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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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#外国人技能実習生

孤立出産は罪か/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(25.1.12-25.1.18)

あまりにも事例が多いので見過ごされてしまうニュースたち。 これは1年前、福岡でベトナム人技能実習生が死産したことが罪に問われているもの。 これは先月、鹿児島でインドネシア人技能実習生が。という話。 前者は事象から1年の間に、ひと通りの情報が出ているのですが 個人的には ・罪を問われている女性の証人として、これまで同局面でほぼ登場した例がなかった交際相手の男性が出廷している ・その彼も技能実習生で、これまで黙っていることを日本社会から期待されていた属性なんですよ ・つまり

そんなの関係ねぇことはねぇ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.3.31-24.4.6)

今週は……と、毎週いちばん気になったニュースで書き始める恒例(241週目?)ですが、強いていうと今週いちばん気になったニュースは「外国人」関係ないこの件かねえ。 上毛新聞の切り込み方がいちばんダメなんですけど、社会的弱者に向ける/向けられる視線をヒトゴトと思っているとこういう書きぶりになる事例と思え、つまりね、記者が怒りにぷるぷる震えているかどうか。毎日新聞の記事と比べて読むといいですよ。 腹が立たないものかね、「権力」があると信じてしまっている役所や役人に。公僕てなことば

渋いニュースまたは渋い顔になるニュース/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.3.24-24.3.30)

今週は渋いニュースが多い。たとえばですけど、海外からの働き手を探す本邦において、むかし中国いまベトナム。と言っていた時代からもはやインドネシアが主流になり、同時に本国のドサクサに紛れてミャンマー人材を推す勢だのネパールいいですよ、カンボジア、あるいはラオスが注目です。みたいなことを言うひとびともいれば、いやいやインドですよインド。 って一派もいるんですけど(ここまでは別に珍しくもない話) ここでいうインド北東部(俗にいう7姉妹州)、インド国内では差別の対象で*つまりベトナ

一見「移民」の話と関係なさそうなんですけれど/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.3.3-24.3.9)

一見「移民」の話と関係なさそうなんですけれど(くりかえし)日本相撲協会がとにかく元横綱白鵬のことをキライでキライで。って話から。 キライな相手が盛大に失敗しました、その責は問われるべき。って話と、息の根を止めるなら今。とばかりに過去事例との整合なんか知ったこっちゃない、今度こそ致命的なダメージを与えてやる。って暗い情熱は本来違う話であるべきじゃないですか。 相撲ファンですらない門外漢の私ですが、そんな感想が湧いて出るのはゼノフォビアあふれる公式見解を相撲協会が出した、その記

あなたはもう忘れたかしら/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.2.25-24.3.2)

今週のアオり・アオラれ量産ナンバー1ネタはこちら。 去年7月、熊本市が条例改正を断念したときの記事にいわく「市は同月~今年1月に、他の改正部分を含めて意見公募を行った。その結果、寄せられた1888件の意見のうち、市民の定義に関わるものが1315件を占め、1件の賛成意見の他は反対する内容だった」。 この数字と比較すると、74件中4件が賛成という大泉町のニュース、まあそんなもんか、ってなりますよね。 なお、2022年12月の発表を熊本市が断念したのが2023年7月、そして11

関連ニュース豊作1週間/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.2.18-24.2.24)

先週と打って変わってあわただしい1週間で。個人的にはその筆頭は九州ローカル話題に留まっている下記の件。 技能実習制度において監理団体がいかに基本的人権というコンセプトを認識できていないか。の事例がまた追加かよ、という理解をしていたら、最後のRKB報道が指摘しているように 「勾留する必要ないよね?」「いや、逃げるだろ」 てなやりとりが司法とあったようで、まあまあ続報への興味が涌きます。 ■それでいうと埼玉ローカル話題が順当なのにネット経由でいたずらに可視化されることでヘイ

ふつうに移民社会/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.2.11-24.2.17)

世間を揺るがすようなニュースはなく、海外から日本へ出稼ぎに来る人たちが物語の主人公な話はあちこちで見ることが出来て、それって日本がしみじみ移民の国になった証拠では。というような1週間でした。たとえば? こんな感じ。 漁の再開にインドネシアの弟子が不可欠だ。 縫製工場の再開はインドネシア人従業員なしではありえない。 旧正月を祝うのは中国人だけでなくベトナム人もいっしょ。 介護の現場にインドネシア人がいない姿なんてもう想像もできない。 造船もインドネシア人、中国人がいて

