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壊して作って身近なガラスの秘密に迫る!「ガラスはなぜ壊れやすい?透明に隠れた秘密を突き止めよう!」体験レポート

7月28日(日)、8月4日(日)、8月18日(日)の3日間に渡り、六甲台第2キャンパスにある工学部のガラス室(4W-207)にて、「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」のプログラムのうちの1つである、「ガラスはなぜ壊れやすい?透明に隠れた秘密を突き止めよう!」が開催されました。

この「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」とは、小中学生、高校生を対象として、大学や研究機関で科学研究費助成事業(科研費)により行われている最先端の研究を、直に見る、聞く、触れることで、科学のおもしろさを感じてもらうプログラムです。

今回のプログラムは中・高校生向けに行われたもので、3日間で35名の生徒が参加し、その保護者も含めると合計で63名もの方々が参加されました 。今回、私は8月18日(日)の午後に開催された高校生対象の回を取材しました。

講師は本学工学部応用化学科の技術専門員である熊谷宜久さんが務め、他の職員や工学研究科の現役大学院生、OBもアシスタントとしてサポートしました 。

講師の熊谷宜久さん

まず、スタッフと高校生の自己紹介から始まり、続いてガラスの性質に関する講義が行われました。
プログラムはホワイトボードを使用した講義だけではなく、実際に様々な器具を用いてガラスを観察したり、自らの手でガラスを壊してみるといった実習形式でも進められました。

ガラス室に集まった熊谷さん(右)と高校生たち

実習では、ガラスの傷と割れやすさと、ガラスの歪みと割れやすさを扱いました。少人数に分かれて行った実験、観察では、ガラスについての質問がたくさん飛び交い、スタッフの大学院生に学生生活のことについて熱心に聞いている高校生も見られました。

ガラスの割れ方を説明する大学院生(右)

また、ガラスについて学んだ後には、ガラスの性質が「見える」ひみつ道具の製作と観察も行いました。製作した後に実際にひみつ道具を使ってガラスの性質を「見て」みた高校生達からは感動の声が上がっていました。

ひみつ道具の製作風景

今回参加した回では、プログラムの予定を少し延長して追加の実験も行われました。プログラムが進むにつれ、スタッフと高校生の間のコミュニケーションもどんどん活発に行われ、参加した高校生も保護者の方も、充実した時間を過ごしました。

プログラムの最後には修了式が行われました。熊谷さんから一人一人に特製の修了証書が渡されました。受け取った高校生からは、プログラムを終了した達成感が見て取れました。

プログラムに参加した高校生やそのご家族の方に感想を聞きました

・数年前に「ひらめき☆ときめきサイエンス」の別のプログラムに参加した経験があり、今回も参加したいと思いました。説明が分かりやすく、文系である自分も理解出来て楽しかったです。(高校2年生・男子)

・少人数でのプログラムであり、大学の研究や関係者と直接関われる機会だと考え応募を薦めました。オープンキャンパスとはまた違った良さがあると思います。(保護者)

バーナーを使って実験をする熊谷さんと高校生

熊谷さんにプログラムについてお聞きしました

-プログラムを実施するにあたって大切にされていることはありますか

まず大切にしていることは、「生徒達が初めて体験した時に感じる気づき」です。初見のものを実際に見て「オッ」と思うこと、つまり驚くことで目新しい感動を得ることです。初見だと集中しますしね。事前に知っていると先入観を持ってしまいますから。座学だけではなく実際に体験することも大切だと思います。

-プログラムは中学生対象の回と高校生対象の回がありますが、受講生の年齢によって難易度を変えるなど工夫されていることはありますか

実習内容は共通です。言い回しを変える場合もありますが、なるべく同じ言葉で全年齢の方々にご理解いただけるように心がけています。中学生、高校生、そして保護者の方に対して同じ語りかけで伝われば、本質に近い説明であると言えます。同じ言葉にして、バックグラウンドが違っても同じ目線で理解されるということが大事であると思っています。そのため専門用語、学術用語や難しい数式など使わないようにしています。アンケートからもその手ごたえを感じています。

ブロックを使ってガラスの性質を説明する熊谷さん

-受講生への思いはどのようなものでしょうか

何よりも、応募いただいたこと、参加していただいたことへの感謝の思いがあります。遠方からこの数時間のために泊まりがけでこられた方々もいました。期待以上のものを提供したいと各回全力で臨んでいます。

また、受講生の皆さんのレベルの高さを感じます。皆さん非常に意欲的な方ばかりだと思います。分野に囚われず、少しでも興味があれば参加していただきたいと考えています。

-どのような思いでプログラムを実施されていますか

「大学よりも大学らしく」というのをモットーにしています。大学生のなかには、義務感で授業をうけるなど、単位を取得することに囚われてしまっている人も多いのではないでしょうか。大学が就職予備校のようになってしまっている部分もあるかと思います。しかし、それは本来の大学の姿とはかけ離れていると思います。本来、大学は皆さんが知的好奇心のもと、知識を深める場所ですから。私はそのような場を目指してこのプログラムを実施しています。これに参加しても、学校での評価があがるといったような目先の利益はなんらありませんが、それでも中高生の皆さんが自身の興味から参加してくださっています。とてもいい空間が作れていると感じています。

ガラス細工を実演する熊谷さん

取材を終えて

今回のプログラムを取材したことを通して、ガラスという身近な素材について様々なことを知ることができました。私も高校生に交じってガラスを割る体験をしましたが、やはり傍で見ているだけでは得ることのできない感動がありました。

「初見による学びを大切にして欲しい」という想いから、本記事ではプログラムの詳細を伏せて紹介しました。来年度以降も開講の予定があり、今年度よりも更にパワーアップさせる予定だそうなので、本記事で興味をもった中高生のみなさんは是非参加していただきたいです。

関連リンク

神戸大学大学院工学研究科・工学部
神戸大学大学院工学研究科応用化学専攻/工学部応用化学科
ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI

(文責:文学部2年 池田)

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