〈旅と食〉コペンハーゲン③憧れのルイジアナ美術館に魅せられて
こちらは前回の〈旅と食〉記事 コペンハーゲン② の続きです。
旅1日目は、有名な市場でのランチやデザインミュージアムなどを満喫後、この旅の目的①である新北欧料理(ニュー・ノルディック・キュイジーヌ)を初体験したのでした。
ちなみにこの〈旅と食〉シリーズでは、訪れた場所についての内容とあわせて、ふだんグルテンフリーかつマクロビオティック(プラントベース)という、自分のカラダに一番合うと感じている食生活を中心に過ごす私の目線で、旅先の食事情についても触れています。
コペンハーゲン外食事情についての印象はこちらをどうぞ。
長年の憧れ「世界一美しい美術館」を目指す
デンマークには「世界一美しい美術館」と称される場所があります。そこがこの旅の目的②である「Louisiana Museum of Modern Art(ルイジアナ近代美術館)」
雑誌で紹介されていた1枚の写真にひと目惚れしたあの日から約20年。コペンハーゲンに上陸し憧れの美術館はすぐそばにあるのだと思うと、前夜のわくわく感は、まるで遠足が楽しみ過ぎて眠れなくなる子どもの様でした。笑
さて、ルイジアナ美術館の訪問当日は、コペンハーゲン中心部から北へ向かう電車に乗って約35分ほど移動します。1日目とはゾーンが異なるので、公共交通機関(地下鉄・バス・電車)乗り放題チケット City Pass(シティパス)は Large を24時間ぶん購入。これがあれば、美術館から戻ったあともコペンハーゲン市内を移動しやすい。
昨日は地下鉄のみ利用したので、初・デンマークの電車!クリーンでスタイリッシュな車内の雰囲気に、北欧らしさを感じます。
ルイジアナ美術館の最寄駅「Humlebæk 」に到着。
Humlebæk駅のカフェを通り過ぎて、美術館まで約15分ほど歩きます。
平日でしたが、同じく美術館へ向かう(であろう)人たちがいたので、後をついて歩いてみました。
デンマーク感ある素敵な家々が並んでいて、お散歩気分♪
“ルイジアナ美術館” という体験
美術館に到着しました。門を通ると、目の前に現れた建物はどなたかのお宅にお邪魔したかのような雰囲気。それもそのはず、元は個人の邸宅だった建築をベースに、美術館へ改装したとのこと。この入口だけ見たら “あのスケール” は想像できない!(←こちらの意味は後ほど♪)そして、蔦に覆われたファサードがとにかく魅力的なのです。
エントランスを入ってすぐ、チケット売り場があります。奥の様子が気になる!
この日はリュックサックを持っていたので、ロッカーへ預けるように促されました。もうすでに素敵な景色が目に映りますが、まずは地下にあるロッカールームへ。
このマシーンで、ロッカー用のコインを入手します。
無事に荷物を預けて身軽になり、いよいよ鑑賞スタート!
順路はないので、惹かれるお部屋へ入って行きました。
元の邸宅と庭園の雰囲気を残すため、展示室の大部分は地下に作られた様ですが、明るく開放感ある印象。
幅広い近現代美術作品を3000以上も所蔵。
広々とした贅沢な空間づかいで、じっくり作品を鑑賞できる環境が整っています。
光が差し込む廊下は、室内に居ながら自然を身近に感じられるような空間。
ルイジアナ美術館は、子ども向けのワークショップ・プログラムが充実しているようで、このように設備の整ったワークルームが完備されていました。とても楽しそう!
また、18歳未満は入場無料とのこと。この日(平日)小学生〜高校生くらいの子どもたちが様々なグループで訪れていて、アートに触れる姿を目にしたのですが、子ども時代にこの環境が身近にあるなんて……羨ましすぎる!
歩き疲れたら、腰を下ろしてゆっくり作品と向き合うのも◎
作品を見ながら建物に沿って進んでゆくと素敵なカフェに辿り着きました。外へ出ると素晴らしい景色が!
晴天のお昼時、テラス席はランチを楽しむ人々で大盛況です。
ここを訪れた多くの人が、目の前に広がる海と青空をただゆっくりと眺めている……この自然もアートの一部の様な、アートと自然がナチュラルに融合した、特別な場所に立っているような気分になるのです。
この美術館ではベビーカーに赤ちゃんを乗せたご両親の姿や、小さなお子さん連れの家族も多く、老若男女が訪れアートと自然を楽しんでいる姿が特に印象的でした。一般的な美術館のイメージとは明らかに異なる光景。
自然のワイルド感も残しつつ手入れがよく行き届いている敷地内は、野外に展示されたアート作品とのバランスも絶妙です。
う〜む、日本で訪れたことのある場所で例えると……
「箱根にある彫刻の森美術館と小田原の江之浦測候所をかけ合わせたような雰囲気を感じなくはない??」なんて、夫と話しつつ自然豊かな野外エリアを散策。
高低差ある敷地の形状を活かした展示方法は、様々な角度からアートが自然と調和した姿を楽しませてくれます。
海を望む高台の庭園では、ピクニックシートを広げランチをしたり、芝の上に寝転んで読書をする人々も。
高台を降りると海はすぐそこ!
