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「巨人」ダイソーに立ち向かうセリアの差別化戦略とは?
こんにちは、ノウンズの桜井です。
物価高が叫ばれる世の中、少しでも出費を抑えたくなりますよね。
そんななか救世主となっているのは100円ショップではないでしょうか。「これが100円!?」と思わせる商品も多く、我が家も非常に助けていただいております。
そんな100円ショップ、いくつかの企業がしのぎを削っていますが、その中でも「セリア」は圧倒的な利益率を叩き出し、戦略でも他企業との差別化に成功しています。
同じ100円ショップ。どんな差別化を図っているのか、また、データにもそれが現れているのでしょうか?
今回はそんなセリアを取り上げてみたいと思います。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
![](https://assets.st-note.com/img/1715589055286-I3muDASao9.png?width=1200)
100円ショップ業界でのセリア
100円ショップ業界売上高ランキング(2021-2022)
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売上高としては、「ダイソー」がダントツの1位です。
店舗数は2023年時点で3758店舗で、セリアの約2倍。
「企業規模」がランキングに出ている結果となります。
続いて、Knowns Bizを使って100円ショップの「認知率×満足率」マップを見てみましょう。
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ダイソーは認知も満足率も非常に高い位置にいます。
ただ、セリアもそれに近しい位置におり、売上高のダブルスコアの差を感じさせません。
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認知率はダイソーにやや引けをとるものの、満足度は両者高水準で拮抗しています。
セリアの商品購買者はどんな人?
セリアのデモグラフィックを見てみましょう。
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「性別」を見ると女性の割合が多いですが、これは100円ショップ全体にみられる傾向です。
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ただ、ダイソーについては女性は55.3%であり、セリアは他社や全体平均よりは女性の割合がやや高めと言えます。
また、100円ショップ全体やダイソーは55歳以上の割合もかなり近しいのに比べ、セリアはそれに比して下回っています。
購買者は「女性」と、「20〜50代前半(あるいは40代)」の割合が高いことがわかりました。
セリアのイメージの特長は「可愛い」!
次に、セリアのブランドイメージを見てみましょう。
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カッコ内の青数字は、100円ショップ全体のイメージとの差を割合で示したもの(特徴差)ですが、「可愛い・萌え」の特徴差は211%と圧倒的で、「映え系・いいね」も172%という数値。
ではダイソーはどうかというと、
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「可愛い・萌え」「映え系・いいね」はかなり下位(それぞれ、10.2%と8.7%)です。
たしかにセリアはデザイン性の高さから、SNSやテレビでも多く取り上げられていますよね。
【センスのセリア(Seria)】VS【品揃えのダイソー】という表現もみられます。
セリアのブランドコンセプトは「Color the Days ~ 日常を彩る ~」
「安く買える」というだけではなく、セリアは「安くかつデザイン性が(より)よい」ものを求めている人に、コンセプト通りしっかりハマっていることがわかります!
実際、「可愛い・萌え」「カジュアル・プチリラックス」というイメージでクロスを切り、各100円ショップの位置を見てみると
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この分野でセリアは他の追随を許しません。
店舗数など、数の力勝負ではどうしても負けてしまうが、特定の分野、ターゲットにはしっかり刺さる戦略をとっている。
ここがセリアの差別化戦略になります。
また、商品だけではなく店舗内のイメージもコンセプトがしっかりしています。
セリアは商品のイメージと一緒でナチュラルな装い。ダイソーの目が覚めるような鮮やかな色使いとはまた違った趣向がありますよね。
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今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
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リピーター率はダイソー強し
100円ショップは、似たような商品も多いかつ、金額も同じなので、一度ある店で購入したら、次は他の店で類似商品を購入することもありがちです。
となるといかにリピーターを作るかが非常に大事になってきます。
セリアの7Journey分析を見てみましょう。
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ロイヤル層(積極的&消極的:現在購入していて、次回も購入意向がある人)が69%で、これをターゲット層の20〜40代女性に絞ると、78.8%に上がります。(下図)
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ただ、これは王者ダイソーもでして、
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なんとダイソーはロイヤル層が84.8%!
