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【月報2022年9月】元公僕が地域おこし始めてみた件

9月は、
【学校には気づきがたくさん】
【やっと大槌を実感】
【大槌まつり】
【防災の学びなおし】
【震災伝承とSNS】
【ピザじゃなくてピッツァ】
【二度目の1万文字越え】
の内容でお送りします。

1.大槌学園ふるさと科での震災学習の気づき

今月は、大槌学年の6学年と7学年のふるさと科の震災学習の授業を見学させていただきました。

授業の主な目的は、町内の様々な人から東日本大震災に関する話を聞き、それを通した学びを自分自身のものにするといったものです。

そして、その授業もそろそろ節目を迎えるので、今後学校でどういった学びを提供できるのかを考えるために、授業の内容を見学させていただいていました。

なぜ、節目を迎えるのかというと、今の6学年が2010年度生まれであり、震災後というか震災中に生まれた世代です。

なので、発災時のことの記憶はなく、仮設住宅の暮らしが普通の暮らし、小学校入学時にはもう今の校舎が完成しており、仮設の校舎で授業を受けていないなど、今までの上の学年とは大きく変わりつつあります。

しかし、今までの成長期に震災を経験した世代が特殊なのであって、これからは、震災は生まれる前の出来事で、人づての話しか知らない世代というのがスタンダードになります。

だからこそ、子どもたち自身の体験の記憶があったという、ある意味特殊な時期での震災からの学びを伝える方法も変わるのではないかと思います。

なので、6学年への子ども達への話は、発災時の出来事だけではなく、今までの大槌の出来事の経過、そしてそこからの学びやそれを誰に何のために伝えるのか?、そこにいた人はどう感じ、どう行動したのか?、自分ならばどうするのかなど、経験が少ないからこそ自分だったらと考えてもらう機会が多かったと感じました。

また、被災した人だけではなく、震災以降に大槌に来て今の大槌を築く手助けをしたたくさんの人たちのバトンを子ども達に繋げるような内容もありました。

ここでは深く伝えきれませんが、自分自身も今まで大槌で繋いできたバトンを受け取り次に渡す一員となりたいと強く感じました。

2.防災の話

①『ちおこ』の防災

9月9日(金)

先日『ちおこ』の月に一回の定例会が行われました。

その中で先日大槌町から配布されたばかりの防災ハザードマップを元に、各自の災害発生時の身の守り方について話し合いました。

ちなみに今回配布されたハザードマップは、津波や河川氾濫時の浸水想定がより重い想定に改定されており、以前は利用可能だった指定緊急避難場所が利用出来なくなるなどの変更点があるので、それを踏まえて各自の行動を考え直す必要がありました。

この場を借りて、ハザードマップを見る上で重要な点をお伝えできればと思います。

◆ハザードマップとは?
自然災害に応じて一定の基準の想定をもとにその危険度を地図で示したものです。

一定の想定とは、雨量や雨の降る時間、震度などの条件を組み合わせたもので、それが最大のものとは限らず、あくまでも一つの可能性であり、想定を上回ることもあれば下回ることもあります。

また、細かいハザードマップを見て、自分の家が色がついていない点だけを見て大丈夫だと判断する方もいらっしゃいますが、細かい家単位での正確な想定が出ているわけではないです。

また、ハザードマップは危険な箇所を伝えるものであり、ここは絶対大丈夫ですというものではないので、自分の家の場所だけではなく家の周りのハザードマップの色の様子を見て、避難行動の参考にした方がいいと思います。

過去の災害では、ハザードマップの色のついているところとついていないところの境目に住んでいる人に犠牲が多く出たという事例もありますので、ハザードマップの意味を理解してより安全な避難行動に繋げていただければと思います。

◆そもそも避難とは?
一般的に避難とは『避難所に行くこと』と誤解されていることが多いです。

しかし、『避難してください』と言われた時の意味は、『あなたの身に迫っている災害の危険から身を守る行動をとってください』という意味で、自宅がより安全な場所であれば、そのまま自宅に待機するのが取るべき行動となります。

