小島達也 醸造哲学サケノート|@itonami_touji 醸造家 出雲杜氏

醸造家。出雲杜氏組合。天穏・無窮天穏。日本杜氏組合連合会 日本酒造杜氏。1級酒造技能士。

小島達也 醸造哲学サケノート|@itonami_touji 醸造家 出雲杜氏

醸造家。出雲杜氏組合。天穏・無窮天穏。日本杜氏組合連合会 日本酒造杜氏。1級酒造技能士。

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出雲杜氏 醸造家 小島達也

    • 【イトナミコラム7】空は有ると言おう その2

      ◎有ると無いは矛盾しない 自分が有る哲学に気づいても、周りや社会は無い哲学のまま進行します。 無い世界で有ることに気づいても生きにくいだけという現実がある。 ジョンレノンが言うように昔も今もこの先も、社会は空が有るという者を夢想家だと笑うでしょう。 しかしながら空が有ると仮定しないと自然科学が成り立たないのもまた事実。空が無かったら呼吸も熱交換も出来ずに生命は存在できません。 合理的な技術者であり、万物に縁を伸ばす思想家であり、自己情緒からの問いにYESと答える求道

      • 【イトナミコラム7】空は有ると言おう その1 

        ◎はじめに空はあると言う 6BYの酒造りが本格化するに空の醸造哲学をまとめなくてはならない。 5BYは土の予感からサケルと土蜘蛛が発生し、土の意味を教えてくれました。 今季も何かあるだろう。 人生からの問いに答えていくと、なぜかそういう流れになっていく。 四智を働かせて縁の道を空に伸ばしてみよう。 最初にもう予感して信じていることを言ってしまおう。 空はある。 すでに空は有る。 空は無いなんて、空がカラなんて大嘘だ。 ◎無い哲学 空の意味は原始から文明以

        • にほんのさけ展

          2024 7.1-9.1 無印良品 MUJI銀座ATELIER MUJI「にほんのさけ展」◎はじまり 現代の日本酒は米と米こうじを原料として発酵させALC22%未満で濾した酒である。 それ以前の時代では日本酒は御神酒だった。 御神酒の前は名も無い日本の酒であった。 組織的な穀物栽培以前、日本という国や文明がはじまる前の酒はハチミツ、果物が自然発酵して、空を経由して水の存在を動物に伝えるものであり、植物が動物を呼び寄せるためのシステムだった。 酒という構造は植物、動物、

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        記事

          【蔵人交流会資料】酵母と乳酸菌とダイアセチル

          ◎ダイアセチル/ ジアセチル どちらも同じものだが業界によって呼び方が違う。 ビール業界、醸造業界…ダイアセチル 日本酒業界、化学業界…ジアセチル ◎香りの特徴 バター、ヨーグルト、乳製品の香り。醸造業界では一定量を超えると不快なオフフレーバーとなると言われている。日本酒的にはつわり香。約25%の人が感覚的に鈍い。発酵乳製品(バター、チーズ、ヨーグルトなど)を長らく摂取してきた民族では好意的に捉える。閾値が高く幅が広い(10ppb~200bbp)。 ◎ジアセチル生成

          【蔵人交流会資料】酵母と乳酸菌とダイアセチル

          【蔵人交流会資料】ハラスメント対策まとめ

          ◎ハラスメントとは 職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、身体的・精神的苦痛を与えることや職場環境を悪化させること(厚生労働省)。社会的に認定されるパワハラはもちろん、それ以下のグレーゾーンにおいても多くの損失をもたらす。   1,ハラスメントが起きる理由を理解する。 2,ハラスメントが起きたときの対処法を理解する。 3,ハラスメントを起こさない方法を理解する。   以上の具体的な方法論を持ってハラスメントに対処することを提案します。  ハラスメント回避の知見や

          【蔵人交流会資料】ハラスメント対策まとめ

          R5BY齋香荒(サケル)と齋香(サケ)

          ◎天穏 齋香荒(サケル) 佐香錦50% 生酛 酵母無添加 酒度-8 酸8.0 ALC16% 2月のお知らせで、生酛のもろみ(齋香)において乳酸菌が増える事態となったことを正直にお伝えしました。通常の生酛の場合、酒母段階でアルコール度数が上がるにつれて乳酸菌が溶けていなくなり、その後のもろみで乳酸菌が増えることはありません。今回の齋香では酒母段階で通常の乳酸菌とアルコール耐性のある乳酸菌が同時に増え、酵母発酵後も生き残ってもろみまで進んだことが予想されます。 そのためにこの

