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#182 メンタリングの技術 〜野心を引き出し肯定すること〜
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
私は現在エンジニアリング組織のマネジメントをしており、エンジニアリングマネージャーのバイブル的な本である「エンジニアリング組織論への招待」を社内の別のリーダーと輪読会を行なっています。
今日はこの本で紹介されているメンティのパフォーマンスを引き出すための『メンタリングの技術』について考察し、メンタリングとはメンティの野心を引き出し、肯定することであるということをお伝えします。
◯メンタリングの技術
本書ではメンタリングは思考のリフレーミングを促し、問題解決の力を育むことであり、体得できる技術であると述べられています。
また、技術として体系的に説明ができることであるため、体得も可能とのことです。
メンタリングは体得可能な技術である
私も以前は1on1をしていただくことがありました。当時の私のメンターは社内でも最も1on1が上手いと言われており、その秘訣を聞いたところ、本書で学んだ知識を実践していると教えられました。
本書ではメンタリングのノウハウが人間の認知の枠組みからブレークダウンして紹介されており、非常にわかりやすいと感じました。
ソフトウェア開発を進める上でメンタリングの技術が求められる場面は多く、コードレビュー(仕事のチェック)、ペアプログラミング(OJT)、障害時ハンドリング、チームマネジメントなどが挙げられます。
これらはどのような職場においても良くある場面かと思いますので、あらゆる職場でメンタリングの技術は活用が可能です。
メンタリングは自ら考える人材を作るためのテクニック
自ら考えられる自立型の人材とそうでない依存型人材をそれぞれこのように定義します。
依存型人材:
・問題を与えられてから考える
・問題と解決策を渡されてから動ける
自立型人材:
・自ら問題を発見し解決することができる
・問題について自分ごととして捉えている
では、依存型と自立型で明確な境界があるのかというと、そうでもありません。
ある場面では自立的であるが、ある場面では依存的になってしまうという人のが多いでしょう。上司と部下の関係であれば、ここまでは自立的に動いて欲しいという期待値のすり合わせが出来ていることが重要です。
期待値をすり合わせた上で、自立的な行動やその行動による結果に対するポジティブなフィードバックを得ることで自己効力感を感じることができ、自立的に動くことが楽しくなります。
このようなポジティブなフィードバックのループを作り出すことで自立型の人材を作ることができます。
また、自立的な行動を促すには、他人からの説得ではなく、自ら今までわからなかったことを理解する自己説得が必要です。自らの体験ベースで理解する状況を促すのがメンタリングの教育効果でもあります。
自己説得を促すには3つポイントあります。
傾聴により感情と問題の事実を切り離す
問題を客観視することで事実を可視化・明確化する
リフレーミングによって解決可能な課題に分解する
メンターがこのようなテクニックを用いることで自立型の人材を作り出すことが可能です。
それぞれのテクニックがなかなかと奥が深いのでぜひ、本書をご一読いただければと思います。
メンタリングは高い目標を設定し将来の自分が今現在の自分をメンタリングすることで完成する
メンタリングのテクニックによって自立型人材を作ることができたら次のステップです。メンターはメンティに対して今の自分では達成できそうにないような高いゴールを引き出していきます。
最初は「使いきれないだけのお金が欲しい」といった原始的な願望でもよく、高い目標を掲げることで視座を上げることが重要です。
しかし、高い目標を掲げるだけではダメで、『ゴール認識』のレベルが伴わないと行動変化に起こりません。
ゴール認識には、願望、義務、欲求、意志、必然というレベルがあり、必然とは自分が「◯◯になっている」という確信を持っている状態になることで、継続的な行動の変化が起こります。
この状態を「ゴールへのタイムマシンにのった状態」と言い、自分の今の状態を未来から見て、メンタリングすることができるようになります。
一流のスポーツ選手は小学校や中学校の早い段階で、この状態に至っているようです。例えば元サッカー日本代表の本田圭佑選手の卒業文集の書き出しは次のようなものでした。
「将来の夢」
ぼくは大人になったら世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる
世界一の選手になるには、世界一練習しないとダメだ。
だから、今、ぼくはガンバッている。
このような高い目標を掲げて、その目標と今の自分の行動・習慣がどのように接続しているかを明確にイメージできているということがわかります。
自分自身がこの状態になれているのか??という疑問はありますが、このような状態に到達するとメンタリングは完成していると言えます。
◯野心が自分をメンタリングする
さて、メンタリングの技術について学ぶと、『野心』という言葉が頭の中で紐づきます。
ちょうど今日の木下斉さんのVoicyの放送で内なる野心を持とう!という話をされていました。
放送の中で、「野心がなければエネルギーを維持することは難しい。数々の困難、数々の否定があっても、自分の内に秘める野心が自分を突き動かしてくれることは少なくない。」ということを述べられていますが、これはまさにメンタリングが完成した状態と言えるのではないでしょうか。
自分の野心を掲げ、その気持ちをエネルギーに変えて自分を突き動かしていく。
つまり、メンタリングとはメンティの野心を引き出し、肯定していくことと同義であると解釈しました。
自分に対しても、メンティに対しても、「野心を持ってもいいんだよ」と背中を押していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。