地域限定、コラボ…多彩な商品展開で魅せる群馬銘菓「グーテ・デ・ロワ」が狙うターゲットとは
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
ここのところご当地銘菓についての分析をしていますが(前回記事はこちら:「ご当地銘菓No1白い恋人。データから納得できる独自の取組みとは?」)、今回は私の出身地・群馬県のご当地銘菓について分析してみたいと思います。
それは「グーテ・デ・ロワ」です!
群馬の銘菓と知らない方も多いのではないでしょうか…?ちなみに私は正式名称が「グーテ・デ・ロワ」だと大学生になってから知り、それまでは“ハラダのラスク”と呼んでいました。(群馬県民は大体この呼び方なのでは…?)
Knowns Bizのご当地銘菓のポジショニング分析では満足率は平均より少し高く、認知率は平均より下?!と群馬県民の私としては驚きの結果でした(笑)。
今回はそんな「グーテ・デ・ロワ」について分析していきたいと思います!
こんなブランドもある?分析してみてほしいなど
リクエストいつでも受付中📪
今後の参考にしたいので是非気軽にコメントくださいね♪
ガトーフェスタ ハラダ 「グーテ・デ・ロワ」
ハラダの歴史
「ハラダ(現・ガトーフェスタ ハラダ)」は1901年に群馬県高崎市で創業した老舗菓子メーカーです。創業時は洋菓子店ではなく、東京の有名和菓子店で修業した初代・原田丑太郎氏が「松雪堂」という小さな和菓子店として開業しました。
その後、戦後のコメ不足で、アメリカが救援物資として放出した小麦を加工し配給パンが作られたことから、「ハラダ」は1946年に「原田ベーカリー」として製パン業に参入し、学校給食向けや一般顧客向けのパン製造を開始しました。
また日本人のライフスタイルや嗜好が欧米化から、ケーキをはじめとする洋菓子作りにも進出し、1960年代には、パン・洋菓子・和菓子と3つの商品を扱う地場の食品メーカーとして成長していきました。
しかしバブル崩壊時に会社が危機的状況に瀕し、その時に社長に就任したのが、4代目・原田義人氏でした。大学では建築学を専攻し、元ゼネコンに勤務していた義人氏が会社の命運を懸けて挑戦したのが全国展開開始と、ラスク「グーテ・デ・ロワ」の発売でした。
「グーテ・デ・ロワ」の誕生
原田義人氏は異業種出身ですが、洋菓子に関する専門書を読み、菓子職人の講習会に参加するなど、ひたすら勉強をされたそうです。そして会社存続のために、日持ちのする・夏でも強い商品の開発を考え、戦後に始めた製パンのノウハウを応用し辿り着いたのが洋菓子のラスク「グーテ・デ・ロワ」でした。
1999年に完成した「グーテ・デ・ロワ」は厳選した材料を使い、ネーミングやパッケージデザインまでこだわりぬいた商品です。2000年1月に店頭販売を開始すると同時に、自社ホームページを開設して電話とファックスによる通販業務も開始しましたが、発売当初の反響は少なかったそうです。しかし、自社販売と並行して都内百貨店の物産展への参加や折り込みチラシを近郊に配布など、販促活動をスタートさせたところ、注文は徐々に増加指定kました。2000年の年末ごろになると状況は一気に好転し、口コミだけで利用客が増えていったそうです。
現在は全国31の店舗だけでなく、大型商業施設や有名百貨店、イベント会場での催事にも出店しており、群馬県だけでなく地域限定商品や季節限定商品なども販売しています。
「グーテ・デ・ロワ」の特長
「グーテ・デ・ロワ」の元となるフランスパンは、地元の製粉メーカーと共同開発したオリジナルブレンドの小麦粉を使用しています。ラスクにした際に、サクサクとした食感とバターの芳醇な香りがバランスよく感じられるように自社で焼き上げたフランスパンを薄くスライスし、バターとグラニュー糖を塗布します。時間と温度を厳密に管理したオーブンで二度焼き上げを行い、ラスクに仕上げられます。
「グーテ・デ・ロワ」はフランス語で「王様のおやつ」という意味です。品質はもちろん、パッケージデザインや包装に至るまで、贈る側にも贈られる側にも感動を与えられるようにというこだわりが込められているそうです。
利用者層分析
グーテ・デ・ロワ現在購入者のデモグラ構成比をみると20代後半〜30代前半、40代前半〜50代後半が多く出ています。
男女比では圧倒的に女性が多いです。
「グーテ・デ・ロワ」の7 Journeyを見てみると、認知率はあまり高くありませんが、ロイヤル層が比較的多く、離反率も低いことからファンやリピーターが多いのかもしれません。
ファネル分析では認知からの購入意向も90.8%と高く、また現在購買⇒リピート意向は99.0%とリピーターがかなり多いようです。
そのなかでやや好意的ではありますが最近利用していない巻き戻し層が若干高めです。
イベント会場での催事にも期間限定出店もよく行っているので、元々店舗がない地域に関しては、過去1年に1回以上という意味では巻き戻しが多くなるのはタイミングによる影響もありそうです。
地域ごとの違いは?
