祭りの終わり
iPhone15が発表された。
最上位機種は19万円弱(笑)
もうこの価格、パソコンやん。
日経新聞によるとこんな感じ。
iPhoneは10あたりから、ずっとOE(Operational Excellence)機能向上のみであり、SP(Strategic Positioning)「目の覚めるような革新」は、ない。
それでもOSというデジタルビジネスの命綱をアップル側が握っているから、ユーザーは新しいものを買わないと、使えなくなる。実際、古い機種のMacBookにせよ、iPadにせよ、OSが古いと、関連するアプリ・・・Slackはもちろん、Google Chromeさえ・・・更新できず、使いものにならなくなる。
ともあれ、AppleのiPhone発表はかつてはお祭りだった。
いまは、お祭りじゃなくなったね。ふーん、という感じ。
お祭りの終わりは、いつもなんだか寂しい。
話、いきなり変わります。前項とのつながりは皆無です。
近所に飲食店がオープンした。
その前のカフェが倒れてすぐ、内装リニューアルして、今度は和食、カウンターだけの店のようだ。
入口ガラスに貼り紙。
ランチ3500円
ディナー コースのみ8000円。
他の情報は一切ない。
店は舞台だ。劇場と言ってもいい。店舗の立地、周囲の環境、店内デザイン、照明、空気、音、接客・・・
WTP(Willingness to pay)いくらなら支払うかを決めるのは、上記の劇場を形成する文脈。
そしてもちろん、来店までの導線の「ワクワク」作りが大事。
来店をPOS(販売時点;Point of Sales)とするなら、ビフォーとアフターの設計が重要だ。
ビフォーは、「店があること、存在を知ってもらう」ところから始まる。
いまはやはりインスタだろうね。
そして、店を体験した後の感激を誰かとシェアしたい。
ところがこの店、インスタも何もない。ウェブサイトもない。
ディナー一人8000円、お酒飲んで2人で2万円。それだけ支払うに足る劇場かどうかの判断材料がない。つまり、WTPの根拠がない。
「テイクアウトはないんですか」オーナーと話してみた。現時点ではないんです、と、愛想良い笑顔で答えてくれた。いい人のようだ。
でも。
それまで某ダイニングバーで働いていたそうだが、つまりその間は「雇われ」であり、料理を作るだけで良かった。もちろん多少は接客もしただろうが、集客はじめ、劇場としての店の文脈作りは当時のオーナーがやっていた。
そこが決定的に、わからないのだろうね。
大きな会社を辞めて独立したフリーランスあるあるなのがここ。
自分のビジネスは、劇場だ。
劇場だから、「明日も明後日もお客さんが来てもらう」必要がある。
今日だけ、瞬間風速で来てくれたら良いわけではない。
それはこのnoteでも繰り返し書いているように、「急ぎ」の時制は、商いと最も相性が悪いのである。
ディナー8000円で、明日も明後日も来てくれるだろうか。
ランチ3500円で、日常使いしてくれるだろうか。
ノー。
そして、お客さんやお客さん候補とどうやってイチャイチャするんだろう。
イチャイチャの方法を用意していない。
「いやいや、何か特別な記念日とかで・・・」
そうなると、劇場の文脈が重要になってくる。店舗の立地、周囲の環境、店内デザイン、照明、空気、音、接客・・・。
店はカウンターだけ、狭い、空気感弱い。
しかも致命的なのは、上階(2F)が子ども向け空手道場だ。ドッタンバッタンする。キャキャー歓声も漏れる。そんな中、8000円のディナーを楽しめるだろうか。
前のカフェも「長くはないな」というのが、開店時にわかった。なぜなら、その店の売りが「キャッシュレスオンリー」としていたから。
キャッシュレスというのは店サイドのOE業務オペレーションの話であり、客にとっては何のメリットもない。カフェなら「美味しい」が先に来るはずであり、それが「明日も明後日も来てくれる」理由になる。
開店するオーナーにとって、開店までの準備はお祭りだ。開店時がお祭りのピークになる。
でも、このお祭りも、やがて終わるんだろうね。iPhoneのように。
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