コアなマメクロゴウチ×マスのユニクロ。コラボで狙いたい層とは?
こんにちは。ライターのSakai Natsumiです。
先日ユニクロとMame Kurogochiの新コレクションの発売が開始されました。
初めてこのコラボのニュースを聞いた時には「え!マメが!?」とかなり意外性があり驚いた記憶がありますが、今となってはすっかり定番化、定着化してきた名作シリーズです。
第5弾となった今回の2023ssシーズンも、大好評なようなのでKnowns Bizのデータを用いてこのコラボレーションをマーケティングの観点から分析してみたいと思います。
デザイナーズブランド「マメクロゴウチ」とは
ファッションシーンでのマメクロゴウチ
マメクロゴウチとは、2010年に「マメ」という名で始まった日本のデザイナーズブランドです。
立体刺繍や織物、染物など日本の伝統技術を深く追求して作り出すクリエイティブなアイテムが日本のみならず世界で高い評価を受けています。
パリコレデビューは2018年で、まだまだ拡大中のこれからが楽しみなブランドです。
マメクロゴウチの最新コレクションはこちら↓
このコレクションは、日本の伝統工芸「竹籠」(特に作家:飯塚琅玕斎)にインスピレーションを受けているそう。重さと軽さが混在するバランス感、複雑に絡み合う素材同士やカラーパレットにより、竹籠とその周辺の文化を表しています。
現在購入できる最新のシリーズ2023ssも2023awと同様竹籠をモチーフにしたコレクションです。
こちらの方が竹籠感がストレートに表現されていてわかりやすいですね。
密に編み込まれている部分と荒く編まれ抜け感のある部分があり、肌見せやレイヤードスタイルが楽しめそう。
色味もわかりやすく竹籠。といった感じがします。
というように、職人や伝統文化へのリスペクトを濃く感じるブランド、それがマメです。
デザインだけでなく、ディテールへのこだわりやストーリーにまでもときめきを秘めた素敵なブランドですよね。
ただ、価格帯がかなり高いことや、個性的なデザインなど、一般的になかなか手が出しにくいブランドであることは、容易に想像がつくと思います。
「よく利用する」日常的なブランドというよりは、特別感のある憧れのブランドといったポジションのブランドだと言えます。
Knowns Bizで見るマメクロゴウチ
認知率は8%にとどまっていますが、好感度は3.53、満足度は3.98と高い数値になっています。
ちなみに、Knowns Biz内のデザイナーズブランドというジャンルで認知率が一番高いのは「アルマーニ」(67.9%)、日本のブランドで一番認知されているのは「ジュンコ・コシノ」(47.2%)でした。
マメクロゴウチをあまり知らない人でもコレクション写真を見て感じたと思いますが、個性的で華やかなアイテムが多いブランドです。
それはイメージ分析の結果にも顕著にあらわれており、"期待感・ワクワク"や"個性的・他にない""映え系・いいね""カリスマ性"などが上位に並んでいます。
顧客の価値観を見てみると、"モノ重視"や"直感重視"、"自己満足型消費"などが高いパーセンテージを示していますが、「自分がいいと思ったら買う」というようなときめきと消費行動が直結しているような印象を受けます。
"オンリーワン消費"からは、人と被らないものが好きといった価値観が読み取れます。
イメージ分析の"個性的・他にない"の項目とも結びつきますね。
また、ものづくりの過程にもこだわっているマメクロゴウチならではなのが、"トレーサビリティ消費"だと思います。
生産から消費までの道がクリエーションを通して見えるようなファッションというのはとても興味深く、また現代の流れにも合っていると感じます。
ユニクロとコラボしている他のブランド
ユニクロが、他にコラボしているブランドには何があるのでしょうか。
それを見ることでユニクロのコラボの傾向を知ることができると思います。
1.マルニ
マルニはイタリアのラグジュアリーブランドで、鮮やかな色合わせや、大胆な柄が特徴的です。シンプルな半袖Tシャツで約5万円といった価格感。
