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スタジオが辿ってきた道とその問題~ながでんカルチャー教室ができるまで①
ども!長野県長野市にあるフィットネスクラブの支配人をしているこばやしです。クラブは善光寺まで歩いて行ける距離にあります。シニア向けのフィットネスクラブや子ども向けスイミングの運営をしたり、万が一の時に役立つ救急法の普及活動もしています。学生時代水泳部からの水泳経験を生かして、プールでレッスンもやっています。
競合ひしめく長野市のフィットネス業界でどこも生き抜くことに必死だったところにコロナの追い打ち。「選択と集中」でこの荒波を乗り切ってやろうと今年1月にシニア向けクラブにコンセプトリニューアルオープンしたフィットネスクラブのお話です。
今回はコロナ禍を生き抜くためのフィットネスクラブとスタジオの関係とその変化でについてパート1です。
▼スタジオっていったい何のこと?
フィットネスクラブやスポーツクラブ、ジムと言われる中にあるスタジオって何かというと、板貼りなどの広いスペースで飛んだり跳ねたりのエアロビクス運動や、ヨガ、筋トレ、ダンスなどをイントラ(インストラクター)と呼ばれる指導者が参加者に教える場所の事です。いわゆる通常スタジオと言われるような、テレビの撮影機材があるような場所や音楽のレコーディングをする場所でもありません。
フィットネスクラブでスタジオは重要な存在で、会員は自分の興味がある講座を決めたら何も考えずとも、時間までに入室すれば、あとは指導者が指導してくれるというものなので、自分で運動できないという方にはピッタリですし、イントラがレッスンを盛り上げてくれるので、終わった後の充実感が半端なく非日常が味わえる空間となります。体験したことない方は、是非プロのレッスンを体験していただきたいです。気持ちいいですよー。
▼時代の流れと共に内容に変化が
昔スタジオ全盛期だった頃。スタジオで行われるレッスン内容は、エアロビクスがメインでした。皆さん、レオタードを着て音楽に合わせて踊りながら運動していました。
エアロビクスというのは、イントラが教える動きのパターンを一つずつ覚えて、それを組み立てていき、最後に完成させるというものです。一つ一つのパーツをみんなで何度も練習して、それを組み合わせ一つの動きに完成させるといった感じです。みんなで動きがピタッと合わさり、間違えずに終わったときは感動を覚えます。また機会があったら説明しますね。
時代の流れと共に、そのエアロビクスをやっていた世代の方々も当然どんどん高齢化していくため、歳を重ねるにつれてあまり飛んだり跳ねたりできなくなりますよね。そういった方のニーズにこたえるために、レッスン内容が変化して増えていきました。
おおくなった内容は、マットを使ってストレッチをするレッスンや、筋力アップをするレッスン、ヨガや太極拳等、動的な運動から静的な運動が増えていきました。もちろん、若い方の利用もあるため、その方向けのエアロビクス派生のバリバリ動く新たなクラスも増え、細分化が進みました。
▼イントラの高齢化による新たな流れ
インストラクターも時代の流れと共に、イントラご本人も当然歳をとります。飛んだり跳ねたりする運動は自分の体に負荷が大きくかかります。
会員は通常1~2本やれば十分なエアロビクスも、イントラの先生方は、仕事なので一日で3本~4本やったり、動きも先生らしい大きくて、ダイナミックに、力強くやらねばならないため年齢を重ねると共に体力的に厳しいと考え始めます。
また、エアロビクスはどんどん参加者がレベルアップしていきますので、レッスン内容の構成もマンネリ化できません。イントラは、日々参加者が満足いくように内容を考えることで頭がいっぱいです。歯を磨きながら、クラブとクラブ間の移動中に、ちょっとした待ち時間に・・・いつもその作業に追われます。イントラの皆さんは影の努力を本当にされています。
ただ、この先を考えていくと、自分はいつまでこのレッスンをやっていけるのかと考えるようになります。当然会員の皆様と同じく自分も歳を重ねていくので不安になるのは当然です。イントラの皆さんも生き残りに必死です。そもそも、健康に興味があり、学ぶことが大好きな皆さんなので、自然な流れとも言えますが。
この流れで、イントラは今後のためにも、自分の引き出しを増やすためにヨガや筋トレ系のレッスンを勉強し始めレッスンを受け持っているというのが今の流れです。
エアロビクスはとっても楽しいのですが、流行り廃りもあり、今後もしかしたら再燃するかもしれませんが、現在のところエアロ人口は少ないです。ただ今は、エアロビクスが流行していたころ担当していた先生方は、ヨガなどのマット系のレッスンにシフトし始めています。と同時に、当初参加していた会員の皆さんも、各所で同じようなレッスンを受けたり、はたまた全く違う習い事をしたりで、スタジオ離れも進んでいるため、エアロビクス流行時代の一時の参加者程ではなく、減少傾向です。とにかく世の中は選択肢が多すぎです。
こういったことを考えると、この業界内ではスタジオだけを運営している店舗もありますが、従来通りのやり方では、一筋縄ではいかないのが現状でしょう。イントラの先生方の生き残る方法として、コアファンを作り、サロン的なコミュニティーづくりが必須で、それを基盤として様々な活動をされるのが安定の道と考えています。
▼どうする?!スタジオをやめる?!