◆『指定』とは?(緊急避難場所・避難所)
例えば、
このマップに載っている緊急避難場所や避難所は町役場が指定したものに過ぎず、必ずしもそこに避難しなければならないわけではなく、他にも安全な場所があれば避難して構わないということです。(発災後に物資が届きにくいなどの違いはありますが)

◆『緊急避難場所』と『避難所』
そしてその緊急避難場所と避難所はそれぞれ別のものです。

緊急避難場所は今にも身に危険が迫っている時に緊急的に避難する場所(高台や広場などで建物とは限らない)です。

避難所は災害の脅威がある程度去ってから自宅が被害を受けた又は様々な理由で自宅での生活が困難な場合に避難生活を送る場であり、一刻一秒を争う事態になった際には避難所より緊急避難場所に避難することが望ましいです。

学校は、その緊急避難場所と避難所を両方兼ね備えている施設ということが多いだけです。

◆災害の種類によって異なる緊急避難場所・避難所
そしてその緊急避難場所と避難所も災害によって利用できるかどうかは異なります。

大槌町のほとんどのエリアは、「洪水・土砂災害」か「地震・津波」の危険がある地域になります。

これらの災害は起こる原因も異なり、危険な場所も異なります。

ということは避難する場所も異なるので、単純に近くの避難所さえ知っていればいいというのではなく、災害の種類に応じて、危険な場所を避けて安全な場所に避難する行動を取る必要があります。

ちなみに、災害でも地震でも津波でも避難出来る指定緊急避難場所は、全体の3分の1程度しかありません。

◆緊急避難場所について正確に知る
また、緊急避難場所の話をするときは具体的な場所を明確にして話すことが大切です。

例えば、津波の指定緊急避難場所である小鎚神社裏山は、裏山が緊急避難場所であって小鎚神社は緊急避難場所ではないので、人に話すときは必ず『裏山』をつけて伝えないと、誤解して危険な場所に避難する恐れがあります。

◆いつもとは違う状況での避難
そして避難する時もいつもとは異なる時間の可能性もあり、そういう時に限って迷ったり時間を取られる可能性もあります。

暗い夜や雪の積もった日に避難することもあるかもしれないので、そういう可能性を頭に入れて、それでも避難行動が取れるようにできれば良いと思います。

◆避難情報の前提

避難指示などの避難情報は、事前にハザードマップの想定を知っていることを前提に出されることがあるという事です。

避難情報は、住所や地域ごとに出されることがありますが、災害はその地域ごとに発生するわけではありません。すごくピンポイントで、山奥のあるエリアだけ集中的に雨が降ってそのエリアだけに避難情報が出されることはあると思いますが、基本的に人が住んでいるエリアのみにしか出されないです。

また、雨の規模が大きい場合には、町全域に避難情報が出される場合がありますが、これは町の人全員が安全な場所に避難しなければいけなかったり、町の外に行かないといけないというわけではありません。

避難情報で出される町全域とは町全域『の危険な場所』を指しており、その危険な場所はハザードマップで色が付いているエリアを示しています。

なのでその避難情報を受け取る前に、自分のいる場所がどう言う危険があるのかをハザードマップなどで確認しておく必要があるということです。

ちなみに避難情報を出す市町村は、雨雲レーダーの予測や河川水位とその予測、場合によってはカメラの映像などの情報(今はほとんど一般の人でも入手できる)で判断しています。

基本的な情報はテレビやネットで知ることのできるものになっている一方、現地の細かな状況はそこに住んでいる人にしか分からないので、市町村からの情報を待つだけではなく、避難情報が遅れる可能性も考えて早めの行動をする必要があります。

◆最後に
これらの防災ハザードマップの内容は、東日本大震災で被害に遭われた方々の経験から作られていますので、そういった思いを、自分たちの行動として活かしていければと思います。

その一方で、ハザードマップは町内全戸に配布されていますが、誰もが内容を理解できるとも限りません。

そもそも地図が読めないという人もいるかも知れません。

個人的には、地図を読めるのは一般常識ではなく、限られた人にだけ与えられた特殊な能力だと個人的には思います。

だからそういう人も同じように理解できるためには、身近な人との助け合いが大切なのかも知れません。

先ほども述べましたが、災害の時の行動は事前にハザードマップの内容を理解している前提で動くことが多いので、事前の備えとして物を備えるだけではなく、事前の行動として備えることも大切ではないかと思います。

