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"サンド"じゃ売れない?! KFCとサブウェイの巻き戻し戦略とは?

 日本ケンタッキー・フライド・チキンが、40周年目の節目に「サンド」認知の低いことを理由に「バーガー」へと変更すると発表しました。SNSのコメントでも賛否両論の意見が飛び交っておりました。「チキンフィレサンド」が好きな筆者にとっては、「サンド」に慣れ親しんでいるだけに、そんなに認知ないのかな?という感覚と、タレントのバナナマンを起用し「ケンタのサンド」とつい最近までCMで「サンド」アピールしていた記憶があり、急な方針転換に感じました。
 「サンド」名称の認知が低いから、純粋想起に上がらないってほんとかな?だったら「ワッパー」はどうなるのだろう?所謂ハンバーグがサンドされているのがバーガーであり、本来のバーガーがメニューにないのに、ハンバーガー食べたいときに名称だけで想起されるものなのかな・・・なんて考えていました。筆者にとっては、ケンタは唯一無二の味なので、ハンバーガーというより「ケンタッキーが食べたい」と定期的になるため、そもそもこの議論成り立たないのですが(笑) 

 そして「サンド」のファーストフードチェーンといえば、「SUBWAY(サブウェイ)」が思い浮かびます。韓国ドラマをよく観る方にもおなじみですね。サブウェイでは、サンドイッチの種類を決めたら、数種類あるパンの中から好きなものを選び、好みでトーストもでき、野菜やドレッシングの量も調整可能、追加料金でトッピング増量もしてくれます。筆者も、トマトとピクルスを多めにしてもらい、苦手なピーマンは抜いてもらいます。このパーソナルオーダー感とファーストフードでも野菜をしっかり食べられるところが好きで利用をしています。では、どんな人に利用されているのでしょうか?
 今回はこの2つの人気ファーストフード店ケンタッキーとサブウェイを分析してみたいと思います。

”食べたいのに近所にないんです”の声多し…

ファーストフードチェーンの認知度×満足度

 こちらはファーストフードチェーンの認知度と満足度をグラフにしたものです。認知度と満足度で、「マクドナルド」、「ケンタッキー・フライド・チキン」、「モスバーガー」が3強で固まっています。「サブウェイ」は、認知度は高いですが、満足度は中くらいといったところです。
 では、個別に見ていきましょう。

ケンタッキー・フライド・チキンの7journey

 先に触れましたが「ケンタッキー・フライド・チキン」の認知は非常に高く、97%です。現在購入している「顧客」も50%近くいます。一方で、購入意向があるにもかかわらず、この1年買っていない「巻き戻し」層が30%以上もいます。
 最近購入していない人のコメントをみると、「食べたいけど近所にない」「店舗によって味が違う」などの意見がみられました。

日本KFCホールディングス株式会社 2022年3月期 決算説明会資料より

 日本KFCホールディングス株式会社 2022年3月期 決算説明会資料を見ると、「近くに店舗があればもっと利用するのに…」というお客さまのニーズに応えるということで出店を強化しています。またドライブスルー設備やデリバリー体制も備え、コロナ禍対策もしっかり行っています。「ケンタッキー・フライド・チキン」のさらなる拡大には巻き戻し層の獲得は欠かせないのは確かです。この対応での変化が楽しみです。


SUBWAY(サブウェイ)の7journey

 次に「サブウェイ」の7journeyを見てみましょう。購入意向があるにもかかわらず、購入経験がない・1年以上購入していない(チャンス+巻き戻し)が41.6%にもなります。もったいないですね。これは、店舗数が関係していそうです。購入意向があるにもかかわらず、最近購入していないという方のコメントをみると、「近くに店舗がない」「なくなってしまったので復活してほしい」というコメントが多く見られました。2022年現在の店舗数は170店です。2012年に400店突破というリリース記事がありましたので、10年間で42%にまで減っている計算になります。
 現在購買している方々の中で次回購入意向がない「離反予備軍」はわずか0.5%。現在は強いファンにしっかり支えられています。

「SUBWAY」の購入意向があるが最近購入していない層のコメント

ケンタの”中毒性”は中高年だけ?!
10代・20代が課題

 現在顧客のデモグラを見ていきましょう。
まずは、「ケンタッキー・フライド・チキン」です。( )の中の数値は、回答者全体の構成比と比較になります。

ケンタッキー・フライド・チキン現在購買者のデモグラ(回答者構成対比)

 現在の購入者は、年代では、30・40代の構成比が高く出ています。24歳以下と55歳以上で、極端に割合が少なくなっています。
 年齢が高めの方のコメントには、「昔は好きだったが最近油っぽいものを食べたいと思わなくなった」の声もちらほらみられました。食の好みの変化も関係しているのかもしれません。
 また若年層からは、「価格が高い」「クーポンがある時に買っている」の声がありました。そこで、認知×満足度のグラフで3強だった3社のチキン系バーガーセットの価格を比較してみました。「モスバーガー」と10円の差でしたが、3社の中では一番高い金額になっています。

チキン系バーガーセットの参考価格(2022年11月時点)
「ケンタッキー・フライド・チキン」利用経験者の声

 10・20代利用経験者の「ケンタッキー・フライド・チキン」のイメージを見てみると、ファーストフードチェーン平均のイメージ(10・20代利用経験者)との比較で「コスパ」のイメージはマイナスになっています。
 しかし、全年代でみると「コスパ」のイメージが高くなります。若年層にとっては「ケンタッキー・フライド・チキン」は「コスパが悪い」印象ということです。
 若年層では「コスパ」のイメージが低いだけでなく、全世代で高い項目の「ハマる・依存する」「必要・ないと困る」の中毒性や唯一無二の存在であるイメージが若年層では低いのも特徴的です。利用者の声には、他にはない味という意見が多くみられました。10・20代にとってはあまりそうではないのでしょうか?