「グーテ・デ・ロワ」の現在購入者の居住エリアを見てみると関東が圧倒的に多く、次に近畿・中部・九州の方が多いようです。各都市の店舗数や地域限定商品は関東が最もに多く、次点に近畿の順なのでそれに比例しているようです。
また各地域の7 Journey を見ると、「積極的ロイヤル」は関東、近畿、中国・四国に多く、「チャンス」は北海道、中国・四国、東北に多く出ています。
どんな人に選ばれる?
サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は"アウトドア派”"自己愛強め”"倹約家”な方が多いです。
社会価値観は"依存集中型”"環境や社会大事”に次いで“トライブ重視”“家族優先”が並んでいます。 人との関わりや社会に目を向けている方に多く利用されているのでしょうか。
消費価値観は“トレンド・限定重視消費”"ブランド消費”が高いです。
ガトーフェスタ ハラダの取り組み
社会価値観に合った活動
ガトーフェスタハラではエネルギー自動計測システムを導入し、工場屋上には546kW(定格発電能力)の太陽光パネルを設置するなど環境対策に関する活動省エネ活動を推進しています。
さらに「メセナ活動」にも力を入れているそうです。メセナ(mecenat)とはフランス語で芸術文化支援を意味しており、地域社会の芸術文化振興にも社会貢献の一環として実施しています。本社社屋に併設された「エスポワールホール」や「ロビー」を活用し、様々な展覧会や音楽会など開催、芸術文化の支援を行い、その入場料や収益金を社会的機関などに寄贈しているそうです。
「グーテ・デ・ロワ」現在購入者のサイコグラフィック・社会価値観にも合った活動ではないでしょうか。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
蜷川実花さんとのコラボ
「グーテ・デ・ロワ」は2024年2月に写真家・映画監督の蜷川実花さんとのコラボ商品を発売しています。蜷川実花さんとのコラボは今回で3回目ですが、通年商品「グーテ・デ・ロワ」のコラボ企画は今回が初だそうです。
個包装は全部で20種類のデザインがあり、缶も個袋も華やかでお祝いなど贈りものに素敵な商品となっています。
芸術や文化の支援をしている企業なので、蜷川実花さんとのコラボも納得ですが、消費者にはどのような影響があるのでしょうか?
https://takasaki.keizai.biz/headline/4672/
蜷川実花さんとのコラボの背景は?
