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山歩きのはじまりの場所へ。 *追記あり

たぶん9年と少し前の11月も、ここに立っていた。
(11月末、というのは確かだが、年度は曖昧)

トレッキングシューズとレインウェアを揃えて。
ユニクロのフリースの上に、ピンクのモンベルのストームクルーザーを着ていたw

その時以来の、天覧山登山口。

ここから右に入っていく

その日、受講が終わったばかりのコーチングスクールが主催する、ファシリテーションを学ぶ講座を受講する予定だった。

でも。。。

みんなのために頑張るのはもうやめたい

そんな気持ちがむくむくと湧いてきて、心が突然止まってしまった感じになった。

ファシリテーションは、まさに、仕事で・管理職として・みんなのために、学ぼうとしていた。
その直前半年のコーチングも、そうだった。でもあと少しの課題をやり切ることがどうしてもできなくて、完遂できずに期間が終わったばかりだった。打ち上げで参加者が盛り上がる中、どこか馴染みきれない気持ちを感じながら…まだ、やり残していることがあるような、大事なことがまだほかにある、そんなふうに感じていた。

みんなのために。当時の私のそれは、自己犠牲の要素が大きかった。

(そしてその後、本格的に人生に迷うことになり、再々度自分自身のことに取り組まねばならない事態に陥るのだった)

コーチングスクールに通う少し前に、飯能にお住まいの方との交流が短期間だけあった。その方も悩みが深くなった時、多峯主山(とうのすやま)を毎朝登り続けたとのこと。時には裸足やサンダルで。
山を歩いているうちにいろいろなことに気づいた、と話されていた。

…講座の受講費用は高かったけど、こんな状態では出席できそうにない。
代わりに、山を歩いてみたい。
山を歩いたら、自分の中で何かが起こるのかもしれない。

そんな期待も胸に、天覧山へ向かい、多峯主山まで歩いた。
下山後は飯能河原で自然に触れる時間を過ごした。

それが、私の山歩きのはじまりだった。
ずっと忘れていたその時間をまた思い出していた。


前回の日和田山からのハイキングが思いのほか楽しかったので、再び同じ山域で、膝の調子をみながら負荷をかけられるルートを探したところ、
東吾野駅から天覚山、久須美山、久須美ケルンを経て、多峯主山、そして天覧山へ縦走するコースが目に止まった。距離は長めだけど歩きやすいコースかな?と思った。

帰りを飯能駅方面にしたのは、天覚山が最も標高が高く、急登りしたあとにアップダウンを繰り返しながら降りてくるコースどりになるため。そして、電車の本数が東吾野より断然多いこと。
もしかしたら、美味しい下山メシにもありつけるかも?なんて。

なのに、飯能で西武秩父線への乗り継ぎに30分待つことになり…それならば登山を開始するほうが余裕のある山行になるのではないか?と思い、逆方向のルートに変更することにした。

それによって、期せずして9年前のことを思い出すことになったのだった。

天覧山山頂
前回は賑わっていた山頂。今日は早朝のため静か。
この標識、なんとなく覚えている
この感じも。
多峯主山山頂標識と富士山

標高は高くないが、このルートで1番の眺望が得られる場所。

今日の富士山🗻も凛として美しい。丹沢や奥多摩の峰々もくっきりと見えた。
おやつを食べて、さぁ出発。先はまだまだ長い。

左へ降りていくとトイレへ。

トイレの存在のありがたさを感じた後…
人が少ない下り道へ進む。
ここが砂と小石混じりの滑りやすい道で、どこに足をついたらいいのか悩ましい。時々足が止まりがらもなんとか下り、その後同じような道を登っていく。

大黒山
左へ。
前回登った日和田山は左の山。
遠くには筑波山かな

この辺りに住む方々にとっては、今歩いている道は"裏山"なんだな。
まもなく久須美ケルン?と思ったところに明るい眺望のある場所にでた。ここで休憩をとることにしよう。

