最近の記事

【読書感想文】街とその不確かな壁

家族に時間をもらって。fuzkueにいって、去年でた村上春樹の「街とその不確かな壁」を読んできました。 村上春樹の小説は、ずっと、「喪失」を描いた物語なのだと思ってきたけど、今回、「街とその不確かな壁」を読んで、あれ?そうじゃないのかも、と感じたところがありました。 「喪失」という言葉で僕がイメージしていたのは、「何かを一度、手に入れて、そして失う」こと。 実際、村上春樹の小説ではだいたい主人公の恋人がいなくなってしまいます。 けれど、村上春樹が書いているものは、人間が

    • ケアとキュアについて

      ここ最近、「ケア」そして、それに対立する概念としての「キュア」について考えていて、ここまでに考えたことをまとめておきます。 なぜ、ケアとキュアについて考えたいのか僕は、大学院での修士課程から、素材メーカーでの研究開発職を辞めるまでの約10年間、ずっと、「自分より研究開発ができるやつがいたらやばい。この場で生き残れない。」と感じていました。課題解決をできる自分に価値がある、という感覚です。 (転職して、研究開発から離れて、5年くらい経ったころに、前職の同僚と話す機会があったと

      • 【読書感想文】「叱る依存」について

        今年の夏休みは、「叱る依存」についての村中直人さんの二冊の本を読みました。 この本に出会ったきっかけは、とある本に、村中さんの本からの引用が載っていたのを読んだことでした。 最初、お名前の漢字を一文字読み間違えて、「あの俳優さんって教育論の本も出されているのか。活躍の幅が広い方だな・・・」と勘違いしたのですが、ちゃんと検索して、村中さんの本にたどり着きました。 状況を定義する権利、家庭や会社で、持ってしまっている身としては、そうか、これを権力と呼ぶのか、とハッとしたので

        • 【読書感想文】「企業変革のジレンマ」と「訂正する力」

          「企業変革のジレンマ」と、「訂正する力」。 ちょっと毛色の違う2つの本ですが、どちらも、「保守主義」についての本、という共通点を持った本でした。 2冊の共通点:保守主義についてまず、2冊の共通点である、保守主義についてまとめます。 保守の定義 「保守」という言葉を聞くと、一般には、変化を起こしたがらない、かたくなである様子を形容したイメージを抱くかもしれませんが、元々の意味としては「人間の限界や欠点を直視したうえで、なお社会のあり方をできるだけ望ましくしようとする姿勢」

        【読書感想文】街とその不確かな壁

          【読書感想文】ハラスメントは連鎖する

          こりゃすんごい本でした。 自分の子育てとか対人コミュニケーションは大丈夫か??と、内省をものすごく促されて、読んでいて心にグサグサくるので、読むのに体力使うし、そもそも、出版は2007年で、いまは絶版になっているので、図書館で借りられないと、読むのはかなり困難(ぼくは住んでいる地域の図書館にはなくて、取り寄せてもらって借りられた)なので、みんな読んで!とおすすめするのは難しいのだけど、この本めちゃくちゃ良いし、これをベースに人と話したい、と感じました。 そのため、今回は、

          【読書感想文】ハラスメントは連鎖する

          #Bリーグの楽しみ方

          いま、チャンピオンシップ真っ只中(書いているのは、準々決勝と、準決勝の間の平日)で、Bリーグが楽しすぎでして、そんな中、 #Bリーグの楽しみ方 というテーマでnoteの募集があったので、観戦するようになって約一年の僕が、手探りながら、どうやって楽しんできたかを振り返ってみようと思います。 ※好きになって期間の短い人間にはこうみえるんだなあ、というサンプルとして楽しんでもらえるとありがたいです。 ※※ごめんなさい、B2は全然追えてないのでB1のお話です。 基本的な建て付けな

          #Bリーグの楽しみ方

          【読書感想文】なぜ働いていると本が読めなくなるのか

          僕自身は、ここ最近は、働きながらもしっかり本が読めているので、最初、この本のタイトルにはあまり共感できなかったのだけど、帯に「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」と書いてあったことには、俺じゃん・・・とドキッとしたし、最近、注目している哲学者の方(朱さん)が書評を書いていらして、それが面白そうだったこともあって、これ、もしかして読んだほうがいいやつか・・・?という気持ちで読み始めた。 結果、めちゃくちゃ面白かった。 おじいちゃんが勧めてくれた「竜馬がゆく」前半は、「本」

          【読書感想文】なぜ働いていると本が読めなくなるのか

          【ネタバレ】【読書感想文】三体(第一部から第三部と、netflixのドラマ)

          三体、最高に面白かった。 netflixの三体がスーパー面白そうで、ドラマを楽しむためには原作読んでおかないと、と思って、長らく、中国人登場人物の発音が覚えられなくて積読になっていたものを引っ張りだしてきて一気に読んだ。 そして、読み終わって、netflixのドラマも観た。 どっちも最高だった 以下、ネタバレしかないのでご注意ください。 僕が三体から読み取ったテーマは「科学」一年半前に、銀英伝を一気読みして以来の、長編SF小説。 中国文学の三体にまで、ヤンウェンリーのセリ

          【ネタバレ】【読書感想文】三体(第一部から第三部と、netflixのドラマ)

          美味しい食パンを焼きたい(焼けた)