蜷川実花さんに好感がある人のデモグラ構成比をみると30代後半〜50代前半が多く出ています。グーテ・デ・ロワ現在購入者のデモグラでは少なかった30代後半が多いことがわかります。
また「グーテ・デ・ロワ」の巻き戻し層(購入意向がありながら直近の購入がない)を見てみると40代が多く、ボリュームゾーンは蜷川実花さんに好感がある層と比較的近い結果になっています。
「グーテ・デ・ロワ」の巻き戻し層(40代・女性)のサイコグラフィックを見てみると、自分の好きなものに対してお金を使う人が多いようです。また消費価値観では“トレーサビリティ消費”“スノッブ消費”“プレミアム消費”が高く出ており、コラボに刺激されやすい方が多い傾向がありそうです。
蜷川実花さんに好感がある人のイメージと「グーテ・デ・ロワ」現在購入者のイメージをそれぞれ見てみると、
・蜷川実花さん…センスが良い、カリスマ性がある、個性的なイメージ
・グーテ・デ・ロワ…上品・優雅、期待感・ワクワク、ハマる・依存する
が上位にきています。「グーテ・デ・ロワ」にはないイメージや、ご当地銘菓のイメージ平均(赤丸)よりも少なく出ている“個性的なイメージ”を補うことができそうです。
蜷川実花さんに好感がある人のイメージと「グーテ・デ・ロワ」巻き戻し層のイメージをそれぞれ見てみると、
・蜷川実花さん…センスが良い、カリスマ性がある、個性的なイメージ
・グーテ・デ・ロワ…期待感・ワクワク、上品・優雅、リラックス・リフレッシュ
が上位にきています。蜷川さんが持つセンスが良い、カリスマ性がある、個性的なイメージで現在購入者・巻き戻し層の双方が持つ期待感ワクワクに応え、さらに「グーテ・デ・ロワ」にはないイメージや、ご当地銘菓のイメージ平均(赤丸)よりも少なく出ている“個性的なイメージ”を補うことができそうです。
また、蜷川実花さんのファネル分析を見ると、「グーテ・デ・ロワ」では少ない購入者層・10代の認知→好感あり、と認知→誘引あり、がとても高く出ています。好感あり→誘引ありに関しては全体的に高く出ています。
今回のコラボで定番のお土産イメージから特別感・個性的をイメージUPさせ、今まで認知していなかった層にも商品をアピールする機会になるのではないでしょうか。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
まとめ
「グーテ・デ・ロワ」購入者の特徴
・20代後半〜30代前半・40代前半〜50代後半、女性が多い
・アウトドア派・自己愛強め・倹約家
・人との関わりや社会に目を向けている方に多く利用されている
・トレンド・限定重視消費・ブランド消費の傾向
「グーテ・デ・ロワ」はこれまでもサンリオやアニメ、海外アーティストのマシュメロとの期間限定コラボを行っており、発祥の群馬県のみならず、その他都道府県地域限定・季節限定商品にも力を入れています。
このような取り組みは「グーテ・デ・ロワ」現在購入者のサイコグラフィック・消費価値観、“トレンド・限定重視消費”"ブランド消費”にも合っていますし、蜷川実花さんとの通年コラボ商品化で今後の認知率や巻き戻し層の購入率アップに繋がるかもしれません。
筆者のひとこと
子供の頃から食べている“ハラダのラスク”こと「グーテ・デ・ロワ」ですが、実は昨年、初めて工場見学をしてきました。
ガトーフェスタ ハラダの本社工場「シャトー・デュ・エスポワール(希望の館)」では9名以下であれば予約なしで工場見学できるのです!
ガトーラスクの製造工程を見学はもちろん、工場見学者限定で無料で提供される、ラスクになる前のフランスパンにバターの上澄みを染み込ませ粉糖をまぶしバーナーで香ばしくキャラメリゼした「グーテ・デ・ロワ ブリュレ」はラスクファンの方にはぜひ食べていただきたいです!
その他にも飲み物も無料、「グーテ・デ・ロワ」のオリジナルシールももらえますし、工場横の本館シャトー・デュ・ボヌールでは群馬限定商品だけでなく、割れてしまったラスクも安く購入できます!
群馬県へ旅行の際は「グーテ・デ・ロワ」の工場見学をしてみてはいかがでしょうか?
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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Knowns Bizとは?
Knowns Bizは、「消費者のイマ」を知ることができる、消費者データを大量にストックしているデータプラットフォームサービスです。ブランドやアニメ、タレントなどのデータが揃っているのでデータ取得の手間なくすぐに使用することができ、デモグラや価値観の属性データと掛け合わせることで、あらゆる切り口で分析可能です。データサイエンスを扱いやすく、もっと身近にすることで、思いもよらないマーケティングの文脈を創出し、新しいマーケティングアイデアを生み出します。
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