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1日30分の1on1で聴くことの効力

今年は組織も大きくなり、気が付けば80人くらいのメンバーと一緒にお仕事をしています。疎遠な人もいれば、ちょっとモチベーションをこじらせてしまっている人、契約形態が異なる人もいるし、外国籍の人もいる。どうやってグループの求心力を高め、遠心力を働かせていくか、今年一番意識したことは、業務のマネジメントとは別に、1on1の時間をなるべく多くの人ととり、一人ひとりが持っている価値観や組織のメンタリティを把握するのに努めることでした。

4月以降のスケジュールを振り返ると、12月までの9か月間で合計180回、メンバーの皆さんとの1on1を実施していました。月当たりで換算するとちょうど20回、これはほぼ平日日数と同じですから、毎日30分、誰かと1on1していたことになります。計算をしてみると、意外と少ない時間なのですが、これをやってみて、とても効力を実感しましたので、振り返りとして、実践してみての気づきを残しておきます。

実践してみての気づき
① 自分の話を聞いてほしいと思っている人は多い(承認欲求)
② 話しているうちに自ずと内省が進む(メンバーの自律促進)
③ 問題になる前に手を打てる(組織のヘルスチェック)
④ 聴くだけで信頼される(エンゲージメント醸成)

① 自分の話を聞いてほしいと思っている人は多い(承認欲求)

世の中には、初対面でも愛想よく話せる人と、そうでない人がいます。日頃、オンラインミーティングが多いのですが、こちらから話を振らない限り、カメラをONしてくれることもなく、発言もしない・・。そんな方と1on1をするのは、正直なところ気が重いのですが、いざ向き合ってみると、意外とご自身のことを話してくれるのです。”自分のことを分かってほしい”という承認欲求は、程度の差こそあれ、誰しも持っているものですね。基本的に寡黙でも、回を重ねるごとに笑顔まで見せて話してくれ、その人の人となりを理解することができました。

② 話しているうちに自ずと内省が進む(メンバーの自律促進)

メンタル不調を経験したことがある方が、今後のキャリアを模索しているケースがありました。少しずつ回復の実感を積み重ねながら、前向きに取り組めることを探すような感じです。何をしているときの自分が好きかや、小さな成功体験を話しているうちに、キャリアの方向に確信を持てるようになったとのこと。私は、長所を生かせそうなジョブアサインのみで、アドバイスめいたことは一切していないのですが、自分で話すことによって内省が進んだようです。メンバーの自律、主体的な行動の促進に、聴くことの力は大きいと実感した出来事でした。

③ 問題になる前に手を打てる(組織のヘルスチェック)

なるべくフラットな組織になるよう心掛けていますが、やはり、レポートラインが遠いメンバーの日常は見えにくく、でも、ここにこそ組織の健康状態が表れると考えています。階層をスキップして1on1を行い、メンバーが困っていることの発言から、仕組みの不具合を見つけるのに役に立ちました。ちょっと怪しいところを押さえられると、大きな問題になる前に、ルールやスコープ、役割分担を確認したり、タスクの優先順位を変更したり、対処することができます。チームワークがちゃんと機能しているかモニタリングできるので、より大きな成果にもつなげられます。

④ 聴くだけで信頼される(エンゲージメント醸成)

自分の話をじっくり聞いてもらえるという経験は、社会人生活の中で、意外と少ないものです。こういった1on1習慣は、ここ数年で始まったものであり、特に中堅層以上のメンバーからは、過去に経験がないためか、感謝されることが多いです。私にとっては仕事の一環ですが、わざわざ時間をとって話を聞いてくれてありがとう、という気持ちになるようで、こちらは聴いているだけなのですが、それだけで信頼関係が生まれている感覚があります。もちろん、聴いたことの要点はなるべく覚えておく、とるべきアクションがあれば確実に実行する、などは心がけています。ですが、コミュニケーションは質も大事ですが、量も大事。話す機会が多い、というのはそれだけで関係性構築のベースになるものですね。

以上の4つが、実践してみての気づきでした。

1on1最強説を唱えるつもりはないですが、コミュニケーション機会を確保する口実としてうまく活用すれば、対話によるマネジメント強化が図れますね。言うなれば、1日にたったの30分だけです。これからも模索しながら実践していこうと思います。

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