アフターデジタルを読んでいる最中に、アナログでモヤモヤした顧客体験をした話。 #読書記録
アフターデジタル:オフラインがデジタル世界に包含された世界
たまたま本屋で見かけて買った本。
久しぶりに衝撃的なビジネス書でした。
オフラインとオンラインの主従関係の逆転という考え方は一瞬、「んんん?」となるのですが、読み進めるうちに、この視点の転換はむちゃくちゃ重要だと痛感しました。
個人的に気になったところをメモ。
・「デジタライゼーション」の本質は、デジタルやオンラインを「付加価値」として活用するのではなく、「オフラインとオンラインの主従関係が逆転した世界」という視点転換にある
・「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は、企業のためにあるのではありません。社会インフラやビジネスの基盤がデジタルに変容(トランスフォーム)することを指している。
・OMO(Online Merges with Offline)
オンラインとオフラインが融合し、一体のものとして捉えた上で、これをオンラインにおける戦い方や競争原理として捉える考え方
・「顧客接点データを多く持ち、それをエクスペリエンスの良さに還元する」という新たな改善ループをいかに高速で回せるか。これが新しい競争原理。
・アフターデジタルへの変革で最も重要なことは、「人・属性」ターゲティングから、「状況」に基づいたターゲティングに変えていくこと。
・アフターデジタルでは、なるべく高頻度で良い体験を提供することが優位であるため、どうやってずっと顧客に寄り添うかが大切で、製品もただの接点の1つとして捉えるべき
中国がかなり変化しているというのは噂では聞いていましたが、ここまで変わっているのは知らず、めちゃくちゃ衝撃的でした。
日本の実態:アフターデジタルどころかアナログ・ワールドのまま
かなり話が変わるのですが、この本を読んでいる最中に、自宅のお風呂の水栓金具が壊れたんです。シャワーから水がチョロチョロとしか出なくなって。
パッキン交換とかでなんとかなる気もしましたが、まあもう10年も経つし、水栓金具自体を新品に交換しようと思い、とりあえず近所のホームセンターへ。たくさん並んでいる商品の中から、デザインが良さそうなTOTOの水栓金具を選んで、お店の人に人に声をかけたんです。
そしたら「お会計と工事日調整はサービスカウンターにて承ります」と言われて、サービスカウンターへ。
できれば今日・明日中に工事できないかな~なんて思いつつ、店員さんが施工業者さんに電話。
「おおお、電話で工事日程の調整するのか」と思いつつ、待つこと数分。
店員さん:「●日はいかがでしょうか?」
自分: 「すみません、その日は都合が悪くて」
店員さん:「それでは、●日はいかがでしょうか?」
自分: 「ちょっとまってください、ああ、都合がつかないです・・・」
結局、都合がつきそうな日時は1週間後とのこと。
シャワーが無い状態で1週間過ごすのは考えられないので、仕方なく別のホームセンターに行くことに。
しかしというか、当然というか次に行ったホームセンターでも全く同じプロセスなわけです。
手書きの注文書を書き、その間に施工業者に電話して、工事日を調整して・・・。結局、当日中に工事をするのは厳しいとのこと。
ほかのホームセンターに行っても、これ以上無駄だなと思ったので、結局5日後に工事することで落ち着きました。数日間は、近所のスーパー銭湯で耐えることになります。職人さん不足もあるので、工事日が先になってしまうのは仕方ないのかもと思いつつ、モヤモヤした顧客体験でした。
水回りの工事って、結構クリティカルかつ緊急性が高いにも関わらず、工事候補日がめちゃくちゃ少ない。電話先は1つみたいなので、契約している下請け業者は1社っぽい。
少しくらい高くても早いほうがいいので、別の業者とか選べないのかなとか思いつつ、どうも無理そう。
アフターデジタルどころか、すべてがアナログなプロセス。
アフターデジタル的な思考で考えると(アフターデジタルまでいかなくとも)、改善の余地がたくさんあると感じました。
何はともあれ、まずはモノにセンサーを。その上で、ゼロベースで顧客体験を設計し直して欲しい。
そもそも水栓金具にセンサーつけておいて、壊れる予兆があれば通知して欲しい。
で、壊れたら壊れたで、スマホのアプリ(せめてWEBサイト)で代替品のリストアップと、最短で工事してくれる業者さんのリストと、スケジュールの空き状況とか見られるようになってて欲しい。もっというと業者さんの評価もあると嬉しい。
で、見積もりまで完了して、工事依頼ができたら、もう最高。
水栓金具の故障とか、緊急性が高いわけなので、多少高くても発注しちゃうわけです。
お客様が困ったときこそ、最高の顧客体験を提供できるようにしておくことって、めちゃくちゃ大事だと思うんですよね。
自分自身が顧客として明確な「不」を感じることに対して、アフターデジタルの世界観と視点で、その「不」をどうすれば解決しうるのか、また、さらに素晴らしい顧客体験にするにはどうしたらいいかなど、本書を読むことで様々なアイデアが浮かんでくるようになりました。
アフターデジタル、ビジネスパーソンにとって必読の書だと思います。
著者である藤井保文さんが経営するビービットの本書に関するリリースや、著者のインタビューなど、備忘録としてリンクを貼っておきます。