ジョナサン・リヴィングストン
ジョナサン・リヴィングストンという名前を聞いてピンと来る人は、きっと作家リチャード・バックの世界的なベストセラー「かもめのジョナサン」を読んだことがある人だろう。
好きな本を5冊挙げろと言われたら、私は「かもめのジョナサン」を必ず入れるはずだ。これまで何度読んだか分からない大好きな一冊だ。
この本の存在を知ったのは小学生の頃、手塚治虫の名作「ブラック・ジャック」を読んでのことだった。どんなエピソードだったかは覚えていないが、ブラック・ジャックのとある話に、「かもめのジョナサン」が出てくるのである。
手塚マンガが大好きだった私は、当時よく通っていた図書館で手塚マンガを借りまくっていたのだが、「かもめのジョナサン」の存在を知るとすぐさま同書を図書館で借りた。
はじめて読んだ時のことは正直あまりよく覚えていないのだが、恐らく何か感じるものがあったのだろう、以来、中学生、高校生、社会人になっても度々読んでいて、高校生も終わりかけの頃、この本によって勇気づけられた事をよく覚えている。それがようやっと「かもめのジョナサン」のメッセージを掴んだ瞬間だったのかもしれない。
内容は若きカモメ「ジョナサン・リヴィングストン」の物語である。かもめのジョナサンが他のカモメ達とは違う生き方を見つけ成長していく。簡単に言うとそんなお話だが、この物語にはビジョンとパッション、そしてアクションがぎっしりと詰まっていて、読んだ人を新たなる境地へと導いてくれる。自己啓発を目的とした物語ではないが、非常に優れた自己啓発本だと思う。
後から知ったのだが「かもめのジョナサン」の日本語版の翻訳は、作家の五木寛之氏によるもの。私は五木寛之氏の著作「青年は荒野をめざす」も好きなのだが、この作品があったから五木氏に翻訳の話が回ってきたのではないかと想像している。
ちなみに「かもめのジョナサン」に次ぐリチャード・バックの代表作として知られている「イリュージョン」は、私の大好きな村上龍氏が日本語訳を担当している。「イリュージョン」もまた素敵な作品だ。
話を「かもめのジョナサン」に戻そう。この作品は2時間もあれば読めてしまう。私は何度も読んでいて人にプレゼントしたこともあるが、読む人によっては2時間で人生が変わるかもしれない。少なくとも私はこの本で人生が変わったと思っている。
一冊の本が人生を変えることもある。ただ、それは読むタイミングによることもある。なので、「もしやこの本」と何かを感じる一冊に出会ったら、時間を置いて何度か読んでみるというのも一つかもしれない。
子供の頃読んだ本に大人になって救われる。そんな事もあったりするのだ。
やっぱり本は面白い。
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