んでしまって手に入らないのかもしれません。そして、まあいいかと手に入れることを手放したタイミングで、手に入るものなのかもしれません。

結局、うつを治すために趣味をみつけないといけない、ということはありません。
もちろん、趣味があることで日々の充実度とは思いますので、何か楽しめそうなことがあれば、やってみてもいいとは思います。もし過去に楽しんでいたことで、再び楽しめそうなことがあれば、やってみるのもひとつかなとは思います。ただ、それらが今楽しめなくても、自分はだめだとか思う必要はありません。今は楽しめない時期である、それは病気のためであるということが十分に考えられるからです。

物事というのは不思議なもので、何とかしなければと力が入っているときほど何も動かず、気持ちを軽く持った時に動くものなのかなと思います。
これは今回の趣味の話に限らず、たとえば「病気を治さねば！」と力が入っているときほどなかなかよくならず、「病気と付き合っていこう、元の自分に戻れなくても大丈夫」といったように、少し肩の力が抜けたときから、病気がよくなっていくことに通じる部分があるように思います。

肩ひじ張ることなく、日々をお過ごしください。
みなさんのうつがよくなることを願っています。

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