「ケンタッキー・フライド・チキン」10・20代利用者のブランドイメージ
「ケンタッキー・フライド・チキン」全世代のブランドイメージ

「サブウェイ」利用者は高学歴・高収入?!

SUBWAY現在購買者のデモグラ(回答者構成対比)

 「サブウェイ」は、回答者全員の構成比対比でみると20代がとても高く、利用者は20~50代と幅広いです。また、利用者の居住地が関東・近畿・九州など大都市があるところに集中しているのは、店舗立地によるものでしょう。利用者が多い関東でも、群馬県には1店舗もなく、茨城県1店、栃木県3店、埼玉県5店とほぼ都心に集中しているようです。
 また、都心に集中している為か「サブウェイ」の現在利用者は、高学歴、年収高めの割合が多いのも特徴としてみられます。
 「サブウェイ」のブランドイメージでは、ファーストフード店のイメージ平均と比較して「便利・合理性」の項目が144%と高いです。ファーストフード店はそもそも便利であり、その中でも店舗が少なく食べたくてもなかなかない「サブウェイ」が競合よりこのイメージを獲得できているのは、ファーストフードなのに野菜をしっかり摂れるということでしょう。コメントでも、野菜に関するコメントが大多数を占めていました。また、注文が手間という意見もちらほら見受けられましたが、それを上回って自分の好みにカスタマイズできることが評価されていました。

「サブウェイ」全世代のブランドイメージ
「サブウェイ」利用経験者のコメント

”健康志向”者の該当率がどちらもトップ!

 「サブウェイ」と「ケンタッキー・フライド・チキン」の現在購買者のサイコグラフィックをみてみると、「サブウェイ」の利用者の36%が健康志向の価値観を持っていました。ファーストフードブランドの平均比では119%と非常に多いのがわかります。
 「ケンタッキー・フライド・チキン」も利用者の33%が健康志向の価値観をもっており、こちらも利用者の中で一番多い価値観でした。
 ただ「サブウェイ」とは3%もの差があり、ファーストフードブランドの平均比では109%ですので、「サブウェイ」ほどではないですが、意外にも「ケンタッキー・フライド・チキン」は、”健康志向”の方に利用されています。そして「サブウェイ」は、想像通り”健康志向”者に支えられているのがわかります。

「サブウェイ」現在利用者のサイコグラフィック(個人的価値)
「ケンタッキー・フライド・チキン」現在利用者のサイコグラフィック(個人的価値)

野菜を武器に”健康志向”で勝てるか「サブウェイ」

 昨今の健康志向の高まりで、「サブウェイ」はファーストフード店の中では有利な気もします。パンのおいしさもあり、ランチに手軽に済ませられ、腹持ちがいいと人気です。
 しかし、健康志向の波に乗るためには、幅広い時間帯に合わせたニーズをつかむ必要がありそうです。数年前から「あんこ&マスカルポーネ」というスナックサンドも展開し、おやつ休憩ニーズを捉えようとしてますが、おやつメニューはこの1品のみ。確かに「サブウェイ」らしいサンドですが、ヘルシー志向の現在の利用者とのマッチは微妙かもしれません。
 サラダのみの販売もしており、こちらはメニュー豊富ですが、都心ではコンビニのサラダも種類が豊富で手頃ですし、「クリスプサラダワークス」のようなサラダ専門店もあり、サブウェイと同様にドレッシングにもこだわっています。「サンド」以外の「ヘルシー」でもっと優位性を持つ必要がありそうです。

各社のサラダ参考(価格は2022年11月現在)

若年層で獲得できるか、ケンタは唯一無二

 「ケンタッキー・フライド・チキン」の購入経験があり・1年以上購入なし・購入意向ありの「巻き戻し」層のデモグラをみると、他のファーストフード店の巻き戻し層と比較し、やはり10・20代の割合が多いのがわかります。
 巻き戻し層の消費価値観を見ると「見極め消費」「コスパ消費」が他のファーストフード店の巻き戻し層との比較で多いのがわかります。見極め消費は、流行に流されず、内容を吟味して購入判断する消費行動です。自身の選択眼にも自信がある人が多いので、他にないものであることと、それに見合う価格と納得されることで打開できそうです。

「ケンタッキー・フライド・チキン」の巻き戻し層のデモグラ
「ケンタッキー・フライド・チキン」巻き戻し層のサイコグラフィック消費価値観
ケンタのランチはバーガーセットが100円お得

 店舗を増やし、買えないを払拭している「ケンタッキー・フライド・チキン」。「バーガー」への名前変更で認知と純粋想起をUPし、ケンタのランチでバーガーセットでお得イメージを獲得できるでしょうか。「ケンタッキー・フライド・チキン」では、10~16時にバーガーのセットが100円引きになります。先ほどの3社比較でも100円引きになると、この時間帯では最安値になります。巻き戻し層をしっかりロイヤル層に変換し、勢いに乗れるか、今後注目です。
 ”健康志向”のファーストフードという、独自のポジションを築いている「サブウェイ」。近所に欲しいという声も多数です。ファンのひとりとして、独自の価値を築き、また店舗拡大してくれることを期待したいです!

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