大槌町の新しく改定されたハザードマップは以下のリンク先からご覧いただけます。
防災ハザードマップについて - 大槌町行政サイト (town.otsuchi.iwate.jp)

②緊急避難場所を探して

9月16日(金)

大槌町防災ハザードマップが改定されたのを受けて、今までの指定緊急避難場所が浸水想定区域内に入ったので、別の場所になった指定緊急避難場所を見に行ってみました。

試しに行ってみたのは、自分の住む地域ではないですが、津波の震災想定が広がったことで指定緊急避難場所がより高い場所に変更になったり、新たな指定緊急避難場所が設けられた花輪田地区です。

ハザードマップを見ると、花輪田地区は、想定規模の津波の場合、5m〜10mの浸水が想定されている為、家の上の階ではなく、遠くの高台へ避難する必要がある地域になります。

住宅地から近くにある、指定緊急避難場所である「花輪田集会所高台」を目指して避難行動をしてみました。

この時は初めてなので片手にスマホ、片手にハザードマップを持ちながら歩きました。

しばらく歩くと、花輪集会所が見えました。

やっと着いたと安心して建物の中に避難してはいけません。

集会所の建物そのものは浸水想定区域内にあるので、建物に入らずにより高いところを目指します。

集会所の裏の高台に広場がありそこには避難出来るスペースと津波記念碑がありました。

その後、近くのもう一つの指定緊急避難場所である「旧小鎚第21仮設団地跡地」に行ってみました。

仮設住宅があった頃から大槌にいたわけではないので、名前を聞いても場所がピンとこないのですが、地図を頼りに向かってみました。

途中で、津波避難場所の看板を見ましたが、ハザードマップの場所ではないので、スルーして進みました。

しばらく歩いて、指定緊急避難場所だと思われる広場に着きました。

今回のハザードマップの改訂で緊急避難場所も変更が行われてましたが、緊急避難場所の標識などはまだ整備されていない状況です。

標識がないから避難できないと言うのではなく、どこが高くてより安全かを普段から理解しておくことで行動につながるのではないかと思いました。

3.ファシリテーション研修

9月3日(土)

今回オンラインで受けたファシリテーション研修の主な内容は、対立構造を作らずにいかにして話し合いの場をいいものにしていくかという内容でした。

有料の研修なので、細かい内容はここではお伝え出来ませんが、

  1. 人対人でのやり取りは対決的な姿勢になってしまう

  2. 会場設営や参加層など事前の準備が大切

  3. 質疑の場ではなく、対話の場を作る

  4. 参加者を分断しない工夫

など、大切だと感じたことは多岐にわたりました。

自分自身、人と人の話し合いの場に関わることが多いので、まだそういった場に不慣れな方ではないですが、そもそも人見知りで社交的でもなく、積極的な発言もしない自分がに対し、仕事だからと言い聞かせて無理矢理絞り出していたのが、簡単なことではなく、それを他の人に強いるものではないと感じました。

また自分自身にも話し合いの中で意見を聴かれたにも関わらず、その意見が反映されないと不満に感じる心があると自覚しています。

自分の意見が正しいとは限らないと頭で理解していても、自分の意見が通らないと腑に落ちない自分がいるという状況は多々あります。

自分のやり方じゃない方が結果として良いということを理解していても、不満な気持ちになるのは、話し合いの進め方やそれについての関わり方が良くないからかもしれません。

仕事だからと押さえていても、心の中ではあまりいい気持ちではなく話し合いが進むことがあると分かっているので、そこをもっとうまくできるように、参加する人がそう感じてしまわないような話し合いの場を作ることが出来るようになれればと思いました。

4.SNSの研修

9月28日(水)

飲食業向けのWEBマーケティングのツールとしてのSNS発信についての研修を受けました。

特に自分自身が飲食や観光PRのためにSNSを活用するわけではありませんが、人に伝え、行動に繋げると言った視点で震災伝承や他のことにも役に立つ要素があるのではないかと思ったからです。

①SNSとは

ちなみにSNSとは、Social Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)を略したものであり、インターネット上で、個人同士が繋がれるような場所を提供しているサービスの総称です。