遠くに新宿かな?
ケルン、どこ?
ケルンは休憩した場所から再び
森の中に入ったところにありました
冷たい風が時折強く吹く
手書きの看板
強く風が吹き、木がぶつかる音がする
さあ、天覚山への登りだ
砂、小石、根っこ😅
シューズが埃まみれになりながら到着
おやつタイム。レーズンパンとチーズ。
ここからも丹沢がくっきり

それにしても、砂と小石で滑りやすく、半分崩れかけた道が多い。
天覚山までの登りもそうだった。
「埼玉は(高尾山域みたいに)登山道が整備されていないから」という、猫さんの言葉に納得。
ほんとはここ下る予定だったんだなー(大変そうだ)。ただ、今から下る道も、きっとおんなじだよな。。

風が強まり、脚も冷えてきた。そろそろ下山しよう。下りの距離が一番長い区間だし、これまでのアップダウンで脚も疲れてきている。ここでポールを念のため出しておく。

予想通り、早速崩れそうな道から下山が始まった😂

左に行くと大高山から吾野駅へ。
次はそっちまで?

ここからしばらく写真なし。
一部ロープを使う区間あり。
大丈夫、大丈夫、と独り言を呟きながら下りる。

日陰になると急に足元が見えづらくなることも、歩みを遅くする一因なのだ。。(50代になり、薄暗い時の見づらさがさらに増した)

ロープもなく滑りやすそうな道で、思わず立ちすくんだ区間があった。
立山の、富士の折立からの下りみたいに。
後ろから足音が聞こえてきた。お兄さんが降りてくる。
「あー、先へ行ってください」と、もちろん先を譲る。
「ありがとうございます!気をつけてー」と声をかけてくれた。
へっぴり腰で固まる私を後ろから見ていただろう。恥ずかしいを通り越して、リズミカルに下りていくお兄さんの姿を見ていた。
あんな風に軽快に下りられるはずなんだよなぁ、おんなじ道なんだし。。。

怖い、というよりは、滑りそう、と思って足がすくんでしまう。
またこの頃には膝回りのかすかな痛みも感じていた。踏ん張りが効かないのか。
整形外科で言われた言葉「筋力が足りてなくて、それをカバーするために使われる部分が痛みの原因になる」。
そう、筋力というか筋持久力。特に前腿のそれが必要になるのがこの長い下り道。。

悶々としながら、でもできるだけ上半身の力みをとりながら30分あまり?頑張って、なんとか転倒せずに降りきった。

尾根道と沢筋コースの分岐。今日は尾根の方を選択。
沢筋コースに雪が残る写真を見たのと、地図の等高線からはより勾配がきつそうだったので😂

さあ、ここからは駅までのなだらかな道だ。もう一度登山道に入るコースの予定だったが、もう気持ちは満足した(=疲れた?)ので舗装路に出た。

ちょうど飯能行きが出発してしまった
今度はユガテにも行ってみたいなぁ。

駅前にベンチがないので、駅のホームのベンチで下山メシ。

玄米おにぎりと、フリーズドライのコムタンスープ。
叔母がザックにつけていたてるてる坊主さんが
今日の山行を守ってくれました

動けなくなるほどの膝痛はなかったものの、違和感は出ていたので、あと100mの標高差が加わっていたら痛みに変わっていたかもしれない。

でも、ザレザレの道で靴やズボンが埃まみれになっても、なんだか楽しくもあった。
何より、静かな山歩きを楽しめる山域。
真夏はおそらく暑すぎるし、秋はクマも心配。冬のうちに歩きたいルートだな。

9年前に歩くにはとんでもないルートだったけど、9年経っても成長これだけ?と泣き笑い😂したいような感じもある。

振り返ると…
9年間、いろいろなことがありすぎた。
生活するだけで気持ちが精一杯の時期もあった。
住むところも、仕事も、親との距離も、大きく変わった。
子供も成人した。

山にほとんど登れない時期もあったし、もうやめようとしたこともあったけど、結局はやめずに続けているんだなぁ。。
特に2021年に奮起してから、少しずつステップアップしようとしている。

生き方に迷うなか、山歩きはずっと一緒にあった。

できれば、この先もしばらく続けていけたらいいなと思う。