こんな経緯の中、スタジオ運営をどうするかの問題にぶち当たりました。スタジオ運営には様々な問題があります。
まずは経費の問題。スタジオ運営にかかる経費は、電気やエアコンなどの光熱費よりも、人件費がとても大きなボリュームをしめます。年間にするとビックリするほどの額となります。
サービスの細分化により参加者が少なくなる傾向でしたが、この人件費のボリュームはそんなに変わりません。レッスン本数を少なくしてもあまり変わることはありません。スタジオは本当に必要なの?という議論は過去にもありました。
もう一つの問題。
新型コロナウィルスの流行です。
スタジオは、密閉された部屋で行われます。音楽を流しながしたり、イントラはマイクを使って指導するため、音が外に漏れないようにするため、4方を壁に囲まれた部屋で行います。当クラブも、ジム内にスタジオがあり、ガラスの壁で仕切られており、個室状態になっていました。しかしながら、コロナ感染の要因には、この密閉空間が3密を生んでしまうという問題がありました。長野市内でもスタジオでクラスターが発生した。なんて話もあったかと思います。スタジオはとてもリスクが高い場所の代名詞になりました。
その中でも、当社は感染対策を十分行い、しばらくスタジオを続けたわけですが、その一つに密を防ぐため参加者の人数制限をしていました。これはどのクラブもたいてい行っている事ですが、これによって起こる問題はお客様のストレスでした。結構これがお客様もクラブも深刻な問題です。
レッスンに参加しようとせっかく来たものの、定員に達したため参加できない方が出始めました。これが2~3回続くと流石に嫌になります。あとは、参加チケットをゲットするために、並ばなければならないという時間の無駄。です。せっかく運動に来ているのに、並ぶ時間で30分も時間がつぶれてしまう。このストレスも大きな問題でした。
結論としては、スタジオ参加人数が減ってきた。経費が大きくかかる。3密の可能性がある。お客様もスタジオ参加に対しストレスを抱えている。こういった問題の解決方法として、いっそのことスタジオをやめてしまおうという案も浮かびました。しかし、それは今喜んでスタジオを利用されている方もいらっしゃいましたので何とか存続する道を考えようという事になりました。スタジオをやめることはクラブの退会者を増やすリスクも考えられました。
▼今までのスタジオをやめ新しいスタジオを作る!?
早急にこれらの問題をひとつづつクリアしていき、新たな形を作ることが必要でした。
①コロナ対策「換気問題」
スタジオの場所を移しました。今までも大きな換気扇2個と出入口の扉はありましたが、さらに安心して利用していただけるために、4方向に大きな扉や窓がある部屋にスタジオを移動しました。これは、従前のスタジオに比べ面積が半分近くになる広さです。なかなか、窓のある部屋にそう簡単に移せるものではないと思いますが、ラッキーなことにそれがたまたま出来ました。
②コロナ対策「密問題」
3か月に1度、好きな講座に登録するカルチャースクール方式にすることで、毎回の参加が確約され、密を回避できます。運動する動きの大きさなどの内容に合わせて参加人数を調整し参加者を決定できます。また、登録制の為、参加が確約され、参加者に待ち時間のストレスがありません。
③人件費問題
カルチャー化して、参加者から1講座あたりの料金を頂戴するため、今まで生まれなかった収入が生まれます。何もないところからの経費ではなく、収入があっての経費ですので、会社の持ち出しがゼロとなります。いままで多額のコストがかかっていたスタジオ経費が実質経費ゼロとなり、尚且つ、プラスの収入も生まれるようになります。
④イントラの仕事がなくなる問題
コロナ禍になり、休業になったり、コロナ感染度合いによってスタジオの利用を中止したりで、他社クラブは次々とスタジオが閉鎖されました。イントラの皆さんにとっては死活問題です。働く場所がなくなるという事です。老舗である当クラブも追従してスタジオをなくしてしまったらそれこそ働く場所がなくなってしまいます。イントラの皆様の働き場所確保という使命もありました。
⑤会員の行き場がなくなる問題
いつもスタジオレッスンを楽しみにしている方の喜びを奪ってしまうので、そこは少なからず、形は変わっても担保したいという思いがありました。また、スタジオ閉鎖による会員の退会も考えられました。満足度が下がれば当然通う理由もなくなるため、ここは出来る限り死守しなければと思いました。
これらの問題を一つ一つクリアして、いよいよ、変革の時が来ました。
続きは次回。
最後までお読みいただきありがとうございました。