洋服よりもバッグや財布、シューズなど小物が人気なイメージがあります。
一見「派手だな」と手を出しにくいと思いきや、ユニクロのフィルターを通すと「いけそうだ」と思えるマジック。
マルニもマメ同様ファッション界ではすごく評価が高いですが、認知率をもう少し上げたいところ。(未認知83.7%)
2.ジルサンダー
ジルサンダーはドイツのハイブランドで、価格帯はロゴのTシャツが6万円とかなり高いです。
かなりシックで大人っぽい印象です。
マルニとはまたガラッと違うコレクションですね。
ということは、ユニクロとコラボするブランドに「ファッションの系統」はあまり関係ないことがわかります。
ジルサンダーも認知率が高いとは言えない点は、マルニやマメと共通しています。
また、ユニクロとコラボをしているブランドには、ファッション性が高くファッション好きな人たちが"持ちたい"と憧れるブランドであるという共通点があります。
ユニクロは、低価格でハイクオリティであるというブランディングをしていますし、価格と品質のバランスに世界中の人が驚き、ファンになっています。
そういうブランディング、プロモーションを展開する中で、ハイブランドとのコラボは話題性だけでなく”上質感”を印象付けるのにとても効果的だと分析します。
かなり優秀なマーケターがいることは間違いないでしょう。いや、確定です。
ユニクロ × マメクロゴウチ
ここまで、マメクロゴウチというブランドとこれまでのユニクロコラボ遍歴について語ってきました。
知れば知るほど、マメクロゴウチや他のブランドは大量生産、ファストファッションとは無縁のブランドのように感じたのではないでしょうか?
そんななかシリーズ化となっているマメクロゴウチとユニクロのコラボの実態、気になりますよね。
ということで、Knowns Bizを通して分析してみます。
言わずと知れたユニクロは、認知率が驚異の97%を記録しています。
もはや知らない人は絶滅危惧種といった感じです。
ここでまず一つ言えるのが、マメクロゴウチはユニクロとコラボすることでブランドの名を広めることができる。ということです。
(前述したようにマメクロゴウチの認知率は8%:Knowns Biz調べ)
もちろんコラボの理由は知名度UPだけということはありませんが、とても大きなメリットと言えます。
顧客分布を見ると、より細かいターゲットがわかります。
30、40代の顧客が多いユニクロに対し、マメクロゴウチはその世代のグラフがあまり伸びていない傾向があります。
今回のコラボでは、子育て世代と言われる層などへのアプローチが期待できると分析できます。
また、このコラボは下着やインナーシリーズがメインのラインナップになっていますが、ノンワイヤーブラやブラトップなど下着の素材やデザイン開発に力を入れてきたユニクロにとっても、ファッション性の高いブランドとコラボすることで大きな収穫があったのではないかと考えます。
ユニクロの顧客の価値観に注目すると、"倹約家"や"コツコツ貯蓄タイプ"など所謂「お財布の紐がかたい」タイプが一定数いると思われるので、価格帯を抑えることも大きな課題だったと想像できますが、見事それもクリアしたことも、たくさんの人の手に渡り、"バズった"理由と言えるでしょう。
このように、Knowns Bizに寄せられた口コミでもユニクロとのコラボをきっかけにマメクロゴウチを知ったというような内容のものが多数ありました。
実際、楽で扱いやすく、おしゃれなアイテムだったので、"子育て世代"などにも受け入れられやすく、結果30~40代に対しての認知率も上昇したと思います。
着用レビューのインスタ記事やYouTube動画は、20代だけでなく30~40代の投稿もたくさんみられました。
ユニクロといえば、上図のように"ベーシック""カジュアル""シンプル""便利"といったイメージが定着していますよね。
そんなユニクロの顧客にもスッと浸透するような、且つおしゃれさんにも響くような、そんな抜群のバランス感覚が生んだ奇跡のコラボが「ユニクロ×マメクロゴウチ」なのではないでしょうか。
まとめ
今回のコラボについて、実態を整理したいと思います。