          【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう  最終回 土のなかのnag

          ◎はじめに 概念世界と現実世界のあいだを行き来しながら冒険を続ける者をアルケミストという。 日本酒醸造業界のアルケミストを自称する私は今回、土の中にその冒険の道筋nagを見つけ、自分の酒造りに落とし込むことを目標とする。 ロゴス(個)とピュシス(群)を縁起させて偉大な功績を残した過去のアルケミストたちに習い、概念世界と現実世界のあいだには矛盾がないように冒険をしていこう。 アインシュタインやシュレディンガーが言うように、自然科学というロゴスを細分化していく冒険は、自然

          【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう  最終回 土のなかのnag

          【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう その2 仔と群れのあいだのnag

          ◎現実と概念のあいだのnag この宇宙、そして地球に存在するものたちの間には共通する事がある。それはもちろん現実に実在する物質的なものではない。人間それぞれの精神世界に共通意識として存在する概念的な自然生命のようなものだろうか。 それは宇宙の始まり、地球の始まり、そして25億年前に海中のバクテリアや植物プランクトンが光合成をはじめたとき、五億年前に地上に生命が進出したときから具体的にはじまり加速していったと思われる。 私はその予感を現実世界の日本酒造りから感じ、その自然

          【イトナミコラム6】万物に伸びる縁の道「nagナグ」を見つけよう その2 仔と群れのあいだのnag

          ◎R5BY酒造理念とその醸造法

          □基本理念 誰でも、誰とでも。何時でも、どこでも、どこまでも飲めるような酒。 そしてどことなく出雲の香り、日本の香りを感じるお酒にしたいと考えて醸造しています。 それは穏やかな自然風景がおのずと言葉となって現れた俳句のような情景のあるお酒であり、人だけではなく動植物から微生物など全ての生物に共通する自然生命が表現された営みのお酒です。 この自然生命の情景である営みの酒を実現するために酒造技術と利き酒を重ね、そこから生まれた言葉を皆様にお伝えすることを続けていきます。具

          イトナミミード醸造 ニホンミツバチ編

          ◎はじめに 2019年、イトナミミードが誕生した。イトナミミードは今までにない新しいスタイルのミードでありながら、とても原始的でピュアな酒として、その美味しさは私たちに衝撃を与えてくれました。 イトナミミードの具体的な醸造法は、酵母無添加生酛などの自然醸造と言われる清酒製造技術を応用し、はちみつの中に含まれる酵母を増殖させて酸とアルコールを蓄積し、さらに瓶内二次発酵させた発泡性の生ミードです。 はちみつ酵母発酵の証拠として、イトナミミードはアルコールは2から3%にとどま

          R4BY無窮天穏 縁起

          ◎無窮天穏 縁起 生酛Φ山廃Φ水もと純米吟醸 縁起ブレンド 山田錦60% 2年目の縁起です。今季も山田60%の生酛・山廃・水もとのブレンドです。 この酒は縁起思想による醸造と、そのブレンドにより、全方位360℃、裏も表も香味がするように設計した酒です。矛盾する様々な要素を含ませて1つにまとめています。そうすることで必ず誰かの何処かにフィットする酒となります。 性質的には中庸な白ラベルや上撰に近い考え方の酒で、多くを包む懐のある酒です。無窮天穏のスタンダードとして、どの方

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その3最終回

          諏訪ツアー2日目。3時まで飲んで最悪の状態だ。しかしミシャグジが待っている。このツアー最大の目玉である鎮大神社へ向かう。 ◎鎮大神社のミシャグジと虫封じ

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その3最終回

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その2

          第1回イトナミツアー諏訪編 その1はこちらから ぞんざいに扱われる石棒や双対道祖神と歌舞伎町トーヨコのバーニング跡地からミシャグジの発生の根本原理をなんとなく掴みかけた前回。 このあたりからさらに諏訪ツアーは深まっていき、古代人のものづくり思想が確実に自分の中にラーニングされていくことを実感していった。 瀬神社を後にした我々は、あらたなミシャグジに会いに向かった。 言うまでもないことだと思うが、ミシャグジや神は現実には存在しない。これらは私たちの脳内に共通概念として発

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編 その2

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編

          ◎はじまり ものづくりとは人間の情緒を他者に伝わる形に変換することだ。 その想いの純度が高ければ高いほど自己情緒は熱を発して情熱となり、他者に愛を伝える形になる。 その形は個々の違いも、生きる時代も超えて、永遠に想いを伝えるものになるだろう。 現代に生きる僕らは、生きるため、金のため、名誉のため、認めてもらうためにものづくりをしてしまいがちです。 それもいいんですが、伝統を継承したものづくりをするからには、今この時この人だけを満たすものではなく、過去も現在も未来もい

          【イトナミコラム号外】第1回イトナミツアー諏訪編

          対談てのひらのオアシス@ 小灯/新宿まとめ

          てのひらのオアシス 企画:コイル 大隅さんと竹内さん(panorama/filament/小灯) 陶芸家 渡辺隆之×天穏 小島達也

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