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『詩』秋かしら
水風船をアスファルトに叩きつけたように
日差しが炸裂する
真っ白な 眩いスクランブルの向こうから
大きく弧を描いてマルーンの
路面電車が近づいてくる 線路を横切って
停留所に駆け込んだ拍子に 少年の
ズボンのポケットからそれは落ちて
停留所のタイルでカツン、と跳ねる
路面電車の窓に貼り付いて
乗客たちがこっちを見ている
今しもデッキに足をかけた少年と 跳ね上がった
アンティークの真鍮の棒鍵が重なって
束の間 時間が静止する
秋かしら、本当に?
*タイトル画像はこちらを使用
PetraによるPixabayからの画像
ごく短い、イメージだけの詩です。暑さでバテそうなので・・・
デザイン学校を出て働き始めた頃、半年ばかり某市の小さなデザイン事務所に勤めたことがあって、JRの駅からそこまで路面電車で通ってました。料金は確か、70円だったようにおもいます。時間にして30分も乗っていなかったとおもうけれど、それでも車窓の景色が好きだったですね。商店街があったり市庁舎があったり、歩行者やクルマやバスとの距離も近くて、なかなか楽しい通勤時間でした。後年、同じ道をクルマで走ったときは、線路が邪魔で仕方なかったけれど。勝手なもんです。
アンティークの棒鍵はタイトル画像にあるようなやつ。画像のは鉄製だとおもいます。ちょっとした飾りとか、ファンタジーにも登場しそうですよね。こういうのが好きです。
ちなみにマルーンはこんな色。
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