SNSを活用することで、様々な人たちとの交流や、情報の発信・共有・収集などが行なえます。

主なSNSの種類には、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)、LINE(ライン)、Instagram(インスタグラム)、TikTok(ティックトック)などがあります。

その中でSNSを通じた拡散力についての話の中で、自分自身のミッションである震災伝承にも通じる部分があると感じました。

②伝えるための考え方

下の図のように「とにかくフォロワーを増やしたい」という考え方はあまり良くないということでした。

なぜかというと、間違ってはいないが、一次的なメディアパワーのみの効果しかないということでした。

そこで重要なのが、下の図のようにフォロワー数ではなく、拡散をしてくれる人(フォロワーの質)と拡散されやすいコンテンツということでした。

これらの図をみて、震災伝承の考え方を整理した際に同様の図を描いたことを思い出しました。

震災伝承において、現状は経験した語り部や有名な語り部というSNS上で言うと発信力の強い数少ないインフルエンサーによって行われている側面があると感じています。

確かにそのインフルエンサーの持つパワーは絶大ですが、その先に伝える必要がある震災伝承の場合は、そこで終わりではありません。その次も、その次も伝えていくバトンをつなぐリレーを続けて行くことが大切になります。

以前仕事で、有名な専門家の講演を学校の先生に聞いてもらったところ、大変感銘を受けてもらったところまでは良かったのですが、あとでその先生に話を聞くと、同僚にもその専門家の講演を聞いてもらいたいということでした。

その時自分はこう感じました。その先生が自分の中でうまく講演の中で大事な要素を整理してその同僚の人に分かりやすいように説明した方がいいのではないでしょうか?

ましてや先生は、SNS上で言えばインフルエンサーほどではないにしろ、拡散をしてくれる良質なフォロワーに当てはまる存在だと思います。

映画など、直接見ないと分からないかつ、誰でも見られるものならまだしも、そうではない内容のものは、聞いた人が周りの人に伝えるということが欠かせないと思います。

だから、個人的には、この語り部の人の話は良かったから聴くことを勧めるという現実的ではないことより、聞いた話を、自分なりに整理して伝えるまたは、自分の一部として姿勢で表すことで震災伝承の一端を担うことが出来ればと考えています。

震災伝承で生計を立てている人には都合が悪いかもしれませんが、全ての人がそういった人の話を直接聞きにいかないと自分の命が守れないというのは変な話ですし、直接話を聞いてほしいのは専門家など拡散する力のある人だと思っています。

だから、震災経験者でもない自分が一個人として出来ることは、経験した人や、伝えたい人などから聞いたことを託されたバトンとして受け継ぎ、自分がこれから生きる中で、様々な手段で活かし続けていくことだと思います。

また、バトンを受け取った人になって欲しいのは、次で説明する「いいね!」ではなく「保存」するという行動になります。

③「いいね!」と「保存」の違いと震災伝承

Instagramには、各投稿に対し、「いいね!」「コメント」「シェア」「コレクションに保存」することが出来ます。

そのうち今回触れるのは「いいね!」「コレクションに保存」についてです。

「いいね!」はユーザーが「すてき!」「行ってみたい」「面白い」など、好意的な感情を抱いた投稿に対して起こすアクションのことで、投稿主は「いいね!」の数を知ることが出来、その投稿の反応を知ることが出来ます。

この「いいね!」はどの投稿にして行ったかは履歴で見ることが出来ますが、あくまでも、その場での感覚的なリアクションだと思います。

「コレクションに保存」は気になったInstagramの投稿を、自分のInstagramアカウント内にブックマーク保存しておけるのが機能です。

自分が、どういったときに「コレクションに保存」を使っているかと言うと、「いいね!」と思うのは当然のことで、それ以上に、今後活かしたい、後で見返したいと思う内容の投稿に対して使っています。