9月のデンマークにしては異例の夏日となったこの日、海を眺めていると海水浴をする人の姿もちらほら見られました。おそらく海水は冷たいはず!笑
こちらの芝生エリアでも、お昼寝中の人がいたり、坂を転がって下る子どもたちの笑い声が聞こえてきます。見渡す限りに平和で幸せな光景が広がっている。
野外の雰囲気を満喫したので、屋内の展示室へ移動します。
海を望む見晴らしのよい展示室にはユニークな作品があり、来館者が作品の一部になる仕掛けも♪
行列がありよく見ると、草間彌生さんのインスタレーション「Gleaming Lights of the Souls(魂のきらめき)」でした。
無数のライトが心地よいリズムで色を変える、宇宙のように奥深い空間。
草間彌生さんは世界中で大人気のアーティストであるため、ロンドンで開催されている展覧会では予約のハードルが非常に高かったのです。ここでは、少しの待ち時間で作品を十分に楽しめたので大満足!
そろそろお腹が空いたので、ランチをすることにしました。
光と影が魅力的な野外アート作品から、ふたたび高台の庭園を通ってカフェへ。
五感満たされるミュージアムカフェ
カフェまで戻ったはいいけれど、どの席に座ろうか迷ってしまいなかなか決められない。なぜって、どこもそれぞれ素敵なのです。結局、室内で海に一番近い席を確保。
振り返ると海!
ランチメニューには、グルテンフリー・ラクトースフリー(乳糖不使用)・ヴィーガンなど記載があり、私としてはとても選びやすかった。テーブルで注文してお会計。その後、食事が運ばれてきます。
これらは本当に美術館併設カフェのレベルですか?と言いたくなるほど、盛り付けは美しく、お味も美味しかったのです!満足度高し✴︎
夫はチキンのフリカッセ(彼は意図せずグルテンフリー仕様・ただ添えられたパンは小麦製)そしてまたも昼ビール!
私はローストしたカリフラワーとズッキーニに、キヌアやお豆がたっぷりのお料理を選択(ヴィーガン&グルテンフリー仕様)ドリンクはスパークリング・ルバーブ。しゅわしゅわ可愛いピンク色♡
あくまで一般的な印象としてですが、ヴィーガン&グルテンフリーのお料理は、例えわりとイイお値段の格式あるレストランでも時にがっかりなモノに出会うことがある中、ここではセンスが光るひと皿に出会えてとても嬉しい気持ちになりました。これはいつか再現してみたいな♪
目の前には海・アート・波の音・鳥の声・いい香り(潮・緑・料理)・美味・心地よい空間……席の場所によって体験する感覚に多少の違いはあるかもしれませんが、五感が満たされる素敵なカフェでした!
食後は、まだ観ていない展示室を巡ることに。カーブが美しい階段を下って地下室へ移動します。
Cave_bureauという展示で印象的だったのは、ケニア東部にある洞窟を原寸大で再現したという、巨大な織物の彫刻。広い展示室全体を使った迫力ある作品でした。
こちらもまた、お日さまの光が差し込む素敵な空間。
最後にミュージアムショップをじっくり見てまわる。素敵なセレクトばかり!
昼〜夕方まで、約5時間じっくり満喫しました!本当はここで日没を拝みたい気持ちになっていたのですが、残念ながら夜のレストラン予約があるためコペンハーゲンへ戻る時間。涙
こちらを訪れる際は、ぜひ1日確保してルイジアナ美術館を丸ごと堪能することをオススメしたいです!もし選べるのなら、晴天の日が最高かと♪
訪れたのは美術館、しかし体感は遥かに美術館以上。うまく言葉にできませんが、とにかく最高の1日となりました!
「ここにはまた来なければ!」夫と共にそう決意し、後ろ髪を引かれつつ長年憧れ続けた世界一美しい美術館を後にしたのでした。
Louisiana Museum of Modern Art
公式サイト英語ページ:https://louisiana.dk/en/
所在地:Gl Strandvej 13, 3050 Humlebæk
※この記事は2023年9月7日滞在当時の情報です。
コペンハーゲンに戻り、Østerport St.で下車。レストランの前に、有名な人魚姫にもご挨拶してきました。
次回の記事は、デンマークの伝統料理であるオープンサンドイッチ「smørrebrød(スモーブロー)」をいただくため、デンマーク料理レストラン「Selma(セルマ)」を訪れます。美しきモダン・スモーブローの世界、どうぞお楽しみに!