ユニクロとマメクロゴウチの相違点
マメクロゴウチ:個性的 ⇄ ユニクロ:ベーシック
マメクロゴウチ:価格帯が高い ⇄ ユニクロ:リーズナブル
マメクロゴウチ:デザイナーズブランド ⇄ ユニクロ:ファストファッション
ユニクロとマメクロゴウチの親和性
マメクロゴウチ:素材へのこだわり ⇄ ユニクロ:素材開発、技術開発に力を入れている
マメクロゴウチ:美しいシルエットが得意 ⇄ ユニクロ:インナーが人気
ユニクロとマメクロゴウチのコラボシリーズは、こういったそれぞれのブランドの特徴や得意分野の融合、そしていいとこ取りを成功させたコラボだといえます。
トップレベルの人たちが力を合わせると、ここまでできるのか。と。
デザイン性もありながらシンプルなアイテム、ユニクロの持つプラットフォームだからこそ実現できる低価格・高クオリティ、ディテールまでこだわった着心地や素材感、体のラインを美しく見せるパターン技術など、上げればキリがありません。
30~40代の獲得が課題のマメクロゴウチ(それだけでは無いですが)、話題性の欲しいユニクロ、両者にとってwin-winであることは間違い無いですよね。
今後も何シーズンにも渡り展開されるであろうこのコラボ。
いつも人気アイテムはすぐ売り切れてしまうので、アンテナを張り逃さないようにしたいところです!
筆者のひとこと
マーケティングの観点で書いてきた本文ですが、ここからは元ファッションライター/スタイリストとして、ファッションの観点から見たこのコラボについて語りたいと思います。
Mame Kurogouchi(当時はMame)というブランドは、学生の頃憧れのブランドでした。
この芸術的なバッグが欲しくて欲しくて。
とかいって、最初にゲットしたマメのアイテムは、ワンピースだったんですけれどもね。笑(バッグより高い。目移りしてバッグ諦めたあの頃の私。笑)
そんなMame Kurogochiが、ユニクロとコラボして出してきたものは、「インナーと洋服の境界を曖昧にするアイテムたち」でした。
美しいシルエットを出すのが得意な"マメの得意分野"と、シンプルで機能性の高い"ユニクロユーザーの好み"を混在させていて秀逸だなと感じました。
そして、「え!マメこんな安くていいの!?」これが初見の素直な感想でした。
今回の新シリーズの、個人的推しを紹介します。
ひとつ目はこちら↓
①3Dメッシュセーター
編地のデザインが特徴的なニットトップス。
形はシンプルだけどこのデザイン性がキュンポイントです。
キレイめコーデにはもちろん合うんですが、デニムと合わせてもカジュアルになりすぎず女性らしいスタイルになるのが○。
袖が5分丈で少し長めなのも、腕が細く見えて嬉しいところ。
お次はこちら↓
②シームレスブラキャミソール
こちらは、1枚目のスナップのように透け感のあるトップスのインナーとして使えるのはもちろん、2枚目のスナップのようにこのキャミソールだけで着用してもキマるのが素敵なアイテム。
首元、胸周りの開きが大きすぎず、詰まりすぎず、安心感とおしゃれ両方が叶うと思います!
ジャケットのインナーに着ても、デキる女感が演出できそうです。
最後に紹介したいのがこちら↓
③シアーハイソックス
これは見落としがちな人が多いと思うのですが、持っておいたら何かと使える小物No.1なので推したいです。
梅雨の季節、ブーツやレインブーツを履くこともあると思いますが、中にシアーソックスを忍ばせれば一瞬で抜け感を出せます。
ハイソックスでは暑苦しくなりがちですが、シアーというのがポイントです。
また、ハーフパンツも引き続き流行っている今シーズンですが、この靴下を合わせることで周りと差をつけられること間違いなしです。
一枚で主役級の存在感のある服も好きですが、それを合わせるだけでおしゃれの底上げになるもの、着まわせるものが結局一番買って良かったモノだったりするんですよね。
マメがお手頃価格でゲットできるこの時代に生きててよかった、、笑
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