たとえば、おいしそうな食べ物の店を今後行くための参考として保存したり、気に入った写真の撮影場所や撮影方法などを参考にしたい時に保存したりしています。

要するに自分が考える「いいね!」と「コレクションに保存」の違いは、相手へのリアクションか自分への行動かの違いだと思っています。

ここで大切なのは「いいね!」を増やすことより「コレクションに保存」を増やすということでした。

要するにその場でいいなと思わせるだけで終わりではなく、その後も必要だ、残したい、活かしたいと思ってもらうことが大切だということです。

「いいね!」は震災伝承の中で例えると、話を聞いた後の、「良かったです」「素晴らしかったです」「感動しました」といったありきたりのコメントと同じようなものです。

決してそれが悪いとは言いませんし、喜んでもらえることはありがたい事ではあるのですが、震災からの学びを伝えたい人は相手のその場での喜びなどの反応を求めているだけではありません。

実際にその話を聞いて、災害から命を守るのに役に立ったとか、備えを始めたとか、人生に良い影響を与えたなど、聞き手の糧となることを望んで伝えている人も多くいるのではないかと思います。

だからこそ、その場かぎりでの過去に対するリアクションの「いいね!」ではなく、未来に向けて「保存」し、今後も活かそうとする行動こそが、震災伝承を進めるうえで重要なポイントだと思います。

無理矢理「SNS」と「震災伝承」を繋げたように見えるかもしれませんが、人に伝えるという点は共通していますし、また、今の自分のメインミッションとは関係のない所にこそ、ヒントは転がっているのだと思います。

5.大槌まつり

コロナ禍で中止になり、3年ぶりにやっと開催された大槌まつり。

今まで3年間溜め込んだ大槌の人々のまつりへの強い思いを身体中で感じることができました。

①見る大槌まつり

大槌まつりの前半は大槌稲荷神社で行われる宵宮祭とその翌日の神輿渡御になり、その日の夜に次の小鎚神社の宵宮祭が行われます。

その様子を撮った写真を載せていきます。

※スケジュールの都合上全ての参加団体が撮影できてない点はご了承ください。

曳舟まつり
小鎚神社の神輿
臼澤鹿子踊
金澤神楽
上亰鹿子踊
安渡虎舞
城山虎舞
向川原虎舞
陸中弁天虎舞
雁舞道七福神
中須賀大神楽
安渡大神楽

②感じる大槌まつり

大槌稲荷神社の祭りは仕事の合間に観て、写真を撮るだけでしたが、18日の小鎚神社の祭りはひょんな縁から『臼澤鹿踊保存会』の皆さんの列に旗持ちの手伝いとして加えていただくことになりました。

初めての大槌まつりなので、全体像がイメージしにくい中、以前かがり火の舞で観た時、とても感動した鹿子踊を目の前で太鼓の音色を身体で感じながら観ることができました。

祭りの佳境の一つでもある神輿が小鎚川を渡る時には横で臼澤鹿子踊の旗を持って一緒に渡ることまで体験できました。

小鎚川の水は冷く、下半身は水に浸かりましたが、とても貴重な体験をさせていただきました。

小鎚川を渡る写真で、青い臼澤鹿子踊の旗を持って青い法被を着ているのが僕です。

コロナ禍で3年ぶりの大槌まつりでしたが、大槌に来て一年半でやっと大槌を感じることができました。

大槌の魅力は、食でも景色でも郷土芸能だけでもなく、それを続けて来た人達なんだと、この祭りを通してようやく知ることができました。

気付くのが遅いのかも知れませんが、大きくまとめて申し訳ないですが、大槌の人達の大切なものに触れることができてよかったです。

また、祭りの最中に大槌の町で知り合った人にいつもと違う感じで出会ったり、祭りの食べ物として赤飯や味噌おでんを食べさせてもらったり、とても楽しい時間でした。

あんこと餅
味噌おでん
赤飯

よく、外部から移住した人に使われる言い方で、「あの人は地域に溶け込むのがうまい人だ」と言われる人がいますが、僕はむしろ逆で、「その人のまわりに快く受け入れてくれる素晴らしい人々が多かった」のではと思います。

なので、特に取り立てて何もない僕を快く受け入れてくださった臼澤鹿子踊保存会の皆様には感謝と尊敬の気持ちが尽きません。

今回の祭りを通じて自分如きにかまっていただいた様々な人達に少しでも仕事で報いて行きたいと強く感じました。

コロナ禍でも開催してもらえて、初めて観ることができて、そして参加させてもらえて本当に良かったです。

③「伝承」と「伝承」の違い

大槌まつりを感じ、郷土芸能に触れて、伝承という言葉について思うことがありました。

『郷土芸能の伝承』と『震災の伝承』の違い(個人の主観です)

