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応募作品

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Noteのイベントに応募した作品群
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#カネワリ

[日記] 2024.1.6 大磯

[日記] 2024.1.6 大磯

 深夜に帰宅すると、台所の傍らに紙がいちまい貼られていた。レシピにしては紙の大きさが異なる。手にとれば、そこには大磯日帰り旅行の計画が詳細に記されていた。出発はどうもあくる朝のようである。

 大磯駅にはまだ昔ながらの雰囲氣があった。改札を降りると、家人はまず島村父さん邸に連れていってくれるということであった。東海道線沿いに少し歩くと、そこには島崎藤村邸がある。なるほど、二文字違いで氣がつかなった

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[日記] 2024.1.13 山口蓬春記念館 #今年学びたいこと

[日記] 2024.1.13 山口蓬春記念館 #今年学びたいこと

 四十代も半ばとなり、そろそろ晴耕雨読の熟語を本格的になぞる暮らしを心がけている。晴れの日は農福連携に、雨の日は読書普及に集注すべく、密かに家探し中なのだ。できれば家で人も耕せるのが望ましいから、畑はもちろんのこと、書庫と茶室があればと考えている。

 このような妄想を抱きながら、過日は山口蓬春邸に家人と足を運んだ。春子夫人も茶道を教えていたため、たしかな茶室もあるのだが、何よりそこが蓬春の仕事場

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旅する田舎間 #ニュースからの学び

旅する田舎間 #ニュースからの学び

 過日、こちらのニュースを読んでいると、ふと横浜郊外の畳屋が思い出されたので、筆をとりたい。

 東南アジアに茶室を建てるため、伝統的な寸法の田舎間を求めて横浜をしばらく歩いていたときのこと。居酒屋やコンビニが並ぶ何気ない道に突然、老舗の小さな畳屋がポツンとあった。窓越しに店の親爺の顔を覗くと、静かな佇まいをされている。この親爺の手仕事が、後にプノンペン郊外にできた茶室「臨川」へと飛ぶことになった

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