ただ、これは100円ショップ全体の傾向ではなく、社名は伏せますが他企業だとロイヤル層は40%台に留まっていました。
また、ダイソーも同じく20〜40代女性に絞ると87.8%。元がそもそも高すぎる数値ということもありますが、セリアほどの上昇にはなりませんでした。(セリアは69%→78.8%)
世代別分析を見てみると
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セリアは高齢層になるにつれて徐々に現在購買率は下がってきているのに比べ、ダイソーは70歳以上でむしろアップしています。
(好感率は下がってはいますが・・・)
また、ダイソーはどの年代でもやはり「現在購買≒次回購買」となっており、全年代を通してロイヤル層が多いのが特長的です。
これは推測ですが、やはり「いつでも必要になった時に」購入しやすいのは、幅広くかつ万人受けする商品を網羅しているダイソー。
一方、デザイン性に優れているセリアは、SNSなどで取り上げられた際にピンポイントに購入することはあっても、繰り返し購入する、という頻度は低いのかもしれません。
では、100円ショップの「使い分け」は起きているのでしょうか?
データ上でも見える2社の使い分け
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上記は、セリア/ダイソー現在購買者が、同時にどのショップで購買しているかを表しています。
セリア現在購買者の95%がダイソーも利用している
ダイソー購買者の78%がセリアも利用している
ダイソーの利用者の多さはここでもしっかり表れていますが、セリアも特定のターゲットに絞りながらも、ダイソー利用者の8割近くを取り込んでいます。
(他企業の割合が50%台、あるいはそれを下回っています)
1強になるのではなく、客層、あるいは用途によってしっかりライバルからも取り込んでおり、差別化戦略の効果がここでも垣間見えます。
ちなみに参考までに、同じ100円ショップの「キャンドゥ」の現在購買者のうち、ダイソーとセリアはそれぞれ95%、86%を取り込んでいます!
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また、セリアについては他にも以下のような特長があるそうです。
・いち早くPOSシステムを導入
→リアルタイムにデータを取得、商品発注・在庫管理・シフト管理をコントロール
・販売しているうちのおよそ9割に当たる商品が、メーカーとの共同開発品
→あらかじめメーカーに求める品質を提示、「高見え」するデザイン。
・あくまでも100円均一にこだわる
→ダイソーやキャンドゥなど、100円以外の商品も扱うなか、セリアは全商品100円。
https://www.shopowner-support.net/glossary/differentiation/seria/
理念としても以下を掲げています。
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セリアは他社とは違う独自性があることを明確にしています。
対象や売り方だけではなく、そのもっと前提の企業としてのポリシーから差別化を徹底しているからこそ、熾烈な100円ショップ業界でもインパクトを残せているのではないでしょうか。
Knowns Bizを使った資料を見てみたい方へ
![](https://assets.st-note.com/img/1715589184801-DZRDrvsZey.png?width=1200)
まとめ
■ポジショニング
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ダイソーとは重なりが少なく、一定の年代の人に特に刺さる商品。
また、その他の100円ショップとも差別化が図られている。
■商品
・おしゃれ、デザイン性が高い商品が充実。
・他社が100円以外の商品を扱うなか、100円均一にこだわる。
・POSシステムにより、リアルタイムで分析、店舗ごとに「売れる」商品を算出。高い利益率を出せる。
ちなみに、SNSで取り上げられることが多いセリアの商品ですが、セリア自体はSNSの活用はほとんどしていないそうです。
それでも使用者のほうから取り上げたいと思わせる商品 − それがセリアの魅力になっています。
競合相手と全く同じ土俵では戦わず、しかし明確なコンセプトをもってその領域では揺るぎない地位を確立する。
明確なコンセプトを持ち、それをブレずに推進する力が、他社には真似できない「差別化」の秘訣なのかもしれません。
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