『郷土芸能の伝承』
 伝承したい
 若い人が多い
 その地域以外の人も関わることもできる

『震災の伝承』
 伝承しなければならない 伝承すべき
 若い人が少ない 若い人を増やさなければならない
 当事者以外は関わることが難しい

少し説明をしますと、『郷土芸能』をやっている知り合いの言葉からは伝承し続けていきたいという言葉や誇りにしているという言葉が自然に出てくる一方で、『震災伝承』については、使命感ややらなければならないという言葉を聞くことが多いと感じました。

そして『郷土芸能』も伝統や歴史や貴重だからと言う理由だけではなく、自分たちの大切なもので自分達がやり続けて、伝え続けていきたいから、やっているものだと強く感じるものでした。

また、大槌の『郷土芸能』を見て、若い人が多いことに驚きました。選択の幅が少ないと言えばそれまでかも知れませんが、若い人が主役になれる場があると言うことは大切だと感じました。

一方『震災伝承』については、経験していない若い世代が関わることが難しい状況です。

同じ伝承という言葉を使われているものですが、誤解を恐れずに言えば、『郷土芸能』は思った以上に古く感じるものではなく、時代を経て変わり、新しくもなりつつある一方で、『震災伝承』はまだ発展途上のことがたくさんあるものだと感じました。

そして今までの様々な試行錯誤を経て、今の人々の中に大切なものとして伝わっているという実績のある『郷土芸能』から、まだ文化としての歴史の浅い『震災伝承』は参考にできることはたくさんあるのだと思いました。

これからは『震災伝承』についても、「伝承しなければならない」ではなく、「伝えたい」「活かしたい」、その結果「残り続けている」「活き続けている」ものになって行けるのではと思いました。

6.吉里吉里花火

昨年に引き続き、吉里吉里の花火大会を観に行きました。

その日の日中は大雨でしたが、晴れ男パワーのおかげで夜には雨も止み、霧も晴れてきれいな花火を見ることができました。

去年はただ観るだけの花火でしたが、今年はほんの少しながら寄付をさせていただいたので、ただ単にきれいな花火を見るのとは異なる感覚で去年とは違った感動がありました。

来年も、吉里吉里花火が見れるように少しでも力になれたら幸いです。

大槌の人達の思いにまたひとつ近づいた気がした1日でした。

それはさておき、問題があるとしたら、一人で写真を撮っていることですかね(笑)

僕が花火の写真を取らなくなったら、写真を撮る以外の目的で花火を見に行ったのだと思ってください(笑)

7.今月の大槌

今年の中秋の名月
浪板海岸からの野島と中秋の名月
浪板海岸と月
特大ホタテの浜焼き
小麦粉を混ぜて
丸めて寝かせる
円盤状に伸ばして
形を整えて
具を乗せて
焼いて
いただきます
ピザを食べながら見る絶景
大槌川沿いのコスモス
大槌川沿いのコスモス
大槌川沿いのコスモス
大槌川沿いのコスモス
秋晴れの蓬莱島


8.終わりに

大槌に来て、1年半が経過しました。

長いようで短い期間でしたが、まだまだ未知の体験、新たな大槌の人達の一面を知る機会はたくさんあると感じました。

東日本大震災の復興期と呼ばれる時期には、早く取組を進めることが優先された一方で、そういった大槌の人々の歴史、人生、思いを知り、それを反映させるには時間が足りなかったとも感じます。

だからこそ、今大槌の人達と共に生きる自分に出来ることは、まず知ること、1年半過ごしてなお知ること、これからずっと先も知ることを大切にしていきたいと思います。

大学生時代、大学のトイレ掃除のおばちゃんが、辞める時に大学内のトイレに貼り付けて行った書き込み「人生死ぬまで勉強」の言葉の意味を改めて知る機会になりました。

あとは、知ったこと、聞いたこと、託された想いを自分のものとし、どう伝え、どう活かしていくかが、自分の役割だと思っていますので、今後とも周りの皆様にはご苦労をおかけしますが、よろしくお願いします。

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