          ホームベーカリーを使い始めて4年になるのですが、なぜか最近、うまく焼けない。 もう少し正確にいうと、ホームベーカリーを買った当初(2年くらい)は、美味しい食パンを焼けていたのだけど、その後飽きちゃって、久しぶりに一念発起して、家にある材料で焼こうと思ったのだけど、うまく焼けない。 いつか誰かの役に立つと思い、試行錯誤の記録を残します。 まず、レシピ通りに作成すると、こういう感じになってしまった。 パンが膨らんでおらず、イースト菌のニオイ(のような、何かのニオイ)がすごく

          美味しい食パンを焼きたい(焼けた)

          【読者感想文】「水中の哲学者たち」と、「体はゆく」

          哲学対話を実践している永井さんの「水中の哲学者たち」。ずっと気になっていたが、この度audible版がでていたので、そちらで聴いた。 小4息子の習い事の送り迎えの車中で流していたら、どうやら彼の興味を引いたようで。結局audible版に加えて、単行本を買ってあげたら、ちょっと読み進めている。 哲学の本なのに、小4で読めるのか…ととても驚いた。(冒頭の「弊社」が読めなくて苦労していたけど) たしかに、小学生との哲学対話の話が出てくるから、親しみやすさを感じたのかもしれないし

          【読者感想文】「水中の哲学者たち」と、「体はゆく」

          応援しているスポーツチームがある、ということ

          Bリーグにハマっている2年前に、帰省したときに観戦したのをきっかけに、Bリーグにハマっています。 特に、地元のチームであるスサノオマジックを応援しており、去年の帰省時にもホームゲームを観に行ったし、先日は横浜戦を友人と観に行きもした。 (なお、僕が観に行った試合は全部勝ってる) 観戦している日以外も、試合のある日はバスケットLIVEから目が離せず、試合の動向を追いかけてしまっています。 これまで生きてきて、特定のチームを応援する、というのは初めての経験です。バスケは小学校

          応援しているスポーツチームがある、ということ

          子どものお小遣い制度についての整理

          子どもたちも小学校に入ってしばらく経ちまして、お小遣い制度について、ちゃんと、向き合う必要が高まってきました。 【場面には3つある】お金にまつわるシーンには大きく3つあります。 ①お金を増やす ②お金を使う ③お金を貯める 「お小遣い」をこれらの練習の機会と捉えるならば、それぞれ、こうやってみるといいかも?というのがでてきます。 ①お金を増やす 「お手伝いをしてくれたら〇〇円あげる」はこれ。 「稼ぐ」とは何か、を知る機会として実施する感じ。 目的感としては、どうやった

          子どものお小遣い制度についての整理

          Bリーグがすごく良かった

          年末に実家に帰省したときに、高校時代のバスケ部の友人がスサノオマジックのチケットを取ってくれて、観戦してきました。 観客の熱狂があったぼくがBリーグの試合を最後にみたのは、10年前くらい。今調べたら、まだ、Bjリーグ時代だったみたい。 僕に近い年代の選手が若手として活躍しているころだった。 当時の試合も、楽しく見たんだけど、なんというか、上手な人達のバスケの試合をみたな、という感じだった。 もともと、バスケをするのは好きだけど、NBAであっても熱心に見るタイプではない僕は、

          Bリーグがすごく良かった

          【読書感想文】すべては1人から始まる_研究職キャリアとそこから離れたことを振り返る

          読みました。 これは面白かった。 この本を読み終わったタイミングで、4年前まで在籍していた会社の先輩と2人でゆっくり話す機会があって、めちゃくちゃ色々整理された。 「問題を作る」と「問題を解く」これまで、明言することを(おそらく無意識的に)避けてきていたけど、ある意味で、僕は研究者としての自分のキャリアに限界を感じていたんだと思う。こう書くと、挫折の話のようだけど、挫折の話ではないつもりで書いているし、内心はめちゃくちゃ清々しい。 僕にとって、理想の研究者像というのは、

          【読書感想文】すべては1人から始まる_研究職キャリアとそこから離れたことを振り返る

          ぼくとラグジュアリーとの距離感

          安西さん、中野さんの「新ラグジュアリー」を読んだのは発売されてすぐの頃でした。 ラグジュアリーについて、明解な説明と、豊富な事例、意志のある展望が書かれた本ですが、これを自分のものに咀嚼するのに時間がかかっていました。 僕自身が、ラグジュアリーと呼ばれるものは何も持っていなくて、仮にラグジュアリーを狭義に歪んで解釈して「高価な物」と考えたところで、HHKBのキーボードくらいしか持ってない、という僕にとって、実感を持って「ラグジュアリー論」を捉えるというのは雲を掴むような感覚

          ぼくとラグジュアリーとの距離感

          世界をどう分解するか(振り返りを振り返る)

          きっかけは、年末年始に友人たちがfacebookに投稿していた1年の振り返りや、新年の抱負を読んだこと。(もう6月なのに年末年始の話をいまだに引きずっている)そして、ちょうど発売された「視点という教養」という本だったり、会社のマネジメント合宿でも、メタ認知の話が出たので考えてみる。みんな、振り返りや抱負では、仕事のことand/or プライベートのことを書いていました。 ここ数年は、仕事のことが、「本業と副業(あるいはそもそも複業)」に分かれている人もいたりするけれど。ふと、

          世界をどう分解するか(振り返りを振り返る)