おはずかしい話/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.1.28-24.2.3)

信濃毎日新聞の社説が良かったので全文引用したいぐらい。 この件、裁判で確定してるんだから。を金科玉条として掲げる勢が勝ち誇っているわけですけれど、底にあるのは太字部分のマインドですよね。「論争の対象になった」から撤去します、その言いがかりは誰が付けたのか。 そこを見て見ぬふりするのって……ハズカシくない? ■それでいうと川口市の話も同じで これ「異例の訴え」でもなんでもなく、たとえば2020年12月 近いところだと2023年9月 なお後者の記事は、媒体が望む言説に曲

recording in progress/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.1.21-24.1.27)

飽きないねえ。という感想に尽きる話題が少しは盛り上がっていたんですかね、今週も。 私自身は大坂なおみを推す者なのでこの話題にはほとほと飽きているのですが、たとえばそう、フィリピン人の母とガーナ人の父を持つ新宿生まれのサッカー選手とかの話も、もはや記憶の彼方ですか、日本社会。  ■記憶を葬る罪、ごまかそうとするハズカシさ 何がダメって過去の恥ずかしい行為を隠したい、かっこつけさせてくれ。って本音をごまかそうとするところですよ。その全部がミエミエで……え、恥ずかしくないです

だから技能実習制度は。事例/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.17-23.12.23)

いまさら技能実習というシステムの制度設計上の難をあげつらっても。と思いはするものの、100字以内にかいつまんで言いますね。 受入事業社と一心同体の監理団体、それを監督するはずだが何もしない天下り処OTIT、すなわち自浄能力がシステマチックに骨抜きな点。ここがすべての元凶です。 それをあまりにも明白に伝える事例の最新報があったので、あらためてご紹介させていただきたく。 これね、6月下旬に西日本新聞がいち早く取り上げたものの、早々に会員限定エリアに収納しちゃう。というインターネ

オオバンブルマイを見習え/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.10-23.12.16)

意外……でもないか、海外の移民事情がまあまあ報道された1週間でした。ロイターの大活躍はご愛敬。 いつもいつも同じことを申し上げて恐縮ですが、お隣の動静にはソソられます。 ■国内ニュースだとこの辺かな 来日そのまま野宿 公園に一時20人 難民申請者の支援追いつかず:朝日新聞デジタル 日本で保護を求める難民申請者が急増し、支援が追いつかない状況だ。国も異例の補正予算を組んで対応するが、公園で野宿をする人digital.asahi.com

記録する/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.9.24-23.9.30)

慣れっておそろしいな。と思ったのは たとえばこのニュース、本来もっと長々とコメントしたくなるトピックだったと思うんです。 初報から2年超、事件当時から当代まで法務大臣が計5人。 かろうじてひとりは真摯な対応を目指す姿勢があった、と願望交じりに考えていますが、残る4名は「個人としてお悔やみを」述べたり、在任中23回の閣議後記者会見で一度もウィシュマさんの名前を出すことなく更迭されたり、あとは先代のコレな。 法を司る機関のトップのはずが、所属政党の統一した方角にしか目を向け

in limbo/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.9.17-23.9.23)

今週はほとんど特筆するようなニュースがなく、強いて挙げればヨーロッパの動向を見てヘイトをこじらせる勢が何か言ってたな、とか あと事の重大性を鑑みればもっと大問題視されるべきところ、なんとなく静かに治めようとしてるだろ。と言いたくなるような一件 ・単独事故で日曜の朝8時に警察を呼んだらおまえ入管法違反だろ、と言われ ・入管に問い合わせたらビザ更新期間中と回答あったのに「署員が見落として」逮捕状を請求 日曜の朝から水曜の昼まで、ねえ。署員が見落として、ねえ。 ■たまたまネ

Drivers Wanted/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.9.10-23.9.16)

物流2024年問題というワードが既存とはいえ、この数週間しきりに物流業界の人手不足やライドシェア解禁を言い募る記事が出まわっていたので今週の下記報道、ああ、こっちに流す下地作りだったの。と納得したのですが。 この件は以下の2点に大きな意味があります。 ・技能実習においても認められていなかった(=技能移転という建前に無理があったから)産業分野の新規追加 ・同じく人手不足を海外人材でまかなおうとする韓国においてもNG業種(他は教育、インフラ系)に門戸を